医学部

整形外科学

概要

整形外科学講座は、四肢・体幹の運動器の障害・傷害を対象とする臨床医学です。対象となる傷病は、変形性関節症に代表される関節の変性疾患や関節リウマチなどの炎症性脊椎関節疾患、脊椎の変性等に起因する脊椎神経障害、四肢末梢神経の障害、四肢・体幹の骨折や靱帯損傷などの外傷、そして骨軟部に発生する良悪性腫瘍まで多岐にわたります。これらの疾患の特徴として、変性疾患の多くが高齢とともに罹患率が高くなり、生活の質に直結することであり、超高齢社会にとって非常に重要な分野です。また、治療しているのは患者の症状そのものであり、患者が現実に困っている障害を直接改善させる治療であるため、非常に喜ばれます。治療効果が患者にも実感されやすい分野でもあるでしょう。そのため、治療側にも高い治療技術が求められます。また、骨軟部腫瘍は小児の罹患も多く、患肢機能の温存が求められるため、困難な症例にもしばしば直面します。
整形外科は、社会から求められ、結果が見えやすく、探求すべき問題が山積している、やりがいがある診療科です。当科では、各分野の一流のスタッフが、よりよい治療成績を目指して日々研鑽しており、後進の指導にあたっています。

教育内容

整形外科の研修カリキュラムの特徴を3つにまとめます。
1.研修中に国立がん研究センター、千葉県こども病院、リウマチ関節外科をローテーションすることで、症例数の稀少な分野の履修が確実に可能となり、「整形外科専門医」の取得が容易になりました。
2.各研修医に対してマンツーマンで指導医(厚労省認定)を指名し、責任をもって初めの1年間で学会発表はもちろん、学術論文作成の指導を行っています。
3.国内のみならず海外学術集会参加を義務付け、引率、指導を行っています。
2008年から上記の特徴を中心としたカリキュラムを導入した結果、入局人数は増加し、東京女子医大外科系ではトップクラスとなりました。女性医局員も毎年増え、結婚、出産、育児などに関連した、女性医師を育てる土壌も充分です。


研究内容

・ 整形外科周術期のSSI(創部周囲感染症)発生に関して
・ 人工膝関節置換術前後の膝蓋腱の変化(MRIでの評価)
・ 人工膝関節全置換術前後の下腿compartment圧の変化に関して
・ 脛骨高位骨切り術の成績
・ 生体由来組織を用いた靭帯再建用グラフトの開発
・ 生体腎移植患者における骨壊死、脆弱性骨折の発生率と背景因子の検討
・ 生体腎移植患者における骨粗鬆症に対するデノスマブの有効性・安全性の検討
・ Pelvic Incidence測定や寛骨臼形態測定に対するレントゲンとトモシンセシスの精度の比較検討
・ 感染性人工股関節における抗菌薬含有セメントスペーサーの有用性
・ 人工関節置換術周術期下肢深部静脈血栓症と可溶性フィブリンモノマー
・ CORAILステムの短期成績
・ SL-MIA ステムの中期成績
・ 転移性脊椎腫瘍に対する分子標的治療薬と外科的治療の効果
・ 炎症性軟部肉腫の予後予測
・ C1外側塊screwをC2神経根尾側より挿入する新しいアプローチ
・ ばね指に対するストレッチの有用性の検討
・ エコーを用いたばね指に対するストレッチの原理解明
・ 透析手根管症候群と特発性手根管症候群の比較検討
・ MRIを用いた透析患者の腱断面積と手根管症候群の関連性
・ うつ傾向、不安状態が手根管症候群の手術成績におよぼす影響
・ 上腕骨遠位端関節面粉砕骨折に対するヒンジ付き創外固定器の有用性の検討
・ 尺骨鉤状突起骨折に対するハンドプレートを用いた観血的整復固定術の成績
・ MRI PETRA撮影を用いた関節包の描出と五十肩の臨床像との比較検討
・ ウエアラブルデバイスを用いた肩関節運動の定量的計測
・ 超音波顕微鏡による透析肩のバイオメカニクスに関する組織学的検討
・ リバース型人工肩関節置換術の臨床成績
・ Modified Double Row法を用いた関節鏡下腱板修復術の臨床成績

スタッフ紹介

教授・講座主任
岡崎 賢
専門領域
膝関節疾患

講師
和田 圭司
専門領域
脊椎・脊髄疾患

講師
和田 啓義
専門領域
脊椎
脊髄外科

大学院

軟骨細胞シートを用いた軟骨再生に関する研究に参画しています。細胞シートとは東京女子医科大学先端生命医科学研究所の前所長である岡野特任教授が開発された再生医療の基盤技術であり、現在食道、角膜、耳、歯、心臓、肺、肝臓、膵臓など各臓器の組織再生の要として世界中に研究利用されています。その中でも軟骨の分野に関しては、東海大学のグループが世界に先駆けて細胞シートを用いた軟骨の修復再生の研究をしており、我々も共同研究者として研究に従事しています。その他の研究として①人工膝関節全置換術後の検体を利用した軟骨細胞シート作製技術の確立、②形成外科と当科の多指症患者の余剰指(趾)を用いた同種細胞シートの調製法の基礎的研究を行っています。
また、大型動物を用いた、あたらしい前十字靱帯再建材料の研究を、東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(TWIns)で行っています。
研究に興味を持つ後期研修医も参加してくれています。整形外科では細胞生物学から生体医工学まで、さまざまな研究テーマがあります。国内外の留学も推奨していきたいと思います。興味のある方の参加をお待ちしています。

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