医学部

解剖学

概要

肉眼解剖学の講義および実習を担当している。解剖学とは人体の複雑精緻な構造を学ぶ学問であり、その美しさ、不思議さ、面白さ、そして尊さを伝えるよう努めている。1年後期(セグメント2)に骨学を含めた解剖学の基礎固めを行い、2年前期(セグメント3)に解剖学実習を中心に据えたより応用的な人体全体構造の学習を行う。解剖学実習は単に知識を身につける場ではなく、「実物から学ぶ」という自然科学の基本姿勢を育み、また献体されたご遺体を用いることで学生が医師としての自覚と責任意識を養う貴重な機会でもあることを強く意識しながら教育を行っている。
また、本教室では神経細胞の形態と機能について網膜と海馬という2つの中枢神経領域をモデルにした研究を行っている。具体的には網膜視細胞の分化制御機構を解明し、さらに網膜幹細胞を用いて視細胞を再生させる手法の開発もおこなっている。またウィルスベクターを用いた遺伝子工学的手法により大脳皮質の海馬領域における神経結合を詳細に検討し、記憶のメカニズムの解明を目指している。

教育内容

第1学年:セグメント2「人体全体構造(骨格系)」を担当する。系統解剖学(筋骨格系、循環器系、神経系)の講義および骨学実習をおこなう。

第2学年:セグメント3「人体全体構造」を担当する。局所解剖学の講義および人体解剖学実習をおこなう。またテュートリアル課題作成(中心テーマ:人体の正常構造)を担当する。

第3学年:セグメント6「脳神経系I」において中枢神経系の形態に関する講義および実習(脳実習)を担当する。

研究内容

<網膜視細胞の発生と再生>
網膜は中枢神経系の一部であり、主に6種類の神経細胞とミュラーグリアにより構成されるが、その細胞運命決定および分化制御機構は未だ十分に解明されてい ない。我々は網膜を構成する細胞のうち、特に光を感じる視細胞の産生、生存、分化を制御する分子機構に関する研究をおこなっている。また、網膜のグリアで あるミュラー細胞が視細胞変性に際し脱分化し、視細胞に再分化する現象に着目し、網膜再生を賦活化する方法を探索している

<記憶をつくる神経回路の繋がり方を解剖学的に調べる>

脳の側頭葉にある海馬とその周辺の脳領域は、記憶・学習の形成に重要な部位として、またてんかんやアルツハイマー病における重要な病変部位として知られ る。しかし海馬と海馬周辺の脳領域を繋ぐ神経回路の詳細はいまだに不明な点が多い。私共は、まずは基本モデルとしてラットを用い、様々なトレーサーを脳内 注入して連続切片上で標識された細胞体もしくは神経終末の位置を確認することにより海馬周辺領域の神経結合関係を明らかにしている。さらに大脳辺縁系が比 較的発達しているウサギやマーモセットなどの動物についても海馬と海馬周辺の脳領域の結合関係を調べている。これにより「細胞集団」のレベルで記憶に関わ る基本の神経回路を明らかにする一方、GFP遺伝子を組み込んだウイルスベクターをラット脳内に注入し、単一の神経細胞の軸索のすべての枝を最後まで可視 化する手法により、海馬とその周辺の脳領域を構成する各々のニューロンレベルでも繋がり方を明らかにしつつある。

<X線被曝の影響の低減化>

医用CTと比較し約100万倍もの空間情報を持つ超高分解能X線CT(μ-CT)を臨床応用可能とできれば、疾病の超早期発見、治療法の開発、基礎医学研 究等に極めて有用である。芝田らは、設計•製作したμ-CTによりヒト胎児の頭蓋骨や蝸牛(図1)の形態形成を追究したり、成人解剖体に於いて石灰化動脈 硬化と骨の粗鬆化に相関があることを見いだすなど後者の有用性を示してきた。

しかしながら、原理的に避けられない膨大量の入射X線量により生体利用できないジレンマがある。この問題の突破口を開くために、被曝の影響の低減化の研究 を行っている。X線被曝は主として、生体の水の電離で生成する・OH等のフリーラジカルの生体分子への攻撃に起因すると考えられており、他大学と共同で、 反応制御の方法等を追究している(大学院のHP参照)

スタッフ紹介

教授・講座主任
藤枝 弘樹
専門領域
解剖学

准教授
本多 祥子
専門領域
解剖学

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