医学部

救急医学(救急医療科)

概要

東京女子医科大学救急医学教室は、1995年に講座となりました。1989年に東京女子医科大学病院救命救急センターが設立され、当時は旧第二外科学教室(濱野恭一元主任教授)の救急グループとして属し、発展した教室です。濱野元教授が退官後、1996年に鈴木忠前主任教授が救命救急センター長、救急医学講座主任教授に就任され、現在の本邦の救急医療、救急医学の礎となる教室を構築されました。鈴木前主任教授が退官後は、矢口有乃が現主任教授(現教授・基幹分野長)となり、集中治療医学領域の専門性も拡げ、一次、二次救急診療部門(通称EmD: Emergency Division)の構築、DMAT(Disaster Medical Assistant Team)の参画、特に国際学会発表、海外留学など国際交流が盛んな教室を特徴として現在に至っています。

教育内容

医学部入学時のオリエンテーションで新入生を対象にBLS実習が救急医学を学ぶ最初の機会となります。
医学部3年生での研究プロジェクトでは、毎年、1名の学生を受け入れ、学生がそれまでに学修してきた内容の中で興味のあること(自身でこみあげてくる疑問や知りたいこと)を面談で話しを聞きながら引き出し、研究立案から発表までを指導しています。毎年、救急医学領域の学会で発表してもらっています。
医学部4年生では、至誠と愛の実践学修講義で、一般教養としての「災害医療」、救命救急医療系の講義で「救急医学」「救急医学総論」「ファーストエイド」「心肺蘇生法」「救急医療の診断学と症候学」「救急医療の治療手技」「中毒」「災害医学」「特殊救急」「外傷学」「救急医療に関わる法的問題」「集中治療医学総論」「敗血症と多臓器不全」「ECMO」、診療の基礎の講義で「ショック」「外傷・熱傷」「心肺蘇生」と、救急、集中治療領域を万遍無く学ぶことができます。実習においては、臨床実習前に、気道確保、気管挿管、輪状甲状靭帯切開術をシミュレータで行います。他にはファーストエイドとして包帯法や止血法、OSCEに向けての心肺蘇生法BLSも行っています。
医学部5年生は、臨床実習必修で本院、足立医療センター、八千代医療センターの3施設いずれかを4週間回ります。新型コロナ感染症拡大前は、救急車同乗実習、夜間当直実習も行っていました。講義では病院実習総論で「患者の権利」、また「倫理的判断」と「脳死と臓器移植」についてのワークショップがあります。コロナ禍前の「倫理的判断」は、看護学部4年生、早稲田大学(人間科学部、法学部、文学部)との3学合同のワークショップで早稲田大学講堂にて行っていました。他学部の同世代の学生とのディスカッションで、医師のプロフェッショナリズムも再認識するワークショップとなっています。
またStudent doctorとしての参加型実習ですので、6年生での選択実習時には初期臨床研修医と同等の受け持ち医、手技を可能な限り行ってもらっています。OSCE対策、国家試験対策も講義で行います。

研究内容

当教室の中心となる研究内容は
1) 敗血症の病態生理と診断、治療に関する研究
2) 心肺蘇生後症候群の予後と治療に関する研究
3) 救急集中治療領域における終末期医療に関する研究
4) 災害発生時の医療機関の役割に関する研究
5) 薬物過量服用の動機に関する研究
6) 高齢者救急に関する研究   
7) 医学部教育における救急診療、診断学の手法に関する研究           
8) 中枢神経興奮薬および麻薬の致死作用に関する研究 
となります。
救急、集中治療、中毒の領域では、一例一例の症例報告も貴重な発表であり、国内学会では症例報告を中心に、海外の学会は、臨床研究発表の場としています。Society of Critical Care Medicine, International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine, European Society of Intensive Care Medicine, International Sepsis Forumに採択100%で発表しています。 
基礎医学教室、他大学、学会主導による共同研究も活発に行っています。

スタッフ紹介

臨床教授
武田 宗和
専門領域

講師
並木 みずほ
専門領域

医学部