医学部

衛生学公衆衛生学(環境・産業医学分野)

概要

2018年10月より、衛生学公衆衛生学(一)、衛生学公衆衛生学(二)、医療・病院管理学が統合し、衛生学公衆衛生学講座となりました。環境・産業医学分野では、環境・産業医学、医療・病院管理学の領域について、教育・研究・社会活動を行っています。
 
環境・産業医学
環境中には様々な物理化学的要因が存在し、我々の健康に影響を及ぼしています。近年、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境問題に加えて、毒性金属、ダイオキシン類、残留性有機汚染物質、揮発性有機化合物や微小粒子状物質などの日常生活の場でも曝露されうる化学物質による健康影響が問題となっています。また、産業現場では、金属や有機溶剤などの有害化学物質取り扱い業務や作業環境・条件による健康影響も懸念されています。生活および労働環境中に存在する様々な有害要因に起因する疾病や障害の発症を予防し、健康を保持・増進させ、さらに生活の質の向上をはかることを目的として、環境衛生・産業衛生領域の教育、研究と社会活動を行っています。基礎的研究では、毒性金属などの環境ストレスが生体に及ぼす影響について、シグナル伝達系を中心にモデル動物や細胞・分子レベルで解明しています。実践的研究として、職業性疾患の原因の把握とその対策にも取り組んでいます。
 
医療・病院管理学
iPS細胞やPD-1分子の発見など、日本の医学の進歩は目覚ましいものがあります。一方、「医療」という観点から日本の現状を鑑みると、増大する医療費が国家財政を圧迫しており楽観を許さない状況です。しかし、このような状況下にあっても、叡智を出し合って人々の健康を守るために適切な医療提供体制を築き上げていくことが求められています。我々は、医療安全や経営、医療従事者の勤務環境といった医療機関の実務的課題に加えて、地域医療、医療介護連携、社会保険制度、国家財政等の視角から抽出される政策的課題とも向き合いながら、医療経済や社会保障、医療安全に関する教育・研究を行っています。また、病院経営や医療の質の向上を推進するための実務活動も行っています。

 

教育内容

卒前教育では、医学部4年(セグメント7)の基幹科目「環境と健康・疾病・障害」「社会制度と保健・医療・福祉」を中心に医学教育モデルコアカリキュラムに沿った衛生学と公衆衛生学の講義・実習を行っています。「環境と健康・疾病・障害」では、将来、医師として生活および労働環境中に存在する様々な有害要因に起因する疾病や障害の発症を予防し、健康を保持・増進させ、さらに生活の質の向上をはかることができることを目標にしています。「テュートリアル」「至誠と愛の実践学修」「研究プロジェクト」「自主選択実習」「法学(選択科目)」のほか、他の社会医学系教室と連携して「医学・医療と社会実習」を担当しています。
看護学部では、健康科学論(3年)と疫学(4年)の講義を担当しています。その他、バイオメディカルカリキュラム(環境・産業衛生学)、女子医大医師会産業医研修会なども担当しています。
 
医学部担当科目:
人体の成り立ち(セグメント1)、研究プロジェクト(セグメント6)、環境と健康・疾病・障害(セグメント7)、社会制度と保健・医療・福祉(セグメント7)、医学・医療と社会実習(セグメント7)、自主選択実習(セグメント9)、産業保健・環境保健・食品保健(セグメント10領域12)、社会保障制度と医療経済(セグメント10領域12)、「至誠と愛」の実践学修(セグメント1、2、5、6、7、8)、テュートリアル(セグメント1、3)、法学A・法学B(選択科目)など

 

研究内容

環境・産業医学
基礎研究では、環境要因、特に金属、神経毒性物質や微小粒子状物質、の生体影響について分子・細胞レベルで解明することにより、環境ストレスに対する応答や適応機構を明らかにすることを目指しています。特に、細胞内オルガネラである小胞体を介した分子シャペロンなどストレス応答遺伝子の発現変動や「細胞生存と死」の決定に関わるシグナル伝達系活性化の毒性学的意義について、分子生物学的アプローチによる研究を進めています。また、ゼブラフィッシュや線虫をモデル動物とした環境ストレス応答研究にも着手しています。実践研究として、職業性疾患の原因の把握と対策にも取り組み、その成果を社会に還元することを目標に活動しています。
 
医療・病院管理学
病院経営に関する研究、医療安全に関する研究、医療倫理に関する研究、医療従事者の労働に関する研究、医事法、医療政策に関する研究を行っています。
 

スタッフ紹介

教授・基幹分野長
松岡 雅人
専門領域
環境医学
産業医学
分子毒性学

准教授
蒋池 勇太
専門領域
環境毒性学
発生毒性学

講師
中島 範宏
専門領域
医療・病院管理学

講師
廣田 恵子
専門領域
環境応答医学
分子遺伝学

大学院

大学院医学研究科社会医学系専攻環境・産業医学分野のご案内
 
担当科目など:産業医学・保健、環境医学・毒性学、分子・細胞毒性学、実験・実習(課題研究)、社会医学系専攻実習


初期総合カリキュラム(環境・産業医学総論、社会保障・医療経済、病院管理)
 

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