大学院・研究施設

外科学(第一)分野

概要

呼吸器センター外科として手術を中心に診療を行っております。肺癌や縦隔癌に対しては、化学療法や放射線療法など集学的治療を行っております。症例数は、原発性肺癌100-110例、転移性肺腫瘍50-60例、縦隔腫瘍30例、嚢胞性肺疾患50例と多岐にわたり、総手術件数は250-300例程となっております。また、ほとんど全ての疾患に対して、胸腔鏡下手術を行っております。比較的早期な肺癌や転移性肺腫瘍に対しては、胸部CT画像から3次元画像を作成し、胸腔鏡下区域切除や多亜区域切除を行っています。2012年より原発性肺癌や縦隔腫瘍に対してda Vinci Surgical System™を用いたロボット手術を導入しております。また、手術のみならず、気道狭窄症例に対して気管内レーザー治療、気管・気管支ステント留置や、喀血や肺動静脈瘻症例に対して透視下カテーテル塞栓術等のインターベンションも行っています。

研究可能テーマ

(1)肺手術亜区域レベルのシミュレーションとナビゲーションの改良
末梢早期肺癌は、胸腔鏡手術の適応の中心的存在になりつつあるが、それに伴い、様々な肺の3次元画像化が試みられている。呼吸器外科医が自らポリゴンで作る3D画像が、Volume Rendering法による3次元画像よりも、3D画像内へのアクセスの容易さ、その亜区域レベルでの鮮明性などに優れていることが、実証されつつあるが、実際の個々の症例の手術シミュレーションにおいて、技術的改良が必要であり、また、実際の手術においてのナビゲーションとして用いる際にも工学的、医学的改良すべき点が多くある。実際の個々の症例で問題点を見つけ、工学的、医学的な改良を検討する。
 
(2)慢性肺気腫に対する胸腔鏡下外科療法と肺循環に関する研究
慢性肺気腫に対する広範囲肺縫縮効果が注目をあびているが、その病態生理、呼吸困難軽減の呼吸生理学的機序は明らかでなく、臨床適応の条件の設定が急務である。気腫性肺疾患の外科療法の成否を決定する因子は肺血管床の多寡にあるとの仮定に立ち術前一側肺動脈閉塞試験を行い、残存肺血管床が手術の成否を決定する事を見出した。
 
(3)気管支動脈系の病態と動脈注入療法
気管支動脈系の発達は気管支出血の原因となるが、カテーテルを用いた動脈塞術は極めて有効である。更に、超細カテーテルを用い気管支動脈末梢に尖端を留置し局所止血効果が得られている。更に、超細カテーテルの局所留置による肺切除不適応症例の持続動脈注入療法の有効性を検討する。
 
(4)気管・気管支上皮を有する人工気管に関する研究
気管・気管支上皮細胞の分化機能の維持には、細胞外マトリックス、細胞成長因子が必須であり、これらを組み合わせて、効率的な手法を確立する。さらに人工気管においては、足場となる人工血管へ血液を供給する血管系の導入は必須であり、血管系の導入・接続法について、血管増生促進因子,線維芽細胞増殖因子を用い誘導する。この材料を用いて細胞培養に適した培養細胞の足場にマトリックスを形成し、培養回収した気管・気管支上皮細胞を接着、生着させる効率的手法を確立し、臨床応用に向け探求する。
 
(5)呼吸器の再生医療
組織工学が進み、臓器の再生研究が活発に行われているが、肺、腎のような複雑な立体構造と機能を持つ臓器については進んでいないのが現状である。肺は、構造的に複雑で、構成要素を大別すると気道系、肺胞系、血管系、および間質から成っており、構成細胞数も40種類以上にのぼる。免疫活性が極めて高く、肺の細胞の代謝が他臓器と異なり好気的であり活性酸素など高エネルギー分子が多い。肺の再生医療には、肺気腫や肺線維症に対する根本的治療としての可能性があり、温度応答性培養皿により回収した細胞シートにより肺組織を生体内外で構築・再生させる。
 
(6)バイオマテリアルを用いた呼吸器外科治療
呼吸器外科手術特有の合併症である気漏に対して、気漏をコントロールするためには胸膜における創傷治癒機転が重要である。従来の方法では、組織生体親和性の向上、炎症反応の制御、癒着防止、肺の伸縮性に追従する柔軟性などに問題が残り、さらなる組織修復材の開発が必要であり、生体吸収性高分子、細胞シートなどのバイオマテリアルを駆使して、臨床応用可能なデバイスを探求し、さらなる臨床応用の可能性を検討する。

スタッフ紹介

教授・講座主任 神崎正人
准教授 村杉雅秀
講師  小山邦広
講師  井坂珠子

臨床研究

題名:  自己皮膚由来培養線維芽細胞シートを用いた肺気漏閉鎖

題名:  縦隔疾患に対するロボット手術装置(da Vinci S)を用いたロボット支援胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術
     および胸腺摘出術の臨床応用



題名: 連続パルスオキシメトリーを用いた肺切除術前後の酸素飽和度を評価する前向き調査研究

医学研究科