大学院・研究施設

微生物学免疫学分野

概要

本講座は関連ある2つの分野について教育と研究を担当している。微生物学はおもに病原微生物(真菌、細菌、ウイルス)そのものの性質と感染と疾患の発症機序を研究し、免疫学は微生物による感染防御を含めて生体防御機構を研究する学問分野である。本教室では、主にレンサ球菌やブドウ球菌らの病原細菌とその毒素の性質、それらによるヒトの感染症の発症機序、感染防御機序、細菌感染により誘導される自己免疫疾患の発症機序、腸内フローラの解析と腸炎やメタボリック症候群との関連およびアトピー性皮膚炎や気道過敏症など のアレルギー疾患の発症機序について研究をおこなっている。また、生体の基礎的免疫機構についても研究をおこなっている。東京女子医科大学には優れた臨床の医師が多く働いており、本教室は彼らとの共同研究を盛んに推進している。

研究可能テーマ

(1) T細胞や B細胞の免疫応答の解析: 実験動物 (マウス)や健常ヒトT細胞やB細胞の各種抗原 (自己抗原、異物抗原、スーパー抗原)に対する応答を、発達した生物科学や遺伝子工学的手法を用いて解析し、リンパ球の分化・成熟および機能発現の機構を明らかにする。

(2) ヒトの加齢とT細胞成熟の解析: 新生児、幼児、成人、高齢者等の免疫応答性をT細胞を解析することにより明らかにする。新生児や幼児においては感染症克服に、高齢者においては感染症、発癌、自己免疫疾患の発症の克服につながるべく解析する。

(3) 免疫ないし炎症性疾患の発症機序の解析: 各種免疫疾患患者や免疫疾患モデルマウスの炎症反応の変動やリンパ球および自然免疫に関わる細胞の各種抗原に対する応答性の解析腸内細菌叢の解析さらにマウスにおいては各種臓器の免疫組織学的検討を行い、病原因子の探索を行う。自己免疫疾患、アレルギー疾患、メタボリック症候群、原因不明の疾患(川崎病など)の発症機序が研究の対象となる。

(4) 感染症の発症機序の解析: 各種感染症患者および細菌感染による強度の生体異常をきたしたマウスにおける炎症反応、自然免疫および獲得免疫応答の解析、さらにマウスでは各種臓器の免疫学的検討により病原因子のみならず制御因子の解明を目指す。この研究計画には、トキシックショック症候群、劇症型レンサ球菌感染症の発症機序や病原因子の解析が研究の対象となる。

(5) 細菌毒素の解析: スーパー抗原と呼ばれる細菌毒素による疾患の発症機序の解析、スーパー抗原の構造解析、および新しいスーパー抗原の探索をおこなう。トキシックショック症候群、その他スーパー抗原の関与が疑われている感染症の解析が研究対象となる。

(6) 慢性炎症を起因とする代謝性疾患の治療法および予防法の基礎的研究:肥満に認められる脂肪組織の慢性炎症はインスリン抵抗性を惹起し、2型糖尿病をはじめとする代謝性疾患の原因となる。これらには脂肪組織のマクロファージによる炎症応答が大きく関与していることから、治療薬および食品由来成分の抗炎症作用に着目して、効果的な代謝性疾患の治療・予防法をマウスまたは培養細胞を用いて探索する。
 

スタッフ紹介

教授・基幹分野長  柳沢 直子
准教授       大坂 利文
准講師       加藤 秀人
助教        上芝 秀博
助教        飯塚 讓
非常勤講師     芦野 滋

医学研究科