大学院・研究施設

内科学(第二)分野

概要

当講座は高血圧学と内分泌内科学を担当しています。
①日本に4,300万人存在する高血圧患者のために高血圧を「完治させる」。
②伝統的なホルモン疾患において、エピジェネティクス解析を駆使し、新規治療法を創出する。
③新しいホルモン臓器(心・腎・脂肪・消化器など)に由来する新規液性因子を発見し、生活習慣病治療へ応用する。
を社会におけるミッションとして、全力を注いでいます。当講座の大学院の卒業生の中から、将来、ノーベル医学・生理学賞を受賞出来る人材を育成することが目標です。

研究可能テーマ

(1) 内分泌疾患(下垂体・甲状腺・副腎等)及び関連疾患における(プロ)レニン受容体の役割と制御機構に関する検討
  (指導者:安藤講師、森本准教授、市原教授)
(2) 間脳下垂体のレニン⁻アンジオテンシン⁻アルドステロン系による血圧調節機構
  (森本准教授、市原教授)
(3) 甲状腺機能異常症における組織RAS依存性臓器障害の発症機序
  (森本准教授、市原教授)
(4) 生活習慣病におけるステロイドホルモンの病態生理的役割の解明
  (安藤講師、市原教授)
(5) 副腎腫瘍における異所性受容体発現解析による機能獲得と腫瘍化の機構解析
  (渡辺准講師、森本准教授、市原教授)
(6) 内分泌負荷試験法の検討(新しい診療ガイドライン作成に向けて)            
  (谷田部緑准講師、森本准教授、市原教授)
(7) 生活習慣病(高血圧,糖尿病,脂質異常症)治療薬の神経・液性因子調節機構と動脈硬化抑制効果に関する検討
  (森本准教授、市原教授)
(8) 頭側延髄腹外側野(RVLM)への動脈性圧迫による高血圧の病態生理・治療法に関する検討
  (森本准教授、市原教授)
(9) 性ホルモンによる血圧調節機構についての基礎及び臨床研究 (研究対象: 挙児希望高血圧女性、妊娠高血圧症候群、授乳期高血圧、閉経期高血圧)
  (谷田部淳一准講師、森本准教授、市原教授)

スタッフ紹介

教授・講座主任 市原 淳弘  
准教授 磯崎 収
准教授 森本 聡
講師 安藤 孝
准講師 渡辺 大輔
准講師 谷田部 淳一
准講師 谷田部 緑
助教 木田可奈子

 

研究紹介

(1) 生理・各種病態における(プロ)レニン受容体[(P)RR]の役割と制御機構に関する検討
 (P)RRはレニンの非活性型前駆体であるプロレニンを活性化し、組織レニン⁻アンジオテンシン系を調節する。また、細胞のpH環境の調節を司るVacuolar H+ ATPase (V-ATPase)や細胞の増殖・分化・運動を制御するWntシグナルの発現に必須であることが判明し、極めて多機能で重要な蛋白として注目を浴びるようになった。当科では高血圧(本態性高血圧、妊娠高血圧)、肥満、糖尿病、各種内分泌疾患(成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能亢進症、副腎疾患)、筋委縮症などにおける(P)RRの生理的・病態生理的役割や発現調節機構に関する検討、および(P)RR機能阻害の意義解明、創薬に関する基礎的研究・臨床研究を行なっている。
 
(2) 新しい高血圧治療法の探求
a) 頭側延髄腹外側野(RVLM)への動脈性圧迫による高血圧の病態生理に関する検討
 我々は交感神経活動の制御中枢であるRVLMへの動脈による圧迫が、交感神経活動の亢進を介して高血圧原因となり得ること、および圧迫解除術により交感神経活動が抑制され高血圧が治癒する症例が存在することを報告してきた。これらよりRVLMへの動脈性圧迫による高血圧が新しい二次性高血圧の一つとして認識されるようになってきた。今後もRVLM圧迫による高血圧の病態生理の検討や治療法の開発を目指した検討を行う予定である。
b) 生活習慣病(高血圧,糖尿病,脂質異常症)治療薬の神経・液性因子調節機構と動脈硬化抑制効果に関する検討
 当科では、外来において血清および尿中プロレニン、可溶性(プロ)レニン受容体解析、血管内皮機能検査、動脈硬化検査(CAVI、AI、頸動脈エコー)、24時間血圧測定、交感神経活動評価、内臓脂肪面積測定がルーチンで行える体制を整備している。当面は現在臨床応用されている各種降圧薬、糖尿病薬、脂質低下薬の有効性を評価するが、将来的には新たに創薬した薬剤の効果判定も行う予定である。
 
(3)生活習慣病におけるステロイドホルモンの病態生理的役割の解明
a) アルドステロンと生活習慣病
 アルドステロン過剰のモデル病態である原発性アルドステロン症は、高血庄、低カリウム血症に加え、心血管系の肥大、線維化を生じ、脳血管障害や心不全をもたらす。近年、アルドステロンは腎尿細管への作用に加え、心血管系非上皮性組織への作用が注目され、アルドステロンの臓器障害作用との関連が示唆されるようになった。本研究ではアルドステロンの病態生理学的役割に関し1)心肥大,心線維化の分子生物学的機序、2)non-genomic actionとgenomic actionの比較、3)アンジオテンシンIIとの相違について研究する。
b) コルチゾールと生活習慣病
 コルチゾール過剰のモデル病態であるクッシング症候群では、高血圧、糖尿病、脂質異常症を生じ、心血管系疾患の合併も少なくない。コルチゾールの生物活性は 1)グルココルチコイド受容体と2)コルチゾンから活性のあるコルチゾールに変換する2型11β-水酸化ステロイド脱水酵素(11β HSD)により規定される。本研究では肝、脂肪組織におけるグルココルチコイド受容体と2型11βHSDの異常と脂肪肝や糖尿病との関連を検討する。
 
(4) 副腎腫瘍における異所性受容体発現解析による機能獲得と腫瘍化の機構解析
 副腎腫瘍の発生機序は未解明な点が多い。一部の副腎腫瘍ではバゾプレシン受容体、GIP受容体、LF/FSH/GnRH受容体などの異所性受容体が発現することが注目されている。また(P)RRはWntシグナルを介して腫瘍増殖に関与するが、副腎においても発現する。当科では副腎腫瘍発生機序における異所性受容体、(P)RRの役割についての検討を行っている。
 
(5) 内分泌負荷試験法の検討(新しい診療ガイドライン作成に向けて)
 ホルモンの血中濃度は一定ではなく、様々な調節を受けて変動する。そのためホルモン分泌異常の有無は、定常状態における血中ホルモン値(基礎値)のみならず、様々な負荷によるホルモン値の変化を内分泌負荷試験により評価される。しかし既存の負荷試験は、その方法や結果の判定基準に改善すべき点が多いことが指摘されている。そこで、現在より優れた負荷試験法や基準値を作成するための臨床的検討を行っている。

医学研究科