東京女子医科大学
第一外科学教室
(呼吸器センター外科)
Department of Surgery I
 

Updated 2014/06/10


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呼吸器外科[Surgery I]

呼吸器外科とは?

呼吸器系器官およびその周囲、隣接する器官の疾病を手術する外科の一分野です。肺臓、気管、気管支、縦隔、胸壁(主に肋骨)、横隔膜の器官が対象となります。
疾患名としては主に肺癌をはじめとする、肺腫瘍、自然気胸、肺嚢胞、肺気腫、縦隔腫瘍、胸腺腫、胸壁腫瘍、胸膜腫瘍、横隔膜ヘルニア、重症筋無力症、手掌多汗症、漏斗胸等などが挙げられます。
また、肺移植手術も呼吸器外科の範ちゅうです。1982年までは、胸部外科学として心臓血管外科や食道外科の分野と一緒に包括されていましたが、1983年以降は胸部外科学から呼吸器外科学として独立した学問体系となっています。また、1991年6月25日、日本医学会より正式に認定されました。
胸部には、心臓、肺、大動脈、気管、食道、その他の重要な臓器がぎっしりつまっていて、これをガードするために、左右に肋骨、まえに胸骨、うしろに胸椎(背骨)があります。

特徴

患者様に優しい医療を目指します。特に、解りやすい説明、術後や疾患に伴う疼痛コントロール、プライバシーの保護に気を配りながら、病因の追求と治療、その後の管理を行わせていただきます。その上で、患者様の病状の改善、回復と呼吸器外科の進歩のために、臨床研究、新しい治療、試みを導入して行きます。
心疾患、腎障害、糖尿病等の合併症のある方には胸腔鏡による低侵襲手術を、進行した疾患では拡大手術を、また、虚血性心疾患を合併する肺癌の方では心肺同時手術等を行っています。現在、手術の7割は胸腔鏡下に行っています。
呼吸器外科的疾患全般について呼吸器内科と連携して、総合的、専門的に外科診療を行っています。

呼吸器外科学教室

当科における年間手術症例数は約390例.内訳は原発性肺癌120例、転移性肺腫瘍50例、その他の肺腫瘍20例、縦隔腫瘍40例、気胸・肺嚢胞70例、膿胸20例、その他重症筋無力症、漏斗胸、心大血管疾患を含め80例で、7割の手術を胸腔鏡下に行っています。原発性肺癌症例の総数は1500例を数えます。
胸腔鏡(内視鏡)下手術は1994年に導入以来総数約700例,自然気胸約250例,縦隔腫瘍約60例である.また,検診システムの充実,画像診断技術の進歩により確定診断の得られにくい小型の肺腫瘍に対して施行した胸腔鏡(内視鏡)下手術約120例の中約65%が悪性腫瘍であり,術中迅速病理診断により術式の決定を行い早期診断,治療を可能にしています。胸郭変形(漏斗胸,鳩胸)に対する手術は約2800例を越え,当科で開発した胸骨肋骨挙上術を中心に行っており,小児期の治療に対しては育成医療の対象となっています。

ご希望の方は主治医の先生の紹介状をお持ちになって来院していただくか、 初診日に直接外来を受診下さい。予約を取っている外来医については電話での予約(外来予約センター 03-3353-8138) も 承っております。病院のホームページより診療担当案内をご参照下さい。


肺切除の際

呼吸器外科での手術の際は、従来、大きな傷で、手術野を十分に確保して手術を行っていました。現在でも肺癌に対しての標準的な術式は背中から腋の下くらいにかけて、約20cm くらいの皮膚を切り開いて肋骨を切り離して行います。(標準開胸、後側方切開といいます。)
従来、大きな傷でおこなっていた肺の手術では術後に時として強い痛みを伴うことがあり、また、呼吸機能の低い方には開胸操作そのものが大きな負担となっていました。これまで侵襲や痛みの少ない方法が研究されていましたが、光学ビデオシステムおよび手術器具の進歩・開発により、現在では内視鏡下手術、呼吸器外科では胸腔鏡下手術(VATS. Video Assisted Thoracic Surgery)と呼びますが、胸腔鏡下手術が広く安全に行われるようになりました。 胸腔鏡手術は傷が小さいだけでなく、手術の侵襲も少なく、手術後の痛みが少ないなどの利点があります。
VATSは、従来の手術とその手術内容、例えば腫瘍の切除などはおなじですが、その腫瘍に到達する経路が異なるということです。この手術では、胸に1-2cm程度の傷が、3-4ヵ所できるだけで手術が終了します。

胸腔鏡下手術では

  1. 治療のために行う場合
  2. 検査のために行う場合、
  3. 両方の目的をいっぺんに果たすために行う場合があります。
  1. 治療
    1. 自然気胸、肺嚢胞症
    2. 肺腫瘍(良性・悪性)、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍
    3. 急性膿胸
  2. 検査
    1. びまん性肺疾患の肺生検
      気管支鏡で採取できる肺の標本は小さく診断をするのに十分でないことも少なくありません。胸腔鏡により肺の一部を切除して診断します。
    2. 胸膜炎の診断
      胸に水が貯まる病気のことですが、原因はいろいろあり、その原因が決められないことがあります。胸腔鏡で胸の中をみて、病気のありそうな胸膜を調べることにより診断します。
  3. 検査と治療をいっぺんに行う場合
    肺に腫瘍があるものの腫瘍が小さくて体の外からの検査では診断がつかない場合、患者さんの負担をできるだけ少なくして病気の性質を決めるために行います。手術中に細胞診、病理診断を行い病気にあった手術を行います。

胸腔鏡の方法は?

実際の手順

  • 麻酔は一般的には全身麻酔で行います。
  • 横向きに寝て頂いて約2cm皮膚を切開し、筒のようなもの(ポートといいます)を挿入し、筒を通してビデオカメラを胸の中に入れて、胸の中の状態を観察します。
  • 胸の中の状態によって手術方法を決めた後に、他に2箇所ポートを追加します。このポートより処置用の道具を胸の中に入れて手術を行います。
  • 多くの場合、特殊な器具を使って肺を部分的に切除します。もちろん観察だけで終わる場合もあります。
  • 最後に胸の中に管を入れて手術を終わります。この管は通常2-3日で抜けます。
  • 手術や病気によって違いますが、約1週間で退院できます。

胸腔鏡の長所

  • 傷が小さいこと。
  • 美容上よいだけではなく、傷の痛みが少なく体の負担が少ない。
  • 回復も早く、入院期間が短くてすみます。

胸腔鏡の短所

  • 小さな傷で行う手術なので、病気によっては胸腔鏡でやりきれない場合もあります。
  • 出血などが起こった場合は止血がしにくい。
  • 病変が見えない場合は切除が困難なこともあります。

肺癌に対する胸腔鏡手術

 肺癌に対しては通常側胸部を肋骨に沿って約20-30cm切開して肋骨を切断して肋骨の間を大きく開けて肺葉切除を行います。最近胸腔鏡の普及に伴い、肺癌に対しても約8cmの小さい傷で肺葉切除を行っています。
傷が小さい分美容上優れているだけではなく、痛みが軽く体力の消耗も少ないため回復が早いことが最大の利点です。 早期の肺癌がよい適応となっています。

 胸腔鏡下肺葉切除、肺区域切除における3次元手術シミュレーション
(末梢型早期肺癌、転移性肺癌に対する胸腔鏡手術)

 末梢型早期肺癌はCT検診などで見つかる遠隔転移やリンパ節転移がない2cm以下の肺癌です。
 これが、肺の中心部にある場合、肺の区域、亜区域で対応しなければならない場合が多いのですが、従来の標準的肺手術である肺全摘術や肺葉切除と比較し、区域切除、多亜区域切除での解剖学的variation は飛躍的に大きく、手術前 の三次元的解剖を明らかにする必要性が高まっています。現在の標準的な肺の区域切除、多亜区域切除は、比較的大きな創で、気管支、肺動脈、肺静脈を剥離、確認しながら行うものですが、もし、術前にそれらの3次元的な解剖が把握され、手術の手順を術者間で共有していれば、小さい創で、短時間に、最小の剥離で行うことが可能です。また、取り出す組織が小さければ、胸腔鏡手術の問題点である「いくら小さい創で手術しても、摘出した肺を体外に取り出す時、大きな創を開けなければならない」矛盾を解決できます。我々は、CTからポリゴンを作成(CTTRY)し、肺の解剖を忠実に再現するシステムを開発してきました。上記ソフトを使用、手術での肺門の解剖を完全に把握後、胸腔鏡補助下に短時間に、侵襲をより少ない形で区域切除を施行しています。


Fig.1 3Dモデル作製


Fig.2 手術室内運用

急性膿胸

 胸腔ドレナージ、抗生物質投与しても、肺の再膨張不良な場合は、胸腔鏡を用いた2-3時間の手術のよい適応となります。早期に手術した患者様ほど、肺の機能障害を残すことなく改善されています。

ステント治療

 悪性腫瘍による上大静脈(SVC)狭窄に伴うSVC症候群あるいは気管 気管支の狭窄に対して、ステントを留置することで、劇的に症状が改善します。その後の治療、QOLの改善に大変有用です。

気管支鏡下気管支充填術

難治性気胸に対して、気管支を閉塞し、空気漏れを止めます。閉塞には、フィブリン糊などの組織接着剤やシリコン製充填材を用います。

漏斗胸

  1. 漏斗胸とは
    漏斗胸とは胸の真ん中が凹んでいることをいいます。この凹みは左右対称であることもありますし、片方にかたよっている場合もあります。生まれた時から陥凹のある子もあれば、後になって徐々に陥凹が現れてくる子もいます。胸を囲んでいる肋骨とその前方に続く肋軟骨が何らかの原因で長くなりすぎて歪みが生じて胸の前方は凹むと考えられています。
    漏斗胸は家族内発生もあり、遺伝性もあると思いますが、はっきりした原因はわかっていません。
  2. ほおっておくと、どうなるの?
    ある程度の陥凹を持った例では、前胸壁の陥凹により心臓が押されて、心臓がかたよっていきます。すると、かたよった心臓に押されて、肺が膨らみにくくなります。
  3. 治療しなければいけないの? 手術の時期は?
    漏斗胸の程度、凹みの度合いの評価はいろいろあります。患者さんの体格、凹みも違いがあります。従来、心肺機能の低下という点から手術適応を決めてまいりましたが、外見上の異常を本人あるいはご家族がどれくらい気にするかが大きな要因と思います。つまり、漏斗胸手術は,ご本人の胸部変形に対する精神的な苦痛を取り除くという美容形成的 な意味があります.当科で行っている胸肋挙上術は,まだ骨の柔軟な幼児期に行うと 皮膚切開も小さく成人に比べ容易であり美容的にも優れているので,5歳前後の就学 前に手術をするのがよいと考えております.
    凹みの程度、治療について、さらにどのくらい矯正効果が望めるかなど、外来を受診していただければ、適切なアドバイスをさしあげることができます。尚、術式は、胸骨挙上術(胸肋挙上術)とペクタスバーによるNuss法を、症例に応じた術式を選択し行っております。


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