大学院・研究施設

概要

医学・医療の教育について広く研究および教育開発を行うために、1995年に医学教育学教室、2003年に医学教育学講座が設立されました。医学教育のあり方は学問・技術の進歩や社会の変容に応じて変化しており、時代に即した最適な教育を行うため、教育の考え方を探り、その方法を開発実施し検証することが講座の役割です。これまで新しいカリキュラムの導入、問題基盤型学習(problem-based learning; PBL)テュートリアル、チーム基盤型学習(team-based learning; TBL)など新しい教育方法の開発、臨床実習の改良などに深く関わってきました。

学部教育では、「医学の学び方・考え方」の授業等を通して、学生が医師となるために「いかに学ぶか」を教え、大学院では「いかに教えるか」を教育しています。人を育てることを研究することは大変面白いテーマです。医学教育の理論を学び、新しい教育を開発・実践し、その評価を行うことに興味のある方の入学をお待ちしています。教育の研究を行いながら、臨床あるいは基礎医学を学ぶことが出来るようにカリキュラムを組むことも可能です。
 

研究可能テーマ

(1)教育法の開発
問題発見解決能力、医療実践力(コンピタンシー)など、医療者の高等教育として高度な能力開発教育法を開発し検証する。

(2)アウトカム基盤型カリキュラムの開発と評価
測定可能な具体的教育目標(アウトカム)を設定し、アウトカムを評価しながら医学教育カリキュラムを改善するカリキュラムの策定・導入ストラテジー・教育効果測定を行う。

(3)教育効果の測定
カリキュラム評価としての教育効果の測定を行う。高等教育(学部教育)だけでなく、中等教育・成人教育・患者教育なども対象となる。

(4)医学生および医師の職業意識の研究
卒前・卒後の職業意識を調査し、職業意識開発を規定する因子の解明と高い職業意識を定着させる教育体系を確立する。

(5)女子医学生および女性医師の特性および就労支援の研究
世界的に増加している女性医師による医療社会の発展のため、女性医師の資質・特性を解析し、卒前・卒後、生涯教育およびリメディアル教育に活用する。

(6)臨床判断能力の教育法および評価法の開発
卒前・卒後の臨床推論能力を効果的に向上させる教育法およびその評価法についての実践的研究を行う。

(7)多職種連携教育に関する研究
安全で質の高い医療を行うためにはチーム医療は必要である。
卒前から多職種連携教育を行い、医療安全・個人およびチームとしての医療行為への意識を高めるための効果的な教育方法を開発する。

(8)シミュレーション基盤型医学教育プログラムに関する研究
患者さんにとり安全で効果の高い医療のために、シミュレーショントレーニングは国内外で医療者教育に欠かせないプログラムである。シミュレーション教育を卒前から行うことの利点と課題を検証し、医療を受ける側および学修者にとって有効なシミュレーション教育プログラムを開発する。

(9)外科系女性医師のキャリア構築に関係する研究
日本は諸外国に比べ極端に外科系女性医師が少ない。
外科系女性医師のキャリア構築に関する現状と課題を分析し必要かつ有用な育成プログラムを構築し、教育効果を検証する。

(10)医学部国際プログラムが医師の国際経験に及ぼす影響
海外クリニカルクラークシップや医学英語を中心とする医学部国際プログラムが、医学部生の英語医療技術修得やその後の国際経験に与える効果を検証する。
効果的な医学部国際プログラムの構築を検討する。
 
 

スタッフ紹介

教授・講座主任:大久保 由美子
教授:村崎 かがり
講師:山内 かづ代
助教:菅沼 太陽
助教:平野 万由子
非常勤講師:清水 悟

学会発表

大学院生は国内外の医学教育学会で研究成果を発表しています。20197月下旬にも大学院生は教室員と共に日本医学教育学会で口演発表をしてきました。
教室内でも常に研究内容について改良を重ねていますが、広い世界で意見交換することで研究に質を高めています。

医学研究科