医学部

化学療法・緩和ケア科

概要

本学化学療法・緩和ケア科では、腫瘍内科学に基づいた教育、研究と診療を行っています。腫瘍内科学は、がん(悪性腫瘍)の診断、治療、および予防を専門とする医学分野で、がんの発生メカニズムや進行に基づいた治療戦略の研究と実践を目的としています。近年、世界的にがん罹患者数が増加しており、がん治療は医療において重要な課題となっています。特に、がん薬物療法の進歩が今後のがん治療成績の改善に必須であり、日々進歩しています。そのため、がん治療は非常に複雑化しており、個々の患者さんに適切な治療を提供するためには、腫瘍内科学に基づいた診療がますます重要となっています。この学問分野では、治療効果を最大化し、副作用を管理するための方法や終末期の患者さんに対しては緩和ケアが重視され、生活の質(QOL)を維持することを目的とした疼痛管理や心理的サポートなど包括的な診療が必要となるがん診療の基本を学ぶことになります。

教育内容

 腫瘍内科学における医学部生の教育は、がん診療に関する基礎知識から実践的なスキル、患者中心の医療を実践するためのコミュニケーション能力まで幅広くカバーしています。がん罹患者数が増加し、治療方法が複雑化する中で、将来の医師が適切に対応できるよう、以下の内容が教育に含まれます。

1. がんの基礎知識
がんの生物学
がんの種類と特徴
2. 診断技術と評価
診断方法
がんのステージング
分子生物学的検査
3. 治療方法とその選択基準
化学療法の基礎
免疫療法・分子標的療法
放射線治療と手術
治療計画の立案
4. 副作用管理と緩和ケア
副作用の理解と対策。
疼痛管理
緩和ケア
5. アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と患者とのコミュニケーション
ACPの理解と実践
患者中心のコミュニケーションスキル
悪い知らせの伝え方
6. 臨床実習と症例検討
臨床実習:腫瘍内科での実習を通じて、実際の患者の診療や治療計画の立案、進行状況の評価について学び、実践力を高めます。
症例検討:実際の症例を用いて、治療方針の立案、治療経過の評価、問題解決能力を鍛えることを目的に症例検討を行います。
7. 最新の研究と臨床試験
臨床試験の意義
最新の研究動向

 このように、腫瘍内科学の教育は、がん治療に関する包括的な知識と実践的スキルを養うとともに、患者中心の医療と患者の意思を尊重したACPの実践、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力の向上を目指しています。

研究内容

化学療法・緩和ケア科における研究には、早期臨床開発、トランスレーショナル研究、レギュラトリーサイエンス研究が含まれます。早期臨床開発では、新しい薬剤や治療法の安全性・有効性を評価し、個別化医療に役立つバイオマーカーも探索します。トランスレーショナル研究は、基礎研究の成果を迅速に臨床応用へと橋渡しし、患者モデルを活用して治療効果や耐性を検証します。レギュラトリーサイエンス研究は、安全かつ効果的な治療法の社会実装に向けて規制や基準を策定し、信頼性の高い治療環境について明らかにすることを目指します。これらの研究を連携させることにより、がん治療の進展に貢献することを目指します。

スタッフ紹介

教授
近藤 俊輔
専門領域
内科学、
腫瘍内科学

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