医学部

高血圧学

概要

当教室は我が国唯一の内分泌センターの内科部門として,多彩な内分泌疾患(下垂体,甲状腺,副甲状腺,副腎など)の診療を行っており,症例数においては全国有数を誇る施設です。同時に内分泌疾患と関連が深い糖代謝異常,脂質異常症,骨粗鬆症,肥満症など幅広い疾患の診療に対応しています。また,日本人の約4000万人が対象となる高血圧症の診療にも専門的に取り組んでいます。当科では本態性高血圧症を複数のホルモン異常の集積疾患として捉え,高血圧と関連の深い動脈硬化を非侵襲的に評価し,血管を標的とした診療を実施しています。内分泌性高血圧,腎血管性高血圧などの二次性高血圧や妊娠高血圧症候群など,専門的な管理を要する高血圧症の診断・治療にも院内の各診療科と連携しながら幅広く対応しています。
当教室ではこれらの疾患の診療,基礎研究,臨床研究を通じて全身を総合的に診療できる臨床医,国際的に第一線で活躍できる医学研究者の育成を目指しています。
 

教育内容

卒前教育ではSegment 5を中心とした系統講義とテュートリアルの他,臨床実習では各自症例を担当し,上級医の指導のもと高血圧・内分泌疾患の診断,治療方針決定のプロセスを学びます。
卒後教育では初期臨床研修における必修内科分野の研修科として内科学の基礎が学べると同時に,研修二年次の選択研修科として希望者を広く受け入れています。後期臨床研修については5年間のカリキュラムに基づき,診療面においては内分泌疾患の専門的な検査(内分泌負荷試験,副腎静脈血サンプリング,甲状腺・副甲状腺・頸動脈エコー手技と細胞診)の適応決定やその解釈,治療法について学ぶことができます。研究面においては各自テーマをもち,研究手法,学会報告,論文のまとめ方についての指導が受けられ,希望者には臨床系大学院への進学も推奨しています。当科では日本内科学会総合内科専門医,日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医,日本高血圧学会高血圧専門医,日本甲状腺学会認定専門医, 日本動脈硬化学会専門医などの資格取得が可能です。
 

研究内容

●成長ホルモン分泌異常症(先端巨大症・成長ホルモン分泌低下症)についての基礎/臨床研究
●プロラクチン産生下垂体腺腫についての基礎/臨床研究
●ACTH産生腫瘍についての基礎/臨床研究
●間脳下垂体炎についての基礎/臨床研究
●甲状腺腫瘍・バセドウ病眼症についての基礎/臨床研究
●原発性アルドステロン症の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
●副腎性クッシング症候群の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
●(悪性)褐色細胞腫の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
●治療抵抗性高血圧における成因と治療についての基礎/臨床研究
●可溶性(プロ)レニン受容体についての基礎/臨床研究

スタッフ紹介

教授・基幹分野長
市原 淳弘
専門領域
内分泌疾患
(下垂体・副腎・甲状腺)
高血圧・妊娠高血圧

准教授
森本 聡
専門領域
内分泌疾患
(副腎)
高血圧・治療抵抗性高血圧

講師
渡辺 大輔
専門領域

大学院

研究可能テーマ
●成長ホルモン分泌低下症における内臓脂肪増加機序の検討
●間脳下垂体のRAS・交感神経系による血圧調節機構解析
●下垂体後葉で共存するバゾプレッシン・(プロ)レニン受容体の機能解析
●甲状腺機能異常症における組織RAS依存性臓器障害の発症機序
●副腎腫瘍における異所性受容体発現解析による機能獲得と腫瘍化の機構解析
●内分泌腺腫瘍細胞の浸潤性にかかわる遺伝子群の同定
●iPS細胞を用いた内分泌腺組織再構築法の確立
●生理・各種病態における(プロ)レニン受容体の役割と制御機構に関する検討
●生活習慣病(高血圧,糖尿病,脂質異常症)治療薬の神経・液性因子調節機構と動脈硬化抑制効果に関する検討


実習可能テーマ
●内分泌負荷試験の実施と評価
●血管柔軟性評価法,交感神経機能評価法
●甲状腺エコー,頸動脈エコーの実際
●間脳下垂体・副腎の画像診断と副腎静脈サンプリング

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