免疫抑制薬とは?

免疫抑制薬は体内で過剰に起こっている異常な免疫反応を抑える薬です。ネフローゼ症候群や膠原病において、ステロイド薬だけでは効果が乏しい場合や副作用により減量や中止しなければならない場合などの補助的選択薬として使用されることが多い薬です。

シクロスポリン (通称:ネオーラル)

T細胞の活性を抑制する薬で、主に臓器移植の急性拒絶反応に対する免疫抑制薬です。

適応は?

    1. 頻回再発型ネフローゼ症候群
    2. ステロイド抵抗性の難治性ネフローゼ症候群

副作用は?

腎障害、高血圧、多毛、神経障害、肝障害などを認めることがあります。

【腎障害】
腎臓の間質に線維化を起こすことがあります。血中濃度が高い場合や長期投与の場合に起こりやすいため、薬剤の血中濃度を測定することが大切です。

血中濃度の測定

内服後4時間までの血中濃度を1時間ごとに測定し、薬物血中濃度-時間曲線下面積(AUC)で評価するのが正確です(入院中に行います)。外来診療では、内服後1時間あるいは2時間の血中濃度を測定し、AUCを推算します。

注意点は?

    1. 食事の前に内服すること
      食後だと血中濃度の上昇が妨げられ、効果も劣ります。
    2. グレープフルーツジュースを飲まないこと
      薬を分解する酵素を阻害するため、血中濃度が高くなります。

ミゾリビン (通称:ブレディニン)

細胞の代謝を抑制する薬で、主に関節リウマチで使われる免疫抑制薬です。

適応は?

    1. ステロイド抵抗性の難治性ネフローゼ症候群
    2. ループス腎炎

最近、急速進行性糸球体腎炎の原因となるANCA関連血管炎でも全国多施設共同研究が行われ使用されています。

副作用は?

骨髄抑制(白血球、貧血、血小板減少)、感染症、間質性肺炎、急性腎不全、肝障害、消化性潰瘍などを認めることがあります。

注意点は?

    1. 血中濃度の測定
      腎臓から排泄されるため、特に腎機能が低下している場合は血中濃度を測定し投与量を調整します。

    2. 内服方法
      最近は1日量を朝1回内服するのがいいといわれています。

    3. 白血球数
      もともと白血球数が少ない場合には注意が必要です。

シクロフォスファミド (通称:エンドキサン)

細胞のDNA合成を阻害し、B細胞を抑制するアルキル化薬に分類されます。

適応は?

    1. 全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)ループス腎炎

    2. 血管炎(急速進行性糸球体腎炎)

ネフローゼ症候群の場合、ステロイド薬だけではうまく治療できない場合に使用します。

投与方法は?

【パルス療法】
注射薬を入院にて1回点滴します。 原則として4週間隔で繰り返し使用し、投与回数は年齢や症状に応じて適宜調整します。

副作用は?

骨髄抑制(白血球、貧血、血小板の減少)、出血性膀胱炎、胃腸症状、性腺抑制、重篤な感染症などを認めることがあります。

注意点は?

    1. 出血性膀胱炎への対策
      出血性膀胱炎が出現した場合、膀胱の中で血液が固まってしまうことがあります。それを予防するため、投与日は点滴や飲水(2~3リットルの水分)を十分に行い、尿をたくさん出すようにします。

    2. 感染症に注意
      血球減少を起こすことが多いので、血液検査でモニターするとともに、感染症の併発にも注意します。

    3. 累積投与量に注意
      生殖機能を低下させたり、長期的に膀胱腫瘍やリンパ腫を生じることがあるので、累積投与量が過量にならないように注意します。

アザチオプリン (通称:アザニン)

細胞のDNA合成を阻害する代謝拮抗薬です。

適応は?

    1. 全身性血管炎
    2. 全身性エリテマトーデスなどの膠原病

副作用は?

骨髄抑制(白血球、貧血、血小板減少)、ショック様症状、肝機能障害、悪性新生物などを認めることがあります。

タクロリムス (通称:プログラフ)

シクロスポリンと同様、T細胞の活性を抑制する薬です。

適応は?

ステロイド治療でコントロールできないループス腎炎

副作用は?

腎毒性、心筋障害、神経毒性、血球減少、高血糖などを認めることがあります。

ミコフェノール酸モフェチル (通称:セルセプト)

細胞分裂を阻害する薬です。

適応は? 

保険適応はありません。 ただし最近では、難治性のネフローゼ症候群、全身性エリテマトーデス、ANCA関連血管炎に用いることがあります。

副作用は?

感染症、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)、重度の下痢、肝機能障害などを認めることがあります。

免疫抑制薬による治療を受けられる患者さんへ  

妊娠希望の場合は主治医と相談してください

妊娠中、免疫抑制薬の多くは使用できません。妊娠を希望される患者さんは主治医とよく相談しましょう。

内服時間を守りましょう

免疫抑制薬は服用時間が決められているものが多いので、きちんと服用してください。外来ではその血中濃度をモニターしながら、副作用を最小限に抑えるように投与量の調整を行う必要があります。

費用について主治医に相談してください

免疫抑制薬が必要な疾患の多くは難病に指定され、公費負担があります。しかし、そうでない場合もあります。免疫抑制薬は薬価が高いですので、経済的負担が強い場合には主治医とよく相談ください。