腎生検

当科における腎生検は1974年に一例目を施行したのにはじまり、その歴史は長く30年以上にも及び、症例数も3000例を超えております。 現在では年間約100例の症例に腎生検を施行しております。

I. 腎生検施行症例数、性別、平均年齢、理由の5年毎の推移(1979-2008年)

5年ごとの腎生検施行の数、性別、
施行時年齢、施行理由
年 全合計 79-83 84-88 89-93 94-98 99-03 04-08
腎生検数 2404 335 385 435 375 436 438
性別(男女) 1082/1322 141/194 167/218 190/245 181/194 201/235 202/236
生検時年齢 37.0±14.8 30.0±9.9 33.3±12.6 37.1±13.9 38.3±14.8 40.7±16.7 40.8±15.9

腎生検施行理由【施行数/(%)】
無症候性
蛋白尿・血尿
735(31.5) 106(31.6) 107(27.8) 95(21.8) 119(31.7) 161(36.9) 169(38.6)
肉眼的血尿 230(9.7) 33(9.7) 43(77.2) 34(7.8) 33(8.8) 41(9.4) 46(10.5)
浮腫・尿の
あわだち
113(4.7) 7(2.1) 14(3.6) 22(5.1) 17(4.5) 41(9.4) 12(2.7)
ネフローゼ
症候群
660(27.5) 80(23.9) 124(32.2) 150(34.4) 104(27.7) 105(24.1) 97(22.1)
急性腎不全
(RPGN含む)
120(5.0) 8(2.4) 18(4.7) 23(5.3) 16(4.3) 30(6.9) 25(5.7)
腎機能の増悪 114(4.7) 4(1.2) 7(1.8) 15(3.5) 17(4.5) 24(5.5) 47(10.7)
全身性疾患 219(9.1) 35(10.5) 42(10.9) 54(12.4) 32(8.5) 28(6.4) 28(6.4)
その他 41(1.7) 9(2.7) 6(1.6) 7(1.6) 2(0.5) 4(0.9) 13(3.0)
不明 150(6.2) 53(15.8) 24(6.2) 35(8.1) 35(9.3) 2(0.5) 1(0.2)

II. A. 当科における腎生検疾患の内訳 (1979-2008年)

5年ごとの一次性・二次性腎炎に発症頻度(%)
年  79-83 84-88 89-93 94-98 99-03 04-08
一次性腎炎
微小変化型 16.5 13.6 13.6 13.3 11.0 9.0
巣状糸球体硬化症 7.7 8.6 7.4 9.9 8.7 10.2
膜性腎症 10.0 14.3 14.2 10.9 14.0 8.1
膜性増殖性糸球体腎炎 3.5 7.0 5.9 2.0 3.5 4.8
IgA腎症 44.4 42.5 47.0 52.4 50.9 57.4
メサンギウム増殖性腎炎 4.2 1.3 1.5 0.3 0.6 0.3
minor
glomerular abnormality
12.3 11.3 5.3 5.4 7.0 4.5
壊死性半月体形成性
糸球体腎炎
0.4 0.7 3.9 5.1 3.5 4.5
内皮細胞増殖性糸球体腎炎
(急性糸球体腎炎)
0.8 0.7 1.2 0.7 0.9 1.2
症例数(n) 261 301 338 294 344 333
二次性腎炎
ルーブス腎炎 80.0 77.2 74.0 41.5 39.3 40.0
その他の膠原病関連腎炎 2.0 0.0 0.0 0.0 1.8 0.0
紫斑病性腎症 12.0 12.3 11.0 17.0 21.4 27.3
糖尿病性腎症 0.0 1.8 4.1 9.4 25.0 16.4
アミロイドーシス 2.0 5.3 6.9 9.4 1.8 10.9
多発性骨髄腫 2.0 0.0 1.4 1.9 1.8 0.0
Light chain deposition
disease
0.0 0.0 0.0 1.9 1.8 0.0
クリオグロブリン 0.0 0.0 1.4 1.9 0.0 0.0
Collagenofibrptic glomerulonephritis 0.0 0.0 0.0 3.8 0.0 0.0
Immunotactoid/
fibrillary glomerulonephritis
0.0 0.0 0.0 1.9 0.0 0.0
血栓性血小板減少性紫斑病/
溶血性尿毒症症候群
0.0 3.1 1.4 1.9 0.0 0.0
コレステロール結晶塞栓症 0.0 0.0 0.0 0.0 1.8 0.0
妊娠中毒症 2.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
症例数(n) 50 57 73 53 56 55

B. 当科における腎生検疾患の内訳 (2011年, 全120例)

当科における腎生検疾患の内訳 (2011年, 全120例)

III.合併症

針で腎臓を刺す検査ですから多少の出血はありますが、ほとんどの人が追加で処置が必要となるような合併症はなく安全に終了しております。
 近年では約100例に1例ほど安静臥床期間が延長するような出血を認めた例と、約300-500例に1例ほどカテーテルによる止血術を施行した例がありましたが、その他に輸血、腎摘出、死亡例などはありませんでした。