年報2011

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2011年度の入院児の統計を表に示す。NICU入院児数は、震災の影響の結果都内の総分娩数が減少した影響と推測されるが、若干減少し159名であった。その多くは従来通り院内出生児で133名であった。したがって、病床には余裕を持つことができた。これらのNICU入院児とは別に、160名の児がGCUに入院となった。これらは集中治療は必要ないが、ハイリスク新生児として治療管理を必要とした児であった。同時期の全出生数も減少し685名であったが、院内出生児の約40%がハイリスク児であったこととなり、母子総合医療センターとして多くのハイリスク妊婦を管理していることが示された。

新生児部門では、母子同室児の管理も実施しており、NICUあるいはGCU入院児以外にも約350名の新生児の出生後の管理を行った。

以上のように本年度は、震災の影響により都内在住の外国人の分娩数が減少したことから、従来とは異なる統計結果となった。今後の動向については、もう少し経過を見る必要がある。

新生児部門の研究テーマとしては、従来から継続中の、心臓超音波検査による晩期循環不全時の新生児心機能解析、早産児の副腎皮質機能、早産児のビフィズス菌投与を含めた栄養方法の確立、慢性肺疾患動物モデルでの基礎実験、無接触型の心拍呼吸モニタ、新生児高インスリン血症の病態解明等があり、同時進行形式で実施されている。特に、慢性肺疾患のモデルは本学解剖学教室との共同研究で、研究成果が挙がっている。一方、厚労省の「周産期医療の質と安全の向上のための研究」が今年度からスタートした。本研究は年間6,000万円の予算で全国の周産期センターの診療内容を改善する介入研究で、研究本部としての役割を担っている。スタッフとしては、楠田 聡、内山 温、中西秀彦、戸津五月、増本健一、鷲尾洋介、青柳裕之、今井 憲に加え、首里京子、石田宗司が後期研修医として診療に加わった。また、文科省の人材育成事業の一環として上田典子が研修に参加した。さらに、研究班の研究計画を遂行するため、三ツ橋偉子が助教に、西田俊彦、森 臨太郎が非常勤講師に、佐々木八十子が研究員として加わった。また従来からの、八千代医療センター近藤 乾先生、東医療センターの長谷川久弥先生、帝京大学の星 順先生、自治医大の高橋尚人先生、愛育病院の加部一彦先生、聖母病院の猪野雅孝先生と連携を継続している。

NICU入院数(2011年4月1日~2012年3月31日)
出生体重 院 内 (母体搬送) 院 外 呼吸管理 死亡退院
-499g 1 1 0 1 0
500-999g 17 6 1 12 0
1000-1499g 14 6 0 10 0
1500-1999g 43 17 2 12 0
2000-2499g 23 10 3 8 2
2500g- 30 5 20 9 0