腎臓病

Kidney disease

腎臓の働き

腎臓は体液のバランスを一定にするために、尿という形で老廃物(尿毒素)や水分の排泄をしています。その他、ある種のホルモンやビタミンを産生しています。

腎臓は、体の左右にひとつずつ合計2つあり、腰よりやや高い位置で背中側に存在します。いわゆるソラマメの形をしていて、大きさはこぶし大で(縦10~11cm、横5~6cm、厚さ4~5cm)、重量は120~150gあります。

腎臓の機能には尿毒素の排泄と体液のバランスを一定にする働きとホルモンの分泌の2つがあります。

  • 水分バランスの調整

    体内の水分バランスが常に一定になるように、尿量を調整しています。とても暑い夏の日に喉がカラカラのときは、体に水分が不足している状態なので腎臓は尿量を減らします。また反対に、たくさん水やお茶を飲んだときは体内に水分が余っているので、腎臓は尿をたくさん作り水分を排泄し水分のバランスをとっています。

  • 老廃物の排泄

    食事により吸収された栄養素が分解され生活のエネルギーとして利用されますが、自動車の排気ガスと同じように体に利用されない老廃物が産生されます。これを尿毒素といい体内には不要な物質であるので、腎臓から排泄されることになります。

  • 電解質のバランス調整

    ナトリウム、塩素、カリウムやカルシウムなどは電解質といわれます。生命を維持するためにはこれらの電解質の濃度は厳密に一定に保たれていなければいけません。腎臓はこれらの電解質の濃度を一定に保つように調整する役割を持っています。

  • 酸塩基平衡の調整

    人間の体は常に弱アルカリ性に保たれています。腎臓は酸を排泄したり、アルカリを再吸収しバランスを保っています。

  • ホルモンの分泌

    血圧を調整するホルモンや赤血球を産生させるホルモンを分泌しています。また、カルシウムの吸収に関係するビタミンDを活性化させています。

慢性腎不全とは

腎不全とは腎臓の機能が低下した状態のことをいいます。つまりなんらかの原因により腎臓が尿を正常に作ることができなくなった状態です。尿が出なくなることにより様々な症状が出現します。腎臓の機能がある基準値以下に低下すると、自分の腎臓では生命を維持できなくなり、透析療法または腎移植が必要となります。

腎機能が正常の10~20%までに低下すると、以下の種々の症状が出現します。

腎機能低下による症状

  • 尿毒症

    腎臓の働きの一つは、体にある不要な物質である尿毒素を尿として体外に排出することです。このため腎臓の機能が低下した場合、尿毒素が体に蓄積してしまうことになります。尿毒素が異常に体内に蓄積されると尿毒症といわれ、吐き気、めまい、頭痛、食欲不振、疲労感などの症状があらわれます。

  • 水分バランスの異常

    腎臓の機能が低下すると、尿量が減ります。そのため飲んだ水分が体にたまってしまい、むくみや血圧の上昇がおこります。この時点で適切な治療が行われなければ体重はさらに飲んだ分だけ増加し、放置すれば心臓に負担をかけ呼吸困難に陥る場合もあります。

  • 電解質異常

    ナトリウム、塩素、カリウムやカルシウムなどは電解質といわれます。腎臓はこれらの電解質の濃度を一定に保つように調整する役割を持っています。
    腎臓の機能が低下した場合、これらの電解質濃度の異常をきたすことになります。いちばん恐ろしいのは、カリウム濃度が異常に上がった状態である高カリウム血症です。高カリウム血症を放置すると、不整脈があらわれついには心臓が止まってしまいます。

  • 酸塩基平衡の異常

    腎臓は体が極端にアルカリ性になったり酸性になったりしないように調整する機能を持っています。腎臓の機能が低下すると、この調整ができなくなり体が酸性に傾きます。

  • 腎臓から分泌されるホルモンの異常

    腎臓から分泌されるホルモンの異常によって高血圧になったり、貧血になったりします。また、ビタミンDが活性化されないためカルシウムのバランスが異常になります。

腎不全の治療法

腎不全の治療には腎移植と透析療法があります。

前に述べましたように、腎不全が進行した状態を放置すると命を失うことにもなりかねません。そのために機能の低下した自分の腎臓の代わりとなる治療法(腎代替療法)が必要になります。その一つが腎移植であり、もう一つの方法が透析療法なのです。