外来研修は 「臨床推論」の学びの場

よくある疾患で学ぶこと

カンファレンス

 たとえば

  • 急性下痢症診断と治療の原則は?
      止痢薬や抗菌薬の使い方
  • 上気道炎の治療において
      妊婦や授乳者、高齢者への投薬は?
      鑑別すべき疾患は?
  • プライマリ・ケアで胸痛の原因として頻度の高いものは?
  • 診断がはっきりしない場合の対応は・・・
      不明熱 などどう鑑別を立てていくか

 

症例: 39 歳 男性
主訴: 発熱 頭痛

現病歴:
約2週間前から発疹 4日前から38.5℃の発熱、激しい頭痛、吐気あり
前日に他院受診 髄膜炎疑いで当院救急外来を受診
頭部CTで異常なく、腰椎穿刺で髄膜炎は否定された  翌日、総診紹介

既往歴・家族歴: なし
アレルギー: なし
海外渡航歴: なし
来院時現症: 身長 174cm 体重 78 kg
 血圧 113/68 mmHg 脈拍 81/分 体温 36.5℃
 頭頸部:項部硬直なし 頸部・腋窩リンパ腫脹なし
 胸腹部: 異常なし 
 四肢:浮腫なし

 顔面・躯幹・四肢に径6~7mm大の紅斑が散在
 とくに 胸壁に25x15mm大の紅斑 
 中心に8x5mm大の痂皮付着
血液検査:(当院初診時)
 WBC 3840 /μL (Neut 75.6%, Lymph 17.5%, Mono 5.1%, Eos 0.3%, Baso 1.5%)
 RBC 506×104 /μL, Hb 16.0 g/dL, Ht 46.3 %, PLT 15.0×104 /μL
 AST 74 IU/L, ALT 69 IU/L, ALP 280 IU/L, γGTP 172 U/l T-Bil 0.6 mg/dl
 CRP 8.45 mg/dL

尿検査: 蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)
鑑別: 最初から発疹出現 水疱形成なく 帯状疱疹は考えにくい
 キャンプに郊外へ行っていたことが追加の問診で判明
 皮膚科にコンサルト: 刺し口があり ツツガムシ病が疑われる
経過:
 ミノマイシン300mg 3x 30日間投与 にて症状軽快

 ツツガムシ抗体検査で診断確定した

 

身体所見で診のがさずに

発熱で所見をとる際に以下の項目も忘れずにチェックしましょう

1) 皮膚所見:発疹、水疱、紫斑、Osler結節*、Janeway病変*

感染性心内膜炎

2) 頭部顔面所見:側頭動脈の圧痛 副鼻腔の圧痛
3) 眼所見:脈絡膜炎、Roth斑* 、眼底白斑病変

感染性心内膜炎

4) 耳所見:外耳道から可視範囲の所見
5) 口腔所見:口内炎所見(アフタ、水疱)、齲歯、歯肉腫脹、扁桃の腫脹や白苔の有無

感染性心内膜炎

6) 頚部所見:リンパ節腫脹、甲状腺、腫脹や圧痛

感染性心内膜炎

 

Robert M. Centor

Centor score

 

7) 胸部所見:肺雑音、心雑音、摩擦音、胸水を示唆する所見
8) 腹部所見:圧痛、腹膜刺激症状、筋性防御、腸管蠕動音、腹水、腫瘤、 psoas sign、 heel drop test
9) 背部所見:椎体部圧痛、CVAの圧痛、叩打痛

psoas sign

10) 直腸診:直腸腫瘤、前立腺圧痛
11) 生殖器所見:陰嚢腫脹、精巣・精巣上体圧痛、 外陰部潰瘍
12) 四肢所見:浮腫、筋圧痛、関節腫脹
13) 神経所見:髄膜刺激症状、項部強直、Kernig’s sign、 jolt accentuation

jolt accentuation テスト

jolt accentuation テスト
頭部を1秒間に2~3回の速度で左右に水平回旋させ、頭痛が悪化した場合に陽性

 

知ってて便利な手技

jolt accentuation of headache

        感度: 0.97 特異度: 0.60
   頭を振って頭痛増強なければ髄膜炎は除外
   感度が高い検査:性の時に除外診断の性能に優れている

psoas sign 右股関節過伸展

        感度: 0.16 特異度: 0.95
   陽性であれば虫垂炎、腸腰筋膿瘍を疑う
   特異度が高い検査:性の時に確定診断の性能に優れている

 

重症例・入院症例

急性心筋梗塞 大動脈解離 不安定狭心症 心房細動 慢性心不全 心筋炎
急性肺炎:非定形肺炎 レジオネラ肺炎 マイコプラズマ肺炎 自然気胸 肺塞栓
イレウス 重症膵炎 閉塞性黄疸 虚血性腸炎 悪性腫瘍(大腸・胃・膵など) SMA症候群
急性腎盂腎炎 急性腎不全 尿路腫瘍
細菌性眼内炎 SIADH 横紋筋融解症 多発筋炎 側頭動脈炎