腎移植

Renal transplanation

条件・検査

一般的条件

本人の意思で移植を希望されている方全員が、移植の対象となります。これに加えて生体腎移植の場合は、自らの意思で腎臓の提供を希望されている家族がいることが条件となります。

  • 年齢

    腎移植の年齢の上限は一般的に65〜70歳とされていますが、暦年齢による上限を設けてはいません。

  • 血液型

    腎臓を提供される方と血液型があっている必要はまったくありません。

    血液型が違っていても腎移植の成績は同等です。

  • リンパ球クロスマッチ陽性

    リンパ球クロスマッチとは、移植前に外来で行う検査で、移植を受ける方が、腎臓を提供される方に対する抗体(主にHLAに対する抗体)がないかどうかを調べます。一般的に、クロスマッチ陽性の場合、移植後早い時期に強い拒絶反応が出現し、移植腎を喪失する可能性が高いことがわかっています。このため一般的にはこのような組み合わせは移植を避けるべきとされます。しかし、東京女子医大泌尿器科では、リンパ球クロスマッチ陽性であっても、移植前にドナーに対する抗体を種々の治療により低下させ、クロスマッチを陰性化させ、移植を行っています。

  • 感染症

    移植後は免疫抑制薬を服用しなければいけないため、感染症がないことが条件となります。活動性の感染症はもちろんのこと、のちに感染のリスクとなるような状態がある場合は、治療を行った上で移植に臨みます。

  • ウイルス性肝炎

    ウイルス性肝炎のマーカーを調べ、体内のウイルスの存在を調べます。ウイルスがいる場合は、抗ウイルス薬による治療を先に行ってから、腎移植を受けていただくことになります。

  • 悪性腫瘍

    免疫抑制療法を行うため、悪性腫瘍(がん)がある場合は移植はできません。ただし、がんの種類によっては、治療後、一定期間再発がなければ移植可能とされています。

  • 心臓や肺の機能が悪い場合

    心臓や呼吸器が著しく悪くなければ移植可能です。透析療法は体の水分バランスが不安定なので心臓や呼吸器に負担をかけますが、逆に腎移植は心臓や呼吸器にやさしく負担をかけません。心臓や呼吸器機能が悪いために透析療法が継続困難な場合、積極的に腎移植をすることにより心臓や呼吸機能を回復させることができます。

    東京女子医大泌尿器科では他科と連携して、いかなるご病気を持っている患者さんでも腎移植が受けられるように努力しています。そのため絶対的に腎移植できない条件は少なくなっています。他の病院や透析施設で心臓が悪いなどの理由で移植できないといわれた方でもあきらめずにわれわれの移植外来を受診してください。

検査

移植外来を受診してください。そこで、腎移植の説明や実際に移植可能かどうか検査をさせていただきます。

生体腎移植を受けるためには、移植を受けられる方(レシピエントといいます)が自らの意思で移植を希望されていること、腎臓を提供される予定の方(ドナー)が、ご家族の方(夫婦間も含む)で自らの意思で腎臓の提供を希望されている方であることが必要になります。

外来受診の際には、本人とドナーの方とご一緒に受診していただきます。その際、現在透析を受けている病院またはクリニックからの紹介状と最近の検査データをお持ちください。外来での説明や検査の有用な情報になります。

初回外来受診時は、外来医より一般的な東京女子医大泌尿器科の移植の説明があります。その後、診察をさせていただき採血を行います。

採血では一般的な採血の項目の他に、血液型、HLA(白血球の血液型)、本人とドナーとのリンパ球クロスマッチ(本人とドナーとの血液で反応性を見る)に関して検査します。2週間程度で結果が出ます。2回目以降の外来でレシピエントの方は、心電図、呼吸機能、膀胱の大きさ、骨密度、眼底検査、胃内視鏡などを検査いたします。これらはすべて腎移植が問題なく行えるかどうかを判断するために調べますが、いずれかの検査で異常があったとしてもすぐに移植不可能であることを意味しません。例えば心電図に異常が見つかっても、循環器内科で心臓を詳しく調べ、必要があれば治療を受けていただき、それから腎移植を受けていただくことになります。特に10年以上の長期透析をされている方は、症状がなくとも様々な合併症がある場合が多いので念入りに検査させていただきます。これらの異常を見逃して腎移植を行いますと、移植の手術中や移植後に思わぬ合併症(心不全や呼吸不全など)が出現する可能性があります。

外来検査で移植手術が可能であると判断されましたら、移植予定日の1カ月前までに入院予約を行います。入院日までは従来どおり透析施設で透析療法を行ってもらいます。

腎生検とは

拒絶反応や腎炎再発などの診断のために行う検査です。拒絶反応の確実正確な診断は腎生検でしかできません。移植腎機能が悪くなる原因は拒絶反応だけではなくいろいろな原因がありますので、それぞれの原因にあわせた治療法を決めるために腎生検を行います。またときには腎臓の機能が悪くなっていないのに先生から生検をしましょうといわれる場合があります。これはみかけの移植腎の機能が安定していても、実はゆっくり拒絶反応が進行している場合があるからです。この場合自覚症状はまったくなく、採血でもクレアチニンの上昇がありませんが、しばらくすると少しずつ腎機能が悪化してしまうのです。ですから移植腎機能が安定していても定期的に生検を行うことがすすめられます。

腎生検によってわかること

  • 拒絶反応

    移植腎の中にリンパ球が入り込み移植腎を破壊している像がみられます。

  • 移植腎腎炎

    移植した腎臓に透析になった原因の腎炎が再発している場合があります。

  • 動脈硬化

    動脈硬化が進行すると移植腎の血管が肥厚し狭くなります。

  • 薬剤の影響

    シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制薬によって移植腎に変化をきたすことがあります。

腎生検の方法

生検は針生検といって超音波で腎臓を見ながら生検用の特殊な針で腎臓の組織を採取します。

  • 体勢

    病室のベッドで仰向けに寝て行います。生検後、出血の予防にベッド上での安静が必要ですので入院をして行います。

  • 麻酔

    局所麻酔にて行います。

  • 方法

    まず移植腎を超音波でよく観察し針を刺す場所を決定したら麻酔の注射を行います。麻酔が効いたところで生検用の針で組織を採取します。通常は2~3回採取します。採取した後は腎臓から出血しないように15~30分間針を刺したところを手で圧迫し止血します。終了後6時間はベッドの上で安静にします。

腎生検の合併症

まれに以下のような合併症が発生することがありますが、適切な治療により回復します。

  • 出血

    針を刺した部位から出血を起こすことがあります。もともと血が固まらなくする薬を飲んでいる場合に起こるリスクが高いです。また、きわめてまれですが出血が多い場合は手術をして止血することもあります。

  • 血尿

    まれに生検後血尿になる場合がありますが、程度が軽ければ自然に止まります。血尿がひどい場合は血管造影をして出血部位をコイルで詰めて止血することがあります。

  • 腎動静脈瘻

    生検の針を刺すことにより腎臓の中の動脈と静脈が交通してしまうことがあり、これを腎動静脈瘻といいます。交通した血管が細い場合は自然に治りますが、大きな血管の場合は動脈造影をしてコイルで詰めて治療します。