研修体験報告

コンピタンシー評価小論文

自分自身の研修を振り返って、何ができたか、何を学んだか、将来どんな医師になりたいか

初期臨床研修医 第17期生

 私にとって東京女子医科大学病院での二年間の初期研修は学びの多いものでした。その中で、特に印象的な学びが二つあります。

  一つ目は、循環器内科ローテーション中に指導医から教わった患者さんへの向き合い方です。私はそれまで、ローテーションしている診療科に関わる主病名のみに注目しており、その他の診療科でフォローしている病気に関しては、あまり自分で考えようとしていませんでした。しかし、指導医の先生から「主治医として患者さんに関わる以上、全ての内服薬や既往症、併存疾患の治療まで自分一人で診るように勉強しなければならない。」ということを学びました。今となっては当然のことですが、当時このことを指導医から厳しく教えて頂いたことで、自分の関わる患者さんへの責任の持ち方を改めることができ、その後の研修をより学びの深いものにすることができました。

  二つ目は、病棟での他職種スタッフとの関わり方です。様々な診療科をローテーションしながら学んだのは、自分が思っている以上に報告・連絡・相談が大切だということです。研修を行う中で、自分なりに伝えたつもりでも、相手スタッフに指示が伝わっていないことや、逆に自分は理解したつもりでも相手の言っていることを十分に理解していなかったということが何度もありました。また、場面によっては口頭で伝えるべき連絡と文章で伝えるべき連絡があるということや、一度伝えるだけでなく前日、当日と数回連絡した方が良い事項があるということも経験しました。日々病棟で研修をする中で、どんなに忙しい日でも患者さんに不利益が出ないよう、また患者さんに関わる全ての医療スタッフのストレスが少しでも減るように自分が出来ることは何があるかということを日々考えながら診療に当たること。それだけでなく、万が一ミスがあった場合にどのようにスタッフ間でそのミスをカバーするのか、次のミスを防ぐための対策として何が出来るかということをスタッフ間で話し合うことも大切な仕事だということを、研修生活の中で学ぶことが出来ました。

  上記二つのような学びの多いエピソードを、女子医大での研修生活の中でいくつも経験して来ました。そして研修修了を控えた今、この場所でならもっとたくさんの事を経験して学べるはずだという期待を抱き、私は当院内科での後期研修医を志しています。

 この2年間で学んだことを活かし、これまで以上に知識を増やせるよう、そして患者さんや他職種スタッフとの関わり方を学んでより良い医師になれるように、努力を重ねていきたいと強く思います。

初期臨床研修医 第17期生

 初期研修医として働き始めて1年半が経ちました。私は20年以上に渡り、国外で生活や勉強をしてきました。帰国して日本で生活をするようになりましたが、日本の文化に慣れることは容易いことではありませんでした。

  研修初期には、基本的な手技、カルテ作成、患者さんとのコミュニケーションなど慣れない仕事ばかりで全ての場面で緊張ばかりしていました。最近は少しずつ勤務にも慣れて病棟業務がスムーズになり、上級医の指示待ちだけでなく、自分で考えて動けるようになってきました。私が一番懸念していた日本語での会話や患者さんとの接し方など、日常的な何気ない会話・患者さんへの病状や検査結果の説明、どういう話し方をすれば患者さんに納得してもらえるのかなど、悩んだ毎日でしたが、繰り返しそれらの対応を経験することで、私らしい対応ができるようになってきました。

  実際に臨床を行い一人ひとりの患者さんと直接接することで、鑑別診断や方針を考え、自分に不足している事は何か、患者さんとの関係をどのように築いていくのが良いのかを考える日々を通して、業務をスムーズに効率よくすることは大事だが、常に「これで良いのか、他のやり方はないか」など、自分の仕事や判断について振り返り点検する、仕事を効率よくこなすのではなく、患者さんの求める適切を尽くせるように努力する姿勢が大事だと学びました。

 研修の中で一番に印象に残った患者さんがいます。その患者さんは肺癌術後再発で化学療法を開始したところ、副作用が強く、全身状態が衰弱しており、食事摂取不良の状態となりました。そこで、食事について患者さんと話をしました。「甘いものが食べたいな、でも糖尿病あるからね。」、「毎食メイバランスがあるけど、その味はもう飽きた。」など食欲はないけれども、もう少し工夫したら少しでも食べられるかもしれないという思いを込めて、病院食の種類を調べて患者さんと話しました。「ありがとう、頑張って食べてみる。」という言葉で患者さんとの距離が短くなったと感じ、強くやりがいを感じました。患者さんに温かい医療を提供するには疾患の治療に限定せず、患者さんの心理や生活歴など、あらゆる面も含めて幅広く考慮しながら、治療にあたることが大事だと考えています。

 私は将来、医療知識と実力を持ち、患者さんが抱いている不安に寄りそえる、患者さんの気持ちを一番大切にできる温かい、頼りになる医師になりたいと思います。 この1年半の研修を通して、病棟・外来で様々なことを経験しました。これからの後期研修も、今までの教えをもとに、正しい知識や技術を身につけて患者さんに寄り添い、安心感を与える医師を目標とし、今後の医師の道に歩んでいきたいと思います。

初期臨床研修医 第17期生

 2年間の初期臨床研修がまもなく修了しようとしています。見慣れた同期達の顔が入職当時よりも力強く、頼もしく感じられるのは私だけではないと思います。

  私の初期臨床研修の第一歩は新型コロナウイルスの感染拡大と共に始まりました。4月の救命救急センター配属からスタートして、新型コロナウイルスの影響で例年とは全く異なる医療現場であった為、不安な気持ちが大きかったのを覚えています。現場で一番初めに学んだことがフルPPEであった事は、今でも忘れません。救急という診療の場では、時には一刻を争う状況にも関わらず、自分の出来ることの少なさ・無力さと直面する日々でした。当初、点滴のルート1つ確保するだけで汗びっしょりとなりました。また、経験の浅い私が白衣を纏い、外来や病棟に立つだけで「先生」と呼ばれ、患者さんからの病態説明を求められる事や、メディカルスタッフに指示を求められる事に初めは不安しかなく、自身の選択が正しいのかさえ自信が持てない毎日でした。そんな中、先輩医師からのお言葉は私の心の支えとなりました。「初期研修医の最初はそういうもの。皆最初は出来ない。何でも質問して欲しい。」と、声をかけてくださる先輩医師達のお言葉や存在はとても頼もしく、私が医師としての歩みだしを後押ししてくださったのは間違いありません。疾患や治療に関する知識が深まったのは勿論、医師としての基本的な心構えや考え方を学ぶ上で大きな存在でした。

 2年間の初期臨床研修で私が出来るようになった事、学んだ事は数えきれないほどあります。しかし、その中であえて焦点を当てるとするならば、私は医療・疾患に対してアカデミックなアプローチをする機会を得られた事を挙げたいです。病棟にて珍しい症例を担当させていただき、治療に難渋するもどかしさを経験しました。更にその症例に対して学会発表、症例報告まで経験出来たのは若輩者の私にとって大変貴重な経験でした。学術的な視点による考察を初め、論文検索の手段、学会発表のノウハウ、症例報告の記載の仕方など手取り足取りご指導くださった事はとても勉強になったと同時に、日々の診療の合間にご指導頂いた事は大変感謝しております。この様な経験を経たからこそ、学術・研究的な視点も持ちながら日々の診療を行う重要さ、また学問的な面白さを知る事が出来ました。まだまだ医師としては未熟な存在ではありますが、研修医時代に得たこと感じたことを忘れずに精進して参りたいと思います。

 最後に、私達を日々温かく、時に厳しく指導してくださった各診療科の先生方に心より感謝申し上げます。また、私達の研修にいつも気を配り支えてくださった研修センター長の坂井先生、アドバイザーの先生方、センター職員の皆様にも心より御礼申し上げます。さらに、お互いに協力し、切磋琢磨し、笑い、時には苦しみながらも皆で成長してきた17期の同期達がいる事は一生の財産です。

初期臨床研修医 第17期生

 母校に残り初期研修を開始したが、早くも初期研修期間の終わりが近づいてきた。
 多様な症例がみ診られる事から後期研修も女子医大病院に残り、皮膚科を専攻することを決めた。患者さんのために謙虚に学び続けることを理想像として掲げてきたが、初期研修でできたことや、学んだことをこの機会に改めて振り返ることとした。

  まず、できるようになったこととして、患者さんへの対応が挙げられる。最初は救急外来でのウォークインの患者さんの対応が苦手だったが、複数の診療科のローテーション中に外来を経験する機会があり、初診の方から話を聞いてまとめること、必要な所見をとり、検査の検討や説明など、以前よりはスムーズに行えるようになったと感じている。今後もより限られた時間の中で多くの患者さんを診ることになるが、診るべきところはきちんと診察し、患者さんの不安や症状に対しても寄り添えるようになりたいと思っている。

 他に、手技や処置等、だんだんと上手にできるようになってきたが、できる機会が増えるにつれて、ラインキープや採血などをはじめとした基本的な手技でも準備や過程を疎かにしたり、複数回施行することが増えたりすると時間や労力がかかり、1日の流れが乱れることを実感するようになった。まずは何事も準備をしっかりと行うこと、正しい過程を踏むことの重要性を感じた。

 次に学んだことだが、一番に挙げるならば人間関係であると思っている。医療職というのは、患者さんその家族、医師や看護師をはじめ院内・院外の他職種の方々など、様々な人と関係を持つ職業であると感じた。
例えば、地域医療では、他院と連携して医療を行うために診療情報提供書の作成等、書類関係の仕事も必要で重要なことであると学んだ。

  他にも、研修を通じて患者さんにも多様な人がいて、説明しても理解してもらえない、同意を得られないなど一筋縄ではいかない場面に数多く遭遇してきた。患者さん一人一人に異なる社会背景があり、帰宅・退院してからどう過ごすかも全く異なっている。一人一人に対して何が適しているかを考えて、出来ることをする対応力が必要であり、本当に必要な場合には分かってもらえるまで工夫して伝え続ける努力が求められると感じた。 医師だけでなく看護師をはじめ多職種で患者さんを診ており、情報共有をすることの大切さも学んだ。まずは態度・言葉遣いに始まり、良好な人間関係を築くことが良い医療を提供するための第一歩になると思った。

 患者さんのために謙虚に学び続ける医師でありたいという理想像に変わりはないが、何事も基礎があって応用がある。いわゆるcommonな疾患・病態への対応はできた上で、専門的な事を学び深めていけるよう、今後も研鑽を積みたいと考えている。

初期臨床研修医 第17期生

 研修生活を振り返り、習得したこと・学んだことは大きく2つある。
 1つ目は、多職種と協力しなければより良い医療は提供できないということである。医学生時代から「チーム医療」という言葉を耳にし、その大切さを学んできたが、実際に医療現場へ出て、患者さんに対する治療を経験することでチーム医療の大切さを身に染みて感じた。我々医師は検査や薬のオーダーを行うが、その多くは臨床検査技師や看護師の方々により実行される。また、病棟までの食事の配送やその食事の用意をして下さる調理師や物品や患者を検査室や外来まで搬送してくださるヘルパー方々など病院を運営していくうえで携わっている職業をあげるとキリがない。日々何気なく行っている医療行為の中で、皆様の努力や思いやりがどれ程注がれているかを感じ取り、決して驕ることなくありたいと思う。

  2つ目は、患者さんへの思いやりが何よりも大事だということである。忙しい時などには特に、我々にとってその患者さんは日々の大勢の患者の中の一人という風に捉えてしまい、採血などの検査も作業の様に感じてしまうことがある。しかし、患者さんにとっては採血ひとつにおいても針を刺すという苦痛を感じ、さらにはその結果が自分に伝えられなければ大きな不満を持たれると思う。加えて、なぜその検査及び治療を行うかを理解できなければ、お互いの信頼関係も構築できず、よりよい医療を提供出来なくなる。医療現場に慣れ、効率よく診療を行えるのはいいことだが、常に患者さんの立場に立ち、自分がされてどう思うかをしっかり考えながら日々の医療に従事したい。

 多くの知識を持ち、的確な治療を行えるような医師を目指すだけでは足りない。周りの人達の手助けに感謝し、他の医療従事者と協力して医療を行いたい。加えて、常に相手の立場に立ち、患者さんの苦しみや悩みなどを共有し、決して独りよがりな振る舞いをしないような医師になりたいと考えている。

初期臨床研修医 第17期生

 亡くなった祖父は呼吸器外科医でありましたが、常に色んなことを吸収しようとする努力の人でもありました。私が医師になろうと思った経緯はまた別にありましたが、その背中を見て育ち、いつか祖父と一緒に仕事をしたいという思いもありました。彼が残した言葉に、「名医より良医、患者さんをよく見なさい。」という言葉がありますが、研修医になり学生時代以上に、この言葉の意味を理解できた気がしました。

 研修医になって学生時代とは意識も生活も大きく変わりました。学生時代は興味の有る無しに関係なく、試験に追われながら机上で医学の知識を学ぶだけでした。医師となり学生時代に得た知識を臨床に活かすという次の段階へ進みましたが、実際の臨床の現場では知識だけでは治療は進行していかないことに気づきました。患者さんは1人の人間であり、どのようなや治療や検査であれ、個々に病気を抱えて不安も持ち合わせています。いくら知識だけがあっても、その不安に寄り添っていかない限り、治療はうまく進まないのです。どう対応したら良いのか戸惑うこともありましたが、患者さんごとに対応の違いはあるものの、諸先生方の所作や言葉遣いを見て、聞いて身につけることができました。

  また、医師になって、色んな手技を習得したいという意欲と、それを実践させて頂ける環境を手に入れることができました。しかし、痛みだったり出血だったりと侵襲がある手技も中にはあり、合併症のリスクがあるものも存在します。だからこそ、確実に正確な技術を習得しなければならないと思い、少しでも空いた時間は手技の見学や練習も積極的に参加しました。私であれば気管支鏡や手術がそれに当たります。女子医大での研修は、自学自習の時間を作れることと自分の意欲を受け止めて指導してくださる上級医に恵まれている点でとても感謝しています。

  2年間の初期研修はとても短いものでしたが、気軽に相談し合える同期に恵まれ、学び多き充実した毎日でした。この研修で得られた同期たちとの縁は生涯の宝物です。また、ローテートした科でご指導してくださった先生方、一緒に入院患者さんの管理を行う看護師さん方、色んな検査を支えてくださるコメディカルの方々、多くの人が携わって医療が成り立っていることを実感できました。これからも色んな人との繋がりを感じながら、確実な知識と技術を身につけ、人の気持ちに寄り添えるとともに色んなことにアンテナを張って謙虚な姿勢で努力し続ける、そんな呼吸器外科医を目指して精進していきたいと思います。