平成28年度 東京女子医科大学病院 病院指標

●「病院情報の公表」 について
 DPCデータ(※)から、厚生労働省が定める集計条件に基づいた指標を作成し、公表を行っています。
 
  ※DPC(診断群分類)とは、「Diagnosis Procedure Combination」の略であり、
   入院される患者さんの診断病名と治療方法の組合せによって決定される分類です。
   その分類に基づいた診療データ全般をDPCデータと呼びます。
 
 ・平成28年度(2016.4.1~2017.3.31)中に、当院を退院した患者さんを集計対象としています。
 ・医科(歯科以外)で保険診療された患者さんが対象で、労災、公害、自賠責、自費での診療データは含まれません。
 ・入院後24時間以内、または生後1週間以内に亡くなられた患者さんは集計対象外です。
 ・臓器移植を受けた患者さん、または提供者(ドナー)の方も集計対象外です。
 ・集計の結果、人数が10人未満となった項目は、数字の代わりに 「-」(ハイフン)を表示しています。
  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,558 722 938 1,800 2,597 2,917 4,594 4,655 2,024 225
●「年齢階級別退院患者数」 について
 退院した患者さんの人数を年齢階級別(10歳刻み)で集計しています。年齢は入院日時点での満年齢です。
 
【解説】
 当院では幅広い年齢層の患者さんに入院医療を提供していますが、特に症状が重くなりやすい60歳以上の患者さんが約半数を占めています。また、10歳未満の患者さんが比較的多い理由として、NICU(新生児集中治療施設)、GCU(回復期病床)を有する新生児診療施設であることや、小児科関連診療科による横断的組織「小児総合医療センター」の開設により、幅広い視点での医療提供に取り組んでいること等が挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
●「診断群分類別患者数等」 について
 診療科別に、診断群分類別患者数等を集計しています(人数の多い順に5つまで)。
 
 「DPCコード」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁のコード(番号)です。
 「DPC名称」 … 「DPCコード」に対応する名称です。診断病名や、治療方法等で構成されています。
 「平均在院日数(自院)」 … 当院で入院していた日数(在院日数)の平均値です
                   (入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります)。
 「平均在院日数(全国)」 … 厚生労働省より公表された、全国のDPC対象病院の平均在院日数です。 
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 47 34.89 34.90 0.00% 66.00
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 45 22.60 16.83 0.00% 67.36
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2 2あり 45 44.84 41.96 0.00% 54.69
130030xx99x30x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 16 20.25 17.63 0.00% 67.94
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 3あり 15 30.87 36.08 0.00% 47.20
 血液内科で扱う血液悪性腫瘍のうち、最も患者数が多いのは悪性リンパ腫で、そのうち90%以上が非ホジキンリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫はさらに40種類以上のタイプに細分化され、タイプおよび進行度により治療法が異なります。治療としては基本的には、抗がん化学療法、または放射線療法、あるいはその両者を実施します。抗がん化学療法は基本的に繰り返し治療を行います。入院期間は平均3週間程度で、治療法によっては入退院を繰り返しながら治療を実施します。多くの場合、初回治療のみ入院で実施し、副作用など問題がなければ、2回目以降は通院で実施します。
 急性白血病は悪性リンパ腫とならぶ代表的な血液悪性腫瘍です。抗がん薬により治療します。また治療は基本的に入退院を繰り返しながら、すべて入院で実施します。
内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 254 5.60 6.12 0.00% 53.40
100260xx9910xx 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 93 4.85 6.78 0.00% 49.52
100250xx99101x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 43 4.53 9.96 0.00% 57.37
100260xx9710xx 下垂体機能亢進症 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 38 19.18 20.12 0.00% 51.68
100202xxxxxxxx その他の副腎皮質機能低下症 24 6.08 11.62 0.00% 50.46
 内分泌内科で最も多い症例は、高血圧にかかわるホルモンが出る副腎に起きた病気を診断・治療するための入院で、主に原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群の治療を行っています。
 2番目の症例は、全身のホルモンをコントロールする下垂体に起きた病気を診断・治療するための入院で、主に先端巨大症、プロラクチノーマ、クッシング病などの診断・治療を行っています。いずれも手術治療が無ければ4~6日の入院で済みます。
糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 重症度等 85歳未満 142 10.17 11.48 0.00% 61.60
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 重症度等 85歳未満 89 14.63 14.61 0.00% 62.07
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 40 14.85 12.84 2.50% 60.13
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり 40 39.38 37.06 7.50% 59.80
100060xx99x100 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 重症度等 85歳未満 35 11.97 13.46 0.00% 39.69
 糖尿病・代謝内科で最も多い疾患は2型糖尿病であり、主に血糖コントロールや慢性合併症の精査、治療のために入院していただいています。血糖コントロールの目的で入院された場合には、管理栄養士による個別食事指導やインストラクターによる運動指導を行うとともに、個々の患者さんに最適な薬物療法(経口血糖降下薬およびインスリンなどの注射薬)を選択します。合併症の精査では、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害に加え、うつなどの神経精神科疾患、歯周病などの歯科・口腔外科疾患、脂肪肝や膵疾患などの消化器疾患、さらには産婦人科疾患などにも十分配慮して、患者さんの負担がないよう検査を行っています。
 当科では特に糖尿病性腎症の診断、治療に力を入れており、その結果、腎症による末期腎不全患者さんの入院も多くなっています。年間あたり60名前後の糖尿病性腎症患者さんが、入院のうえで透析療法を開始しています。透析療法は、血液透析と腹膜透析のいずれにも対応しています。
 さらに当科には、全国から多くの1型糖尿病患者さんが受診されており、血糖コントロールの目的や、さらには1型糖尿病の根治療法である膵臓移植の目的で入院される患者さんも増加しています。最近では、連続糖濃度測定装置(CGMS)を用いた24時間の血糖連続的測定や、連続皮下インスリン持続注入法(CSII)、さらにはパーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプ療法の導入なども、入院の上で対応しています。膵臓移植は当院の腎臓外科で行っていますが、その適応判定や移植後の管理は当科が主体となって行っています。
糖尿病眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2 なし 重症度等 片眼 76 9.72 8.27 0.00% 57.12
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 重症度等 片眼 9.15
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 7.72
180040xx97x0xx 手術・処置等の合併症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 15.58
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 重症度等 片眼 7.01
 糖尿病眼科は、糖尿病網膜症や白内障、血管新生緑内障などの糖尿病眼合併症を専門に治療する診療科で、外来・病棟ともに糖尿病・代謝内科と一体となって、特に全身管理を必要とする重症の糖尿病患者の眼合併症の治療に取り組んでいます。したがって、重症な糖尿病性増殖性網膜症に対する硝子体手術や血管新生緑内障の手術が中心となっております。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 108 6.65 7.72 0.00% 69.37
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 重症度等 片眼 58 7.60 10.53 0.00% 55.16
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 24 7.25 7.70 0.00% 68.00
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 重症度等 片眼 21 6.71 7.01 0.00% 62.43
180040xx97x0xx 手術・処置等の合併症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 14 6.07 15.58 0.00% 63.50
 眼科では黄斑疾患診療を得意としており、黄斑前膜や黄斑円孔といった代表的疾患に対する硝子体手術を受けられる患者さんの入院が最も多くなっております。また網膜剥離に対する網膜復位術や、外傷などの緊急手術を要する患者さんも広く受け入れており、迅速な対応を行っています。侵襲性の少ない手術加療を心掛けており、平均在院日数も全国的にみても短い傾向にあるのが特徴です。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 71 8.15 7.47 0.00% 57.68
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 40 8.73 7.75 0.00% 55.45
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 36 8.86 9.36 0.00% 51.83
030428xxxxxxxx 突発性難聴 27 10.07 9.37 0.00% 53.89
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 23 9.43 8.12 0.00% 31.52
 耳鼻いんこう科で最も多い症例は、鼻の病気を治療するための入院で、好酸球性副鼻腔炎や慢性化膿性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療のために内視鏡下鼻・副鼻腔手術、鼻中隔弯曲症の治療のために内視鏡下の鼻中隔矯正術、アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎の治療のための下甲介手術を行なっています。
 2番目に多い症例は頭頸部の腫瘍の症例で、大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の腫瘍摘出術や唾石に対するシアルエンドスコープを用いた手術を多く行なっています。
 3番目に多い症例は、耳の病気を治療するための入院で、慢性化膿性中耳炎・真珠腫性中耳炎・中耳奇形・耳小骨離断の治療のための鼓室形成術、顔面神経麻痺や耳硬化症の治療のための、顔面神経減荷術やアブミ骨手術を行なっています。
 4番目に多い症例は、原因不明の突然起こる難聴(突発性難聴)の症例で、ステロイドの漸減療法や高圧酸素療法などの治療を行なっています。
 5番目に多い症例は、扁桃、アデノイドの慢性疾患で、特に習慣性扁桃炎や病巣感染症(IgA腎症)の治療のための口蓋扁桃摘出術を多く行なっています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 68 9.21 8.96 0.00% 67.25
080050xxxxxxxx 湿疹、皮膚炎群 58 14.14 10.70 0.00% 37.29
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 38 14.92 11.97 0.00% 57.32
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 30 5.27 4.28 0.00% 51.93
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 15 5.07 8.78 0.00% 73.93
 帯状疱疹は健康な方でも発病しますが、高齢者、免疫抑制患者さんなどでしばしば見られます。このような患者さんでは、皮膚症状が軽快した後に後遺症としての神経痛を残すことがあり、入院して十分な管理のもとに治療しています。
 湿疹、皮膚炎群のなかで最も多いのは、成人のアトピー性皮膚炎の悪化例です。外用療法とともに、紫外線を用いた光線療法を行い、軽快したあとの外来での維持療法につなげています。
 急性膿皮症としては、下肢の蜂窩織炎がしばしば見られます。糖尿病を合併している患者さんも多く、適切かつ十分な抗生物質による治療が必要です。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 48 17.60 18.04 2.08% 59.29
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 重症度等 発症前Rankin Scale 0、1又は2 19 19.68 16.54 15.79% 66.53
010155xxxxx2xx 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2 2あり 15 18.53 17.80 0.00% 68.80
010090xxxxx00x 多発性硬化症 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 14 16.79 13.92 7.14% 40.36
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 手術・処置等2 なし 12 9.67 6.38 0.00% 64.08
 神経内科で最も多い症例は、慢性炎症性脱髄ニューロパチー(CIDP)をはじめとした免疫介在性・炎症性ニューロパチーです。脳脊髄液検査、末梢神経伝導検査、針筋電図などの神経生理検査、必要な場合は末梢神経・筋生検による病理診断を的確に行い、免疫グロブリン大量療法(IVIg)を中心とした治療を行っています。また最近では神経超音波検査、頸部MRI検査による末梢神経の腫脹も評価しています。
 2番目に多い症例は、脳梗塞急性期、亜急性期の治療、診断のための入院です。超急性期には血栓溶解療法をはじめとした血行再開療法に積極的に取り組んでいます。また倫理委員会審査を経て急性期からの積極的な抗血栓療法を実施しています。MRI、脳血流SPECT検査に加え、脳神経超音波検査、経食道心エコー検査、経頭蓋超音波ドプラ検査、長時間心電図監視検査等を駆使し、正確な脳梗塞病型診断と的確な抗血栓療法を実施し、早期からのリハビリテーションを行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 150 17.64 22.47 6.00% 47.32
010280xxxxx0xx ジストニー、筋無力症 手術・処置等2 なし 103 10.42 12.37 0.97% 44.48
010070xx01x20x 脳血管障害 脳血管内手術等 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 78 15.44 20.52 2.56% 41.59
010030xx01x00x 未破裂脳動脈瘤 脳動脈瘤頸部クリッピング等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 76 12.20 15.99 2.63% 58.21
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 74 2.61 3.20 2.70% 59.88
 脳動脈瘤とは、脳動脈の血管壁が風船のように瘤状に膨らむ状態です。脳動脈瘤の多くは、未破裂の状態で発見され無症状です。破裂率は部位や大きさによって異なります。治療を検討するのは、①5mm以上の動脈瘤、②5mm未満で、A)症状のある例、B)破裂しやすい部位、C)不整形、などの特徴を有する場合です。当院における脳動脈瘤症例は年間約150~200例です。そのうち未破裂脳動脈瘤や巨大脳動脈瘤が約80%を占めております。動脈瘤に対する治療法としては、開頭手術と血管内手術が両方選択可能で、動脈瘤の部位や形状、患者さん御本人や御家族の希望に沿って治療方針を決定しています。手術室でのカテーテル治療が可能なハイブリット手術室を備えており、より安全性の高い治療の選択が可能です。
 その他の脳血管障害として、脳梗塞の原因となる内頚動脈狭窄・閉塞症および脳血管狭窄症の外科的治療や脳動脈瘤に対するクリッピング術、脳動靜脈奇形の摘出術、さらにこれらの疾患への血管内手術を行っております。
 神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術による最大限の脳腫瘍摘出と最小限の術後神経症状の両立、標準的な放射線化学療法に加え、新規治療開発も行っていることです。近年、神経膠腫に関して、より高い摘出率をめざす方針が標準的になってきています。これは、浸潤性を示す神経膠腫であっても手術によって可能な限り腫瘍細胞の数を減らすことにより、後療法を有利に進めることができ、予後の改善につながるという考え方からきています。手術後は、詳細な腫瘍の種類の診断(病理診断)に加え、腫瘍に生じている様々な遺伝子異常を解析し(遺伝子診断)、それらの結果を総合的に診断して、国内や海外の専門家の間で認められている標準的な放射線・化学療法を施行します。さらに、標準的な治療方法で治療結果(治療開始日から再発までの期間:無増悪再発期間や生存可能な期間:生存期間)が満足できない種類の悪性神経膠腫の場合は、臨床研究や治験などの新規治療法が選択できる体制をとり、幅広いオプションを持つことができます。また、手術に必要な検査は、他大学や他医療機関などの所属や場所を問わずに施行しています。その他、聴神経腫瘍や髄膜腫などの成人良性腫瘍治療も数多くの手術を行っております。下垂体近傍腫瘍や小児脳腫瘍(術後放射線療法、化学療法)も治療体制が確立されております。
麻酔科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070160xx99xxxx 上肢末梢神経麻痺 手術なし 8.13
010120xx99xxxx 特発性(単)ニューロパチー 手術なし 6.92
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 5.58
070160xx97xxxx 上肢末梢神経麻痺 その他の手術あり 9.98
070040xx99x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等2 なし 13.23
 麻酔科で最も多い症例は、帯状疱疹後神経痛で、外来通院では痛みのコントロールが難しく、家庭での生活動作が困難な患者様に対して、神経ブロックと内服調整で疼痛緩和を図っています。
 その他に、CRPS等で痛みのコントロールが難しい患者様には、脊髄刺激装置植込術を施行したり、がん疼痛で神経ブロック(神経破壊術)の適応のある患者様には、入院下での治療を行っています。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2 なし 112 11.55 10.30 0.00% 55.92
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 103 5.19 6.59 0.00% 54.91
100020xx01x0xx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等2 なし 100 9.11 9.27 0.00% 50.76
100220xx03xxxx 原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術 副甲状腺(上皮小体)摘出術等 62 8.66 8.80 0.00% 58.26
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 42 11.26 11.57 2.38% 56.21
 乳腺・内分泌外科で最も多かった症例は、原発性乳癌に対する手術です。
 次いで原発性甲状腺悪性腫瘍手術、原発性副甲状腺機能亢進症に対しての副甲状腺摘出術の順となっています。
 いずれも全国平均と比して遜色ない在院日数にて退院されていますが、入院期間が短くなるような工夫を科として行なっています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2 なし 14 3.43 4.19 0.00% 37.50
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 14 8.36 7.52 0.00% 58.14
180010x0xxx2xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 2あり 12 33.58 34.89 8.33% 73.17
010040x099x10x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等2 あり 定義副傷病 なし 18.46
180010x0xxx3xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 3あり 39.70
 当科で最も多い症例は、手術を要しない保存的加療のための外傷症例であり、平均在院日数は、4日から1週間くらいとなっています。内科疾患では、敗血症症例が最も多く、高齢化に伴い重症化した症例が多く、平均在院日数が約1か月と長期化する傾向があります。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 23 3.00 3.29 0.00% 2.96
11022xxx04xx0x 男性生殖器疾患 包茎手術 定義副傷病 なし 13 3.00 3.63 0.00% 4.08
14056xxx97xxxx 先天性水腎症、先天性上部尿路疾患 手術あり 13 8.85 7.98 0.00% 1.08
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 8.57
11013xxx97xxxx 下部尿路疾患 その他の手術あり 9.10
 【停留精巣】 精巣は胎生期にお腹に発生し、出生までに徐々に陰嚢まで下降してくる臓器です。その生理的な下降が途中で止まってしまった状態を停留精巣と呼びます。停留精巣を放置すると、精巣は正常な働きができず不妊の原因や、癌化することも報告されています。治療法は精巣を本来の陰嚢内に固定することです。症例に応じて適切な方法、適切な治療時期がありますので、いつでも気軽にご相談いただければと思います。
 【包茎】 包茎は陰茎の包皮が亀頭に被さっている状態をいいます。小児においては病的ではないことが多いですが、感染や排尿障害の原因になることもありますので、気軽にいつでもご相談ください。
 【水腎症】 腎臓に水(尿)が溜まってしまっている状態を水腎症といいます。腎臓で作られた尿がスムーズに排泄されない場合に水腎症を引き起こしますが、その原因は様々です。水腎症を放置すると、尿路感染症や腎機能障害を引き起こすこともあります。適切な検査を行い原因に応じて必要な治療を行う必要があります。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 48 29.17 22.55 18.75% 66.29
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 36 22.42 26.26 13.89% 74.78
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 27 21.48 24.42 18.52% 61.81
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 24 27.88 27.63 50.00% 76.71
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 23 12.61 11.91 8.70% 37.57
 整形外科で治療を行っている主要な疾患は、頸椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症などの脊椎変性疾患、変形性膝関節症や変形性股関節症などの関節変性疾患、股関節周囲の骨折、膝関節靱帯損傷などです。
 脊椎変性疾患とは、加齢にともなって脊椎の変形や椎間板の変性などが生じ、脊髄神経の通り道が狭くなってしまうことで、手脚のしびれや痛み、動かしづらい、歩きづらいなどの症状が出てきます。これを手術で治療します。
 膝関節や股関節の変形性関節症も、加齢にともなって軟骨のすり減りが生じ、歩行時の痛みがでてきます。人工関節置換術によって痛みをとり、再び歩けるようになります。
 股関節周囲の骨折は、骨粗鬆症がある人が転倒することによっておこります。手術で骨折を治さなければ寝たきりになります。高齢者が再び歩けるようになるには、術後のリハビリテーションが重要なので、リハビリテーションが充実できる回復期リハビリテーション病棟を持つ病院に転院して、仕上げることが多くなります。
 膝関節の靱帯損傷は、スポーツでケガをする若年に多く、靱帯を関節鏡を使いながら作り直し、再びスポーツができるようにします。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 63 5.03 5.80 0.00% 39.06
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 38 2.13 3.44 0.00% 70.18
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 25 4.20 6.76 0.00% 52.60
050180xx97xxxx 静脈・リンパ管疾患 その他の手術あり 25 4.00 3.34 0.00% 63.92
180040xx97x0xx 手術・処置等の合併症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 23 7.70 15.58 0.00% 48.00
 形成外科は、皮膚・皮下の疾患に対する外科で、通常皮膚・皮下腫瘍の摘出術や、潰瘍に対する植皮術などを主に行っている科です。しかし、当院形成外科で最も多い症例は、外傷の中でも顔面損傷のための入院で、顔面骨骨折(主に頬骨骨折、鼻骨骨折など)に対する手術治療を行っています。
 2番目に多い症例は、眼瞼下垂に対する手術症例で、主に加齢に伴う老人性のまぶたの弛緩を修復する手術治療を行っています。
 3番目の症例は、その他の新生物に対する手術症例です。その他の新生物とは良性腫瘍(脂肪腫など)のことですが、これを摘出する手術治療を行っています。
 4番目の症例は、静脈・リンパ管疾患で、主に静脈瘤に対する手術治療を行っています。
 5番目の症例は、手術・処置等の合併症ですが、この中の多くは、切断指に対する再接着手術治療が含まれています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 294 3.50 4.71 0.34% 66.87
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 288 7.34 5.51 0.00% 58.33
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 241 2.84 3.06 0.00% 65.63
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 100 3.10 5.85 0.00% 69.10
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 96 3.44 3.22 0.00% 67.30
 循環器内科で最も多かった症例は、狭心症、慢性虚血性心疾患などに対して経皮的冠動脈形成術を行っており、平均して3日ほどで退院されております。
 2番目に多かった症例は、狭心症、慢性虚血性心疾患などに対する心臓カテーテルの検査入院となっており、平均して2日ほどで退院されております。
 また、不整脈で最も多い心房細動に対するカテーテルアブレーション術は高い成功率をおさめています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 70 28.97 24.70 4.29% 68.76
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 35 10.86 8.76 2.86% 74.46
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 23 32.52 29.69 4.35% 59.70
050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 20 15.55 16.98 0.00% 76.80
050060xx9700xx 心筋症(拡張型心筋症を含む。) 手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 17 21.00 15.01 0.00% 43.00
 心臓血管外科で最も多かった症例は、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、連合弁膜症、等に対する開心術のための入院です。主な手術は、人工弁置換術・弁形成術であり、同時に中心静脈注射、人工呼吸を行っています。術後3日間程集中治療室に滞在した後、一般病棟に移動し、リハビリテーション、抗凝固療法、術後心機能、弁機能、等の確認検査を施行します。70歳以上の高齢者が過半数を占めており、平均在院日数は約29日となっています。
 2番目に多いのは、非破裂性動脈瘤・腸骨動脈瘤の術前における検査入院です。全身のCT検査、核医学検査、呼吸器検査、心臓エコー検査、等を施行し、平均在院日数は約11日となっています。
 3番目に多いのは、非破裂性大動脈瘤に対する、大動脈瘤切除術のための入院です。
 4番目に多いのは、非破裂性大動脈瘤に対するステントグラフト内装術で、平均在院日数は約16日です。
 5番目に多いのは、心筋症に対する手術のための入院です。
循環器小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 155 5.41 4.39 0.00% 24.32
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 60 8.88 5.51 0.00% 28.58
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 56 5.77 7.82 1.79% 34.95
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 53 5.51 6.45 0.00% 32.85
14029xxx9900xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 34 2.03 4.98 0.00% 21.50
 先天性心疾患は、出生児の1%に発症する比較的頻度の高い先天的疾患ですが、中でも、ファロー四徴症、完全大血管転位など、新生児期や乳児期に内科的治療や外科的治療が生存に必須になる疾患が多いのが現状です。複合的な心臓形態異常の診断を行い、適切な内科的治療によって、血行動態の修正や心不全の改善を施行するのが、循環器小児科の主要な業務となっています。診断にはエコー、CT、MRIなどを用い、心臓カテーテル法によって、血管の狭窄部位の拡大や閉鎖部位の穿通、余剰血管の閉塞などを行います。
 先天性心疾患では高頻度に不整脈を合併いたします。内服薬が無効の難治性不整脈が少なくなく、また心室頻拍などの致死的不整脈も多いため、突然死する小児患者も存在します。このような状況の中、カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)が非常に効果的にこれらの不整脈を治癒させることができ、しばしば行われている現状です。不整脈を誘発して、原因部位を特定してから焼灼を行うため、施術中の血行動態の変動や急変もあり、麻酔、蘇生担当から、焼灼の機器の操作をサポートするMEまで多くのスタッフによる集学的治療です。
 不整脈に対する治療としては、さまざまな抗不整脈薬の使用や電気的除細動が行われます。多くの患者が長期にわたる薬物治療が通常必要ですが、治療中に血行動態の急変が起こりやすく、致命的な副作用もあるため、初期治療にあたっては入院を要することが多いです。心筋焼灼が有効であった患者でも、その後の不整脈再発を予防するために最終的には薬物治療が必要になることがあります。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 85 5.08 3.68 0.00% 69.44
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 67 19.10 12.35 1.49% 68.40
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 35 23.77 19.92 5.71% 69.37
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり 23 22.91 19.24 0.00% 66.26
040170xxxxxx0x 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 定義副傷病 なし 13 10.85 10.61 0.00% 69.31
 呼吸器内科で最も多い症例は、肺の悪性腫瘍を疑われた患者さんが、気管支鏡検査で診断をつけるための入院です。肺の一部(組織)を採取し、診断(病理学的診断)を行います。治療方針を決めるため、必ず必要な検査です。検査後に、気胸や肺炎などの合併症が起きますと、入院日数が延びることがあります。
 2番目と4番目に多い症例は、肺の悪性腫瘍で抗がん剤治療(化学療法)のための入院です(使う薬の内容が違います)。初めての薬を使う場合は必ず入院で治療を行い、副作用の予防と、副作用が出現した場合はその処置を行います。約2~3週程度で副作用は回復し退院となります。
 3番目に多い症例は、間質性肺炎です。原因は不明で、肺が硬く(線維化)なってくる疾患です、診断は画像や気管支鏡検査や血液検査等で行い、治療はステロイドなどの免疫抑制剤、または抗線維化薬を用います。感染症を合併し、治療が必要となることもあります。入院は3週間程度必要となります。
 5番目に多い症例は、非結核性抗酸菌症です。結核菌以外の抗酸菌で起こる感染症です。痰や気管支鏡検査などで診断します。治療は数種類の内服薬を用います。退院後も、菌が消失してから約1年内服薬を継続します。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 168 11.38 12.73 1.79% 68.17
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 43 9.09 12.35 0.00% 68.63
040040xx9909xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり 29 9.28 10.76 0.00% 65.76
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 27 9.07 10.09 0.00% 38.41
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 23 2.57 3.68 0.00% 74.35
 呼吸器外科では、肺悪性腫瘍に対する手術を目的として、入院される患者さんが最も多くなっています。内訳としては、原発性肺癌が最も多く、ついで、転移性肺腫瘍(大腸や腎臓など他の臓器の癌から肺への転移)となっています。
 また、肺癌の化学療法については、従来の抗癌剤治療に加え、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬など、個人の癌の特性を考慮した個別化治療を行っております。
 入院患者さんのうち、2番目に多い疾患は気胸です。若年の患者さんが多いため、早く日常生活に戻れるように、早期の治療、退院を目指しています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 83 10.60 9.88 0.00% 35.31
120140xxxxxxxx 流産 53 1.98 2.43 0.00% 36.11
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 47 23.81 20.79 10.64% 33.32
120170xx01x0xx 早産、切迫早産 子宮破裂手術等 手術・処置等2 なし 43 34.58 32.16 0.00% 34.23
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 34 9.26 9.77 0.00% 36.18
 産科では、分娩を⽬的とする⼊院が最も多く(年間600・700例程度)、そのため分娩時に微弱陣痛や児頭⾻盤不均衡、回旋異常などが原因で生じる遷延分娩・分娩停⽌といった分娩の異常への対応が多くなります。また、当科では無痛分娩を取り扱っているため、その頻度は増す傾向にあります。
 その他、当院産科は東京都の中核周産期医療施設として総合周産期センターに指定されているため、地域の産科病院、クリニックから切迫早産、早産、胎児発育不全や胎児奇形、染⾊体異常の症例が当院へ紹介され、胎児異常を診療する機会が多くあります。胎児からのサインを⾒逃さないよう管理するため、⼊院での管理としています。
小児科(新生児)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 105 7.79 6.18 0.00% 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 1あり 48 15.08 12.00 0.00% 0.00
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 1あり 42 28.57 23.53 0.00% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 31 8.58 11.55 0.00% 0.00
140010x297x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術あり 手術・処置等2 1あり 25 39.84 27.47 4.00% 0.00
 新生児集中治療室(Neonatal intensive care unit; NICU)に入院される新生児の中で最も多い症例は、妊娠37週よりも早く産まれた早産児です。早産児の場合、肺を始めとした内臓の発育が未熟であるためNICUでの入院加療が必要となります。症状としては、呼吸が不安定であったり、消化吸収が不十分であったりします。これらの症状が安定するまでは入院加療が必要になります。出生体重2,500g未満の新生児を低出生体重児と呼びますが、早産児で低出生体重児の場合には、さらに入院期間が長くなります。体重が小さいと体温調節することも難しいからです。当科でNICUに入院する新生児の特徴は、合併症を持った母親から出生する新生児の頻度が高いことです。母親の合併症が、新生児に影響することがあるため、在院期間が全国の他のNICUと比較してさらに長くなる傾向があります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 85 6.80 7.12 0.00% 5.61
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 54 10.44 6.42 1.85% 3.54
010140xxxxx0xx 筋疾患(その他) 手術・処置等2 なし 51 4.27 11.63 0.00% 6.67
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 44 7.82 5.79 2.27% 5.34
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 27 10.19 17.77 3.70% 9.59
 小児科で最も多い症例は「てんかんを含めたけいれん性疾患」で、主に原因の精査と長時間脳波検査を含めた発作状態の評価や、多くの薬を使用しても、発作がコントロールできない患者さんに対して、ホルモン療法やケトン食治療などの特殊治療を行っています。
 2番目に「ぜん息」の入院が多く、特に2-3歳の低年齢のお子さんの入院が増えています。初めての発作は少し重症になる傾向がありますので、十分な治療が必要になりますが、大切なのは、発作を起こしていない普段の治療で、外来での丁寧な説明を心がけています。
 3番目に多いのは、「筋肉の病気」で、これは当科ならではの専門性によるものです。原因不明の赤ちゃんの運動発達の遅れや、偶然見つかった高クレアチンキナーゼ血症、お子さんの転びやすさや瞼が下がるなどの原因を調べます。筋ジストロフィーや筋無力症などに経験が豊富ですので、新しい治療の導入、合併症対策含めた日常の管理指導を行っています。
 4番目に多い症例は、肺炎、気管支炎、急性細気管支炎など呼吸器の感染症で、5歳未満の小さなお子さんが中心です。特に、急性細気管支炎では、呼吸困難が強いことがあり、一定期間酸素吸入が必要になることがあります。神経筋疾患の患者さんでは、食べ物や唾液を誤嚥(食道でなく、気管に吸い込んでしまうこと)することにより、重症の肺炎を起こすことがあるので、酸素投与、注意深い抗生物質の選択、十分な治療を要することが多いです。
 5番目に多く拝見しているのは、自己免疫性疾患で、これは本来外から入ってくる細菌やウィルスを攻撃して体を守るはずの免疫が、自分の体を敵とみなして攻撃してしまうためにおこる病気です。全身性エリテマトーデス、若年性特発性関節炎、若年性皮膚筋炎などが含まれ、膠原病リウマチ痛風センターの小児チームと連携して治療します。ステロイドを含めて、免疫を抑える薬を長期間必要としますので、ご本人の心理サポートに力を入れ、学校生活を楽しく過ごせるような指導を心がけています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 51 6.37 6.42 0.00% 44.27
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 50 9.58 10.05 0.00% 43.56
120050xx99x1xx 絨毛性疾患 手術なし 手術・処置等2 あり 35 4.77 6.58 0.00% 35.77
120010xx01x0xx 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)等 手術・処置等2 なし 27 11.41 13.58 0.00% 54.30
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 27 13.00 13.29 0.00% 56.59
 5cmを超える卵巣嚢腫は、捻転、破裂の可能性なども出てくるため⼿術を考慮します。将来的に妊娠を希望する場合、⼀般的に卵巣の腫瘍のみを核出し、卵巣の正常部分を温存するように⼿術をします。捻転により卵巣が壊死している場合や、悪性の可能性が否定できない場合、また40歳以上の⼥性の場合には、腫れている⽅の卵巣と卵管を全摘することがあります(付属器摘出術)。良性腫瘍の場合、⼤きさにもよりますが、侵襲の低く社会復帰が早い腹腔鏡下⼿術が選択されることが多いです。
 ⼦宮筋腫は、婦⼈科で扱う疾患の中で最も頻度の⾼いもののひとつです。⼿術療法としては、⼦宮全摘術による根治⼿術と、筋腫核出による保存⼿術がありますが、それぞれに腹腔鏡または⼦宮鏡といった内視鏡下⼿術が適⽤されます。また⼿術を希望しない場合には、症例によりホルモン療法が選択されることがあります。
 絨⽑癌はすべての妊娠(胞状奇胎、正常分娩、死産、流産、⼦宮外妊娠など)に続発する可能性があり、発⽣頻度は胞状奇胎100例に1例、正常分娩5万に1例とされています。若年⼥性に多く、妊孕性温存を希望されることも多いので、⼿術を⾏わずに化学療法のみで治療することも多いです。その他、卵巣および子宮の悪性疾患である卵巣癌、子宮癌も積極的に手術治療をすすめております。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060300xx99x00x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 61 16.34 13.50 6.56% 61.54
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 58 14.50 11.06 0.00% 69.05
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 54 15.20 11.74 1.85% 74.59
06007xxx99000x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 47 12.40 10.41 8.51% 68.04
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 43 19.16 14.75 2.33% 71.51
 肝硬変、胆管結石、膵臓癌、肝臓癌の患者が多く入院しています。特に肝硬変の患者数は症例数が多く、新しい薬物療法、腹水治療、食道静脈瘤の治療(内視鏡治療、BRTO)、肝臓移植などを積極的におこなっています。また、肝臓・膵臓の悪性腫瘍に関しても、手術療法だけでなく、化学療法、ラジオ波凝固術、肝動脈塞栓術など様々な治療に対応しております。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 104 8.28 11.74 1.92% 72.62
060050xx02x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝切除術 部分切除等 手術・処置等2 なし 73 20.16 15.85 1.37% 66.55
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 70 19.31 15.92 4.29% 68.83
060050xx99x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 56 8.77 10.33 5.36% 73.75
06007xxx99000x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 48 8.65 10.41 0.00% 66.19
 消化器外科で最も多い症例は、肝胆膵及び結腸の悪性腫瘍です。肝胆膵悪性腫瘍は、手術療法以外の肝動脈塞栓術や化学療法を積極的に施行しています。全国平均と比較して、在院日数が少ないのが特徴です。
リウマチ科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 118 13.54 17.77 0.00% 49.14
070470xx03x2xx 関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 手術・処置等2 2あり 68 14.81 23.26 0.00% 64.85
070470xx02x2xx 関節リウマチ 関節形成手術 肩、股、膝+人工骨頭挿入術 肩、股等 手術・処置等2 2あり 67 22.24 26.44 4.48% 61.91
070470xx03x0xx 関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 手術・処置等2 なし 24 3.17 7.57 0.00% 58.21
070470xx97x0xx 関節リウマチ その他の手術あり 手術・処置等2 なし 23 4.00 13.45 0.00% 57.52
 リウマチ科で最も多い症例は、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、顕微鏡的多発血管炎、ウェジナー肉芽腫、シェーグレン症候群などの自己免疫性疾患の診断や治療(合併症も含む)のための入院で、主に薬物治療を行っており、平均して14日ほどで退院されております。
 2番目に多い症例は、 「関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 手術・処置等2 2あり」であり、主に関節リウマチ(足趾変形)に対して骨切り術を行っています。平均して15日ほどで退院されております。
 3番目に多い症例は、「関節リウマチ 関節形成⼿術 肩、股、膝+人工骨頭挿⼊術 肩、股等 ⼿術・処置等2 2あり」であり、主に関節リウマチ(膝関節・股関節)に対して人工関節置換術を行っています。平均して22日ほどで退院されております。
 4番目に多い症例は、「関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 手術・処置等2 なし」であり、主に関節リウマチ(手)に対して関節形成術を行っています。平均して3日ほどで退院されております。
 5番目に多い症例は、「関節リウマチ その他の手術あり 手術・処置等2 なし」であり、主に関節リウマチ(手指)に対して関節固定術や軟部組織再建術を行っています。平均して4日ほどで退院されております。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 174 11.05 12.84 0.57% 58.21
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 54 10.20 7.58 0.00% 42.04
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり 36 41.00 37.06 5.56% 58.36
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 28 16.46 8.87 0.00% 66.14
110280xx99010x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 28 24.57 14.77 7.14% 67.96
 近年、末期腎不全による透析患者が増加傾向で、医療経済上も大きな問題となっています。そして末期腎不全の予備軍である慢性腎臓病は日本でも1,330万人にのぼるといわれています。慢性腎臓病の末期腎不全への進展抑制のために、薬剤治療の他、生活習慣の改善、食事制限が非常に重要とされています。当科でも慢性腎臓病患者に対する教育入院を積極的に行っており、入院患者の多くを占めています。現在は7~10日間の入院期間を予定しています。
 次いで、慢性糸球体腎炎の疑いで腎生検を目的とした入院が多くあります。検査前日入院で、合併症予防のため腎生検後4~7日の入院が日本腎臓学会の腎生検ガイドブックに記載されており、当院ではH28年9月まで入院期間8日間の入院を採用していましたが、H28年10月より生検後の合併症がなければ6日間の入院期間へ短縮しています。退院後の外来で、腎生検の結果を説明し治療を相談していきます。
 次に、末期腎不全で透析を行うための血管の手術、および透析導入を目的とした入院が多くなります。前もって血管の手術ができない場合、突然の心不全で緊急に透析を始める必要がある場合は、透析カテーテルで緊急に透析をはじめ、その後むくみがとれてから血管の手術を行います。この血管が透析で使用できるまでに約2週間を要するために、在院日数が41日と長く、また高齢者でリハビリやADL改善も必要な場合は転院となり、転院率が5.56と高くなっています。
 さらに、慢性腎臓病患者の肺炎やうっ血性心不全、食欲低下、不明熱などの合併症での入院も多くなっています。
 最後の症例は、維持透析患者の肺炎、うっ血性心不全、不明熱などの入院も多く、平均年齢67.96歳と多くが高齢者であるため、ADL低下の改善のリハビリ目的の転院も多くなり、在院日数が24.57日と長く、転院率7.14と高くなっています。
腎臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
180040xx01x1xx 手術・処置等の合併症 内シャント又は外シャント設置術等 手術・処置等2 1あり 31 5.77 22.74 22.58% 62.35
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 14 6.21 12.84 14.29% 51.21
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 11 9.82 12.43 0.00% 51.09
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 5.50
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり 37.06
 腎臓外科で最も多かった症例は、透析用アクセスのトラブルに対する手術、透析治療で、平均6日間で退院されています。
 2番目に多かった症例は、腎臓移植にまつわる疾患に対する治療で、平均6日間で退院されています。
腎臓小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 9.77 12.84 0.00% 11.58
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 21 15.86 22.67 0.00% 7.14
110280xx99020x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 20 7.55 9.32 10.00% 7.40
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 7.58
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 5.50
 腎臓小児科には、慢性腎不全の患者さんが最も多く入院されています。小児の慢性腎不全の原因としては、先天性腎尿路異常(低形成腎や膀胱尿管逆流症など)が多く、腎機能評価や腎不全の管理(血液透析・腹膜透析を含む)、また腎移植目的に入院されています。
 次に、ネフローゼ症候群で入院されている患者さんが多く、難治性の場合はステロイドパルスやリツキサン、血漿交換などを行っています。
 また、IgA腎症などの慢性腎炎の患者さんが、腎生検や扁桃摘出などの治療の目的に入院されています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 99 8.19 12.52 2.02% 58.49
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 90 8.07 13.39 0.00% 67.22
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 78 4.99 7.85 0.00% 72.51
110060xx99x20x 腎盂・尿管の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 53 4.00 11.71 0.00% 67.06
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 48 5.77 5.83 4.17% 36.48
 泌尿器科での腎がん症例数は非常に多く、2015年は約300例となっています。画像検査が十分でない時代は、痛み、腹部腫瘤、肉眼的血尿などの症状で見つかる事が多かったのですが、現在、当科で治療を受けられる患者さんの8割近くが症状がなく、検査で腎がんが発見されています。
 前立腺がんの大半は症状がなく、前立腺特異抗原(PSA)という癌のマーカーが使われるようになって、早期に発見される数が増えています。当科では前立腺腫瘍センターにおいて扱われ、手術とともに放射線治療やホルモン治療などが行われています。当科では年間約250人の患者さんが前立腺生検検査を受け、そのうち約100人の患者さんが新たに前立腺がんの診断を受けています。
 膀胱がんは尿をためる袋状の臓器である膀胱の粘膜に発生するがんです。血尿として発見されることが多く、その大半は粘膜内にとどまりますが、進行するとリンパ節や他の臓器に転移します。当科では年間約200例前後の膀胱がんの症例を診断、治療しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 79 19 17 30 28 107 1 7
大腸癌 63 48 68 42 26 136 2 7
乳癌 107 108 21 12 33 1 7
肺癌 37 60 140 178 159 1 7
肝癌 16 31 22 10 22 247 2 5
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
●「初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数」 について
 5大癌と呼ばれる、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の入院治療を行った患者さんの人数を、初発はステージ別の人数を、再発は総数を集計しています。
 
 「初発」 … 当院で癌と診断された場合や、他の医療機関で癌と診断され当院で初回治療を行った場合を指します。
 「再発」 … 「初発」時の治療完了後、再度治療を行った場合(転移を含む)を指します。
 「ステージ(Stage)」 … 癌の進行度合をⅠ~Ⅳ(1~4)で表したものです(ステージ0もありますが、集計からは除いています)。
    癌の大きさ、リンパ節転移、他の臓器への転移状況を総合的に評価しています。
    Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳと分類され、ステージⅣが最も進行していることを示します。
 「病期分類基準(UICC TNM分類、癌取扱い規約、版数 など)」 … ステージを評価する際の基準です。
    国際的な基準として「UICC TNM分類」がありますが、国内では「癌取扱い規約」も多く活用されています。
    「UICC TNM分類」は現在、第8版が最新のものとなります。
 
【解説】
 当院には早期癌から高度進行癌まで、様々なステージの患者さんが受診されます。食道癌、胃癌、大腸癌のような消化管の早期癌に対しての内視鏡治療は、その黎明期から多くの実績がありますが、術後や再発時の化学療法、放射線療法についても、多くの症例を扱っています。女性特有の疾患である乳癌治療においては、経験豊富な女性外科医が多数在籍し、患者さんに対して、女性ならではのきめ細やかな治療を提供しています。肺癌に対しては、患者さんに負担の少ない低侵襲の鏡視下手術を早期から導入し、術後早期からの社会復帰を可能にしています。肝臓癌では当院独自の系統的肝切除術を提唱し、その安全性と有効性が認められています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 47 12.94 52.89
中等症 95 17.18 70.09
重症 24 21.21 78.58
超重症
不明
●「成人市中肺炎の重症度別患者数等」 について
 成人(20歳以上)の、市中肺炎患者の人数を、重症度別に集計しています。
 
 「市中肺炎」 … 日常の社会生活を送る中でかかる肺炎のことです。
 「重症度」 … 下記5項目にいくつ該当するかで決定します。
        ・男性70歳以上、女性75歳以上
        ・BUN(血中尿素窒素)21mg/dL以上または脱水あり
        ・SpO2(血中酸素飽和度)90%以下
        ・意識障害あり
        ・収縮期血圧90mmHg以下
     該当なし…「軽症」、 1~2項目…「中等症」、 3項目…「重症」、 4~5項目(または意識障害あり)…「超重症」、
     1項目でも不明な場合…「不明」    (『成人市中肺炎診療ガイドライン』に基づく)
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 
【解説】
 いずれの肺炎の重症度分類の項目にも該当しない「軽症」から、1~2項目に該当する「中等症」までが、全体の患者さんの8割程度を占めています。また、重症度が上がるにつれて平均年齢も上がっており、「重症」、「超重症」の患者さんのほとんどが、70歳以上の高齢者です。
 治療内容としては、軽症の患者さんの多くは外来での治療を行ない、入院加療を必要としないことがありますが、酸素吸入を必要とする患者さんには入院での加療が必要となります。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 17 10.88 66.65 0.00%
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 107 23.80 69.14 29.91%
その他 34 25.59 66.50 29.41%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 30 12.90 70.00 3.33%
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 16 9.25 58.44 6.25%
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内
その他 86 11.42 34.12 2.33%
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内
その他
●「脳梗塞のICD10別患者数等」 について
 脳梗塞で入院された患者さんを、ICD10別に集計しています。
 
 「ICD10」 … 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」、第10版を指します。
    アルファベット1文字と、2桁以上の数字で構成された、疾病分類コードです。
    「G45$」のように「$」が付いている場合は、「G450」~「G459」が該当することを表します。
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
 
【解説】
 脳梗塞に関連する診断病名で入院する患者さんのうち、「脳梗塞」に分類される症例が約5割を占めており、ほとんどが神経内科で治療しています。とくに発症日から3日以内の急性期脳梗塞においては、平均年齢が70歳近くにに達しており、t-PA治療(薬剤を点滴する治療)やリハビリを行い、平均23日程度で退院しています。
 また、次に多い「もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症>」に分類される症例は、平均年齢が34歳となっており、脳神経外科での治療となりますが、内科的な治療として、抗血小板療法(血を「サラサラ」にすること)を中心に行いますが、さらに脳血流の低下や内科的治療にも関わらず症状を認める方には、積極的に外科的治療を行います。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
●「診療科別主要手術別患者数等」 について
 診療科別に、手術件数等を集計しています(人数の多い順に5つまで)。
 一度に複数の手術をされた患者さんについては、主たる手術だけを集計対象にしています。
 
 「Kコード」 … 手術の種類ごとに付けられた識別コードです。『医科診療報酬点数表』に基づいています。
 「平均術前日数」 … 入院日から、手術日の前日までの、平均日数です。
 「平均術後日数」 … 手術日の翌日から、退院日までの、平均日数です。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植)
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上)
K006-41 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術(長径3cm未満の良性皮膚腫瘍)
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定)
K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術
 自家末梢血幹細胞移植は、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんに主として実施する治療法です。移植前に末梢血幹細胞採取をおこないます。通常、造血幹細胞の多くは骨髄中に存在し、ごく少数が血液中に存在しています。末梢血幹細胞採取の際には、抗がん薬やG-CSFという白血球を増やすお薬を用いて、骨髄から血液へ幹細胞を動員する操作を行います。幹細胞採取は、献血の際の成分献血と同じような方法で行われます。静脈2か所に注射針をさして、一方から血液を少しずつ採取し、幹細胞を採取する装置の中を通し、採取後にもう一方の静脈から血液を戻すという操作を行います。当院では、年間およそ5~15名の患者さんに末梢血幹細胞採取を行っています。また、悪性リンパ腫などの診断のために、腫れているリンパ節を摘出して調べる、リンパ節生検が行われます。
内分泌内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 40 3.28 13.75 2.50% 48.53
K754-2 腹腔鏡下副腎摘出術 19 1.42 8.58 0.00% 49.74
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他)
K613 腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)
K171-22 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(頭蓋底脳腫瘍(下垂体腫瘍を除く))
 ホルモンを出す副腎や下垂体を手術する場合に、全身の状態を整えたり、ホルモンの状況を正確に調べるために、手術の前後で入院します。手術前に2~3日、手術後に1~2週間の入院が行われます。
糖尿病・代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント設置術 51 10.02 20.78 1.96% 58.47
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 13 10.62 8.85 7.69% 65.23
K2762 網膜光凝固術(その他特殊)
K0503 腐骨摘出術(足その他)
K6105 動脈形成術、吻合術(その他の動脈)
 糖尿病・代謝内科で最も多い入院中の手術は、血液透析のための内シャント作製術です。糖尿病性腎症が進行して腎不全に至った場合、血液透析あるいは腹膜透析を行うことになりますが、内シャントは血液透析を継続する上で必要となります。手首に近い腕の動脈と静脈を縫い合わせ、動脈血が静脈に流れるようにする手術です。5番目の動脈形成術(上腕動脈表在化術)も、血液透析のための手術です。
 また、白内障や糖尿病網膜症などの眼科疾患に対する水晶体再建術や網膜光凝固術のための入院も多くなっています。これらは外来で可能なこともありますが、全身に合併症がある糖尿病患者さんでは、安全性を考慮して、入院して治療を行っています。
 動脈硬化が進行した糖尿病さんでは、足病変といわれる足趾の潰瘍や壊疸ができる場合があり、その治療のために入院される患者さんも増えてきました。当科では、形成外科や整形外科と密接に連携をとりながら、この治療にあたっています。
糖尿病眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 196 1.47 2.49 0.00% 68.56
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 41 1.76 7.17 0.00% 57.37
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 13 2.62 4.38 0.00% 61.38
K2684 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートなし)
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(縫着レンズ挿入)
 糖尿病眼合併症で頻度の高い白内障に対する 水晶体再建術 や、糖尿病性増殖性網膜症に対する 硝子体茎顕微鏡下離断術 において、糖尿病・代謝内科の全身管理のもと、高い実績をあげております。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 674 0.87 1.61 0.00% 71.48
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 104 0.81 5.16 0.00% 67.44
K275 網膜復位術 17 0.53 6.00 0.00% 44.35
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(縫着レンズ挿入) 14 0.64 6.07 0.00% 69.64
K278 硝子体注入・吸引術 12 0.08 2.00 0.00% 71.25
 眼科で行われる手術の内訳では、加齢性白内障に対する水晶体再建術が最多であり、日帰り手術も多く施行しております。次に黄斑前膜、黄斑円孔といった代表的黄斑疾患に対する硝子体茎顕微鏡下離断術が多くなっており、網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症などの難治症例に対しても随時対応しています。若年の網膜剥離の患者さんに対しては強膜内陥術を用いた網膜復位術を第一選択としております。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K319 鼓室形成手術 38 1.03 6.76 0.00% 50.92
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 34 1.38 5.68 0.00% 57.35
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 33 1.45 5.55 0.00% 59.24
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 23 1.04 7.43 0.00% 50.78
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 23 1.04 7.57 0.00% 34.26
 鼓室形成術は、鼓膜と、その奥にある部屋(鼓室)の異常によって起きる難聴に対する手術です。原因となる病気には、慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎、中耳奇形、耳小骨離断、癒着性中耳炎、鼓室硬化症などがあります。
 好酸球性副鼻腔炎や慢性化膿性副鼻腔炎(蓄膿症)などに対して行われる手術は内視鏡下鼻・副鼻腔手術で、重症度に合わせて1型から5型に分類されます。
 耳下腺腫瘍摘出術は、大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の中の耳下腺にできた腫瘍を摘出する手術です。
 口蓋扁桃手術は、主に習慣性に扁桃炎を繰り返す場合や病巣感染症(IgA腎症)の治療のために行う手術です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 18 1.17 7.67 0.00% 72.67
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 15 0.93 3.67 0.00% 46.93
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 14 1.00 3.50 0.00% 50.71
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)
 皮膚悪性腫瘍としては、悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、ボーエン病などの入院手術を行っています。大型の病変では、取り残しの無いように十分に切除した後に植皮術を行っています。
 皮膚、皮下腫瘍摘出術は、大きさ、部位などの問題から、外来での切除が困難な腫瘍について行っています。その種類はさまざまで、ほくろ、上皮系腫瘍、脂肪腫、血管腫などです。足の裏のほくろは悪性黒色腫との見きわめが大切で、切除した病変を組織検査して正確に診断しています。
神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 10 42.90 31.80 60.00% 77.20
K178-4 経皮的脳血栓回収術
K664-2 経皮経食道胃管挿入術(PTEG)
K386 気管切開術
K023 筋膜切開術
 胃瘻造設術は、さまざまな要因により口からの食事が摂れなくなった方に、直接胃に栄養を入れるための手術です。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 265 3.50 41.48 12.45% 46.77
K1541 機能的定位脳手術(片側) 107 2.21 7.83 0.93% 45.78
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 81 1.19 13.48 7.41% 57.95
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) 72 3.10 11.92 2.78% 38.33
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 27 0.19 11.96 25.93% 64.74
 当院での神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術による最大限の脳腫瘍摘出と最小限の術後神経症状の両立、標準的な放射線化学療法に加え、新規治療開発も行っていることです。近年、神経膠腫に関して、より高い摘出率をめざす方針が標準的になってきています。これは、浸潤性を示す神経膠腫であっても手術によって可能な限り腫瘍細胞の数を減らすことにより、後療法を有利に進めることができ、予後の改善につながるという考え方からきています。
 脳動脈瘤治療の場合、開頭手術では①動脈瘤を金属(チタン)で作られたクリップで閉塞させる「クリッピング術(時にコーティング術を併用)」、②動脈瘤をテフロンの布で覆って破裂を防ぐ「コーティング術(時にクリッピング術に併用)」、③動脈瘤に対するクリッピング術やラッピング術が困難な場合に、動脈瘤部にバイパスを作って動脈瘤を血管ごと閉塞してしまう「トラッピング術」があり、当院ではその全てに対応しています。
麻酔科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K1901 脊髄刺激装置植込術(16極以下ジェネレーター)
K190-21 脊髄刺激装置交換術(16極以下ジェネレーター)
 脊髄刺激療法は、神経の異常による痛みや血流障害による痛みなどの慢性難治性疼痛(脊椎手術後の痛み、CRPS、帯状疱疹後神経痛、末梢血管障害など)に有効とされています。
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 103 1.76 2.44 0.00% 54.91
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 102 2.07 8.58 0.00% 55.17
K4632 甲状腺悪性腫瘍手術(全摘及び亜全摘) 75 2.53 5.95 0.00% 51.73
K4641 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺摘出術) 58 2.36 5.26 0.00% 59.05
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 33 2.21 8.70 3.03% 57.48
 乳腺・内分泌外科で最も多かった症例は、原発性乳癌に対する手術です。
 次いで原発性甲状腺悪性腫瘍手術、原発性副甲状腺機能亢進症に対しての副甲状腺摘出術の順となっています。
 いずれも全国平均と比して遜色ない在院日数にて退院されていますが、今年度より術前・術後の在院日数を減らす取り組みを科をあげて行なっております。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K386 気管切開術 10 20.40 118.50 60.00% 70.80
K654 内視鏡的消化管止血術
K6021 経皮的心肺補助法(初日)
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術
K496-4 胸腔鏡下膿胸腔掻爬術
 気管切開術は、安全な呼吸を行えるようにするための手術です。高齢化、重症化に伴い、転院や在宅医療を要する症例での必要性があります。そのため術後長期化する傾向があります。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6335 鼠径ヘルニア手術 41 1.00 1.00 0.00% 3.71
K836 停留精巣固定術 23 1.00 1.00 0.00% 2.96
K8282 包茎手術(環状切除術) 13 1.00 1.00 0.00% 4.08
K6333 臍ヘルニア手術
K783-3 経尿道的尿管ステント抜去術
 小児外科で最も多い手術は鼠径ヘルニア手術です。鼠径ヘルニアとは、お腹の中に納まっている臓器が鼠径部(足のつけ根)から脱出してしまう病気です。脱腸と呼ばれることもあります。鼠径ヘルニア手術は、この脱出する袋を根元でしばる手術です。当科では、従来の鼠径法だけでなく腹腔鏡手術でも鼠径ヘルニアの治療を行っています。
 次に、頻度の高い手術として、精巣固定術があげられます。これは、精巣を陰嚢内の正しい位置に固定する手術です。精巣は正常位置にあることで、良好な発達を期待することができます。当科では基本的に手術翌日に退院が可能です。
 他に、比較的多い手術として環状切開術があります。環状切開術は男の子の包茎に対して行われる手術です。必ずしもすべての包茎に手術が必要な訳ではありませんが、気になる症状がありましたらいつでもご相談ください。
 臍ヘルニア手術は、おへその下の筋肉の膜が閉じていないために、お腹の中の腸が脱出してしまう臍ヘルニアという病気に対して行われる手術です。お臍が膨らんでいたら、臍ヘルニアである可能性があります。臍ヘルニア根治術は二泊三日の入院期間で治療する事ができます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 66 2.39 18.36 16.67% 69.36
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 42 8.12 24.98 19.05% 63.43
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 37 3.00 55.14 18.92% 65.00
K0461 骨折観血的手術(大腿) 19 5.53 18.21 47.37% 71.26
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術(簡単) 17 1.29 4.00 0.00% 66.88
 人工関節置換術は、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性肩関節症などの、関節変性疾患に対して行います。痛くて動かせない、歩けないなどの症状を、人工関節に置換することで解決し、楽に動かせ、痛み無く生活ができるようにします。
 脊椎の固定術は、腰椎や頸椎が変性して不安定になり、痛みや神経の障害がでている患者さんに対して、問題がある場所を固定して痛みをとり、神経の圧迫を取り除くことで神経障害を改善させます。背中側から病変部を固定する方法が後方固定で、お腹側または斜め後ろから固定する方法が側方固定です。
 大腿骨近位部骨折の骨折固定手術は、高齢者の転倒による骨折に対しての手術が多く、再び歩けるようになるには術後のリハビリテーションが重要なので、なるべく早期にリハビリテーション病院に転院して、充実した機能訓練を受けてもらうようにしています。
 肩関節の腱板損傷に対する関節鏡を使った腱板修復術は、肩が上がらなくなった人の傷んだ腱板を治す手術で、術後すぐに歩けるため、早期に退院し、外来でリハビリテーションを行います。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K333 鼻骨骨折整復固定術 33 1.00 1.45 0.00% 35.97
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 27 0.00 1.15 0.00% 69.00
K617-2 大伏在静脈抜去術 26 1.08 2.31 0.00% 62.85
K0022 デブリードマン(100cm2以上3000cm2未満) 22 9.73 20.82 13.64% 60.64
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 16 0.81 2.75 0.00% 57.06
 鼻骨骨折に対する鼻骨骨折整復固定術は、手術翌日退院する方もいれば、術後3〜4日後に内固定ガーゼを除去してから退院する方もいます。
 眼瞼下垂症に対する挙筋前転法は、術後から翌日まで腫れを予防するために目を冷やし、翌日退院する方がほとんどです。
 大伏在静脈抜去術は、静脈瘤のための手術です。術後2〜3日で歩行退院するのが通例です。
 デブリードマン手術は、壊死した皮膚や骨などの組織を切除する手術で、部位や範囲によって入院期間は異なってきますが、通常2〜3週間の入院が必要なことが多くなっています。
 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出手術は、腫瘍摘出後2日か3日後にほとんどの方が退院します。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 189 2.20 2.32 0.53% 67.17
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 171 4.60 3.96 0.58% 62.36
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 152 3.70 3.97 0.00% 55.98
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 139 0.77 2.10 0.00% 69.09
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 112 1.07 1.93 0.00% 66.10
 循環器内科で最も多かった手術は、経皮的冠動脈ステント留置術となっており、平均して術後3日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、経皮的カテーテル心筋焼灼術となっており、平均して術後4日ほどで退院されております。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K604-24 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降) 37 0.00 67.27 0.00% 39.27
K5551 弁置換術(1弁) 33 6.39 28.33 6.06% 71.64
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 26 7.04 30.23 3.85% 70.92
K5552 弁置換術(2弁) 21 7.81 29.05 19.05% 69.29
K5611 ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 16 6.44 21.44 0.00% 72.13
 心臓血管外科で最も多かった症例は、植込型補助人工心臓(非拍動流型)の術後慢性期(91日目以降)の入院で、術後リハビリテーション、退院前各種トレーニング、合併症(感染症、血栓塞栓症、等)治療(再入院を含む)のための入院です。平均在院日数は約68日です。
 次に多いのは、大動脈弁狭窄症を主に、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症等に対する、単弁置換術のための入院です。術後3日間程集中治療室に滞在した後、一般病棟に移動し、リハビリテーション、抗凝固療法、術後心機能、弁機能、等の確認検査を施行します。70歳以上の高齢者が過半数を占めており、平均在院日数は36日となっています。
 3番目に多いのは、狭心症などに対する、冠動脈バイパス術です。
 4番目に多いのは、弁膜症に対する、2弁置換術です。
 5番目に多いのは、胸部大動脈瘤に対する、ステントグラフト内挿術です。
循環器小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 50 3.14 6.54 0.00% 31.90
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 36 2.08 2.72 0.00% 40.06
K570-3 経皮的肺動脈形成術 32 2.78 4.09 0.00% 13.50
K5621 動脈管開存症手術(経皮的動脈管開存閉鎖術) 16 1.75 2.00 0.00% 14.44
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 14 2.14 2.64 0.00% 20.07
 先天性心疾患では、高頻度に不整脈を合併いたします。内服薬が無効の難治性不整脈が少なくなく、また心室頻拍などの致死的不整脈も多いため、突然死する小児患者も存在します。このような状況の中、カテーテル,心筋焼灼術(アブレーション)が非常に効果的にこれらの不整脈を治癒させることができ、しばしば行われている現状です。不整脈を誘発して、原因部位を特定してから焼灼を行うため、施術中の血行動態の変動や急変もあり、麻酔、蘇生担当から、焼灼の機器の操作をサポートするMEまで多くのスタッフによる集学的治療です。
 心房中隔欠損症は、先天性心疾患の中でも多い疾患であり、心雑音などの症候が軽微で発見されづらいことから、小児から老人に至るまで幅広い年齢層にわたって患者が存在します。従来は開胸手術による修復しか治療の選択肢がありませんでしたが、近年カテーテルによる閉鎖栓をもちいた治療が可能となり、本疾患の標準治療となっています。経食道エコーまたは血管内エコーガイド下に行われ、施行者は専門学会のライセンス取得者に限られています。
 先天性心疾患では、さまざまな血管の狭窄や閉塞を伴うものが多く、特に肺動脈狭窄はもっとも頻度の高い疾患です。単独の肺動脈狭窄症もあれば、両大血管右室起始症など、複合型の心疾患にもしばしば合併して存在します。これらの病態に対してカテーテルによるバルーン拡大術が行われ効果を上げています。狭窄を解除することで、肺血流の不均衡を是正し、右室への圧負荷を軽減することで、心不全の改善や肺の発育の正常化をもたらします。年齢によりますが、多くは全身麻酔下で、複数の術者により、手術同様の厳重な血行動態の観察下に施行されます。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K508 気管支狭窄拡張術(気管支鏡)
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他)
K620 下大静脈フィルター留置術
K488-4 胸腔鏡下試験切除術
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 69 2.39 9.84 2.90% 67.61
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 68 1.91 6.50 0.00% 67.94
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 27 2.48 5.26 0.00% 38.85
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 25 2.36 8.52 0.00% 68.60
K5132 胸腔鏡下肺切除術(その他) 17 3.06 6.18 0.00% 63.06
 呼吸器外科では、肺癌の手術目的で入院される患者さんが多いため、標準手術である肺葉切除術を最も多く行っており、ほとんどの手術を低侵襲な胸腔鏡下に行っています。その他にも転移性肺腫瘍の患者さんや、低肺機能の患者さんに対しては、肺切除より小さく肺を切除する部分切除や区域切除を行い、肺の機能を温存するようにしています。また、気胸に対する胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術)は、術後の在院日数を少なくし、早期の社会復帰を目指しています。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 114 9.88 6.53 0.00% 35.37
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 96 12.46 6.71 0.00% 35.21
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 47 0.85 0.09 0.00% 35.94
K9062 子宮頸管縫縮術(シロッカー法) 19 3.11 8.95 0.00% 34.05
K861 子宮内膜掻爬術
 厚⽣労働省の「平成23年医療施設静態調査」によると、平成23年の帝王切開での出産の割合は19.2%となっています。当院での帝王切開率は40・50%となっており、全国平均より⾼い傾向にあります。これは、総合周産期センターとしての役割を担うべく、様々な産科合併症、胎児異常を診療する機会が多いためと考えられます。また、⼤学病院のため診療科は多岐にわたり、⺟体合併症を有する妊娠を扱うことが多くなることも⼀因として考えられます。
 頻度は減りますが、帝王切開に次いで多い⼿術は稽留流産に対して⾏う流産⼿術になります。当院では、1泊2⽇での対応とさせていただいております。
 頸管無力症に対して実施される子宮頸管縫縮術も近年増加傾向にあります。当院では、既往妊娠で早産や頸管無力症を経験されている方には、積極的に妊娠初期での子宮頸管縫縮術を実施して、早産の防止に努めております。入院期間も3~14日間で緊急手術にも対応しております。
小児科(新生児)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 42 0.02 40.67 0.00% 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) 33 0.00 75.85 3.03% 0.00
K2762 網膜光凝固術(その他特殊)
K5341 横隔膜縫合術(経腹)
K386 気管切開術
 新生児仮死は、十分に呼吸が出来ない状態で産まれてきて、そのまま放置すると新生児死亡または重度の脳障害を残すことがある重篤な新生児の病気の1つです。新生児科医は仮死で産まれた新生児に対して、呼吸を確立させる目的で新生児蘇生術を行います。具体的には、呼吸を確立させるための刺激やマスクを用いた呼吸補助、そして必要に応じて気管支に管を挿入して人工呼吸を行うこともあります。さらに心臓の動きが極端に悪い場合には、心臓マッサージをおこなうこともあります。新生児蘇生術は、新生児医療にとって大変重要な治療法であるため、一定の手技の習得が必要なことから、手術と同様の手技に分類されています。仮死第1度と2度の違いは、2度が1度よりも重症の新生児仮死であることを示しています。当科では、合併症を持ったハイリスク妊婦からハイリスク新生児が産まれることが多いため、新生児仮死蘇生術の頻度が高くなります。新生児仮死蘇生術を適切に行うことによって、新生児の予後改善に貢献出来るように努力しています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度)
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度)
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術
K537-2 腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア手術
K386 気管切開術
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K867 子宮頸部(腟部)切除術 97 1.14 1.01 0.00% 41.23
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 67 1.22 4.30 0.00% 42.18
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹) 33 1.42 8.79 0.00% 49.97
K879 子宮悪性腫瘍手術 31 1.55 10.87 0.00% 56.10
K889 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側) 22 2.05 11.50 4.55% 59.91
 ⼦宮頸癌や前癌病変に対して⼦宮頸部(腔部)切除術が施⾏されますが、術後約1⽇で退院となります。
 ⼦宮附属器腫瘍摘出術は⼦宮筋腫,卵巣腫瘍,卵巣嚢腫などに対して施⾏されます。腹腔鏡や開腹⼿術などにより異なりますが、術後約4〜9⽇で退院となります。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 211 0.99 3.00 0.00% 64.01
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 48 4.00 13.94 2.08% 73.10
K682-3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) 35 1.11 20.17 2.86% 71.57
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 34 1.35 7.35 0.00% 71.88
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 28 3.00 10.04 0.00% 71.18
 早期胃癌・大腸ポリープに関しては、積極的に内視鏡による治療を、安全にかつ苦痛少なくおこなっております。また結石や悪性腫瘍に伴う胆管の狭窄に関しても、積極的な内視鏡によるドレナージ治療をおこなっています。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 170 0.56 4.48 0.00% 66.78
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 79 7.23 13.13 3.80% 68.09
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 76 1.80 5.12 0.00% 58.62
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 62 1.19 7.15 1.61% 73.90
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 52 2.00 5.60 0.00% 63.56
 消化器外科では、内視鏡的手術、腹腔鏡下手術が多いのが特徴です。また肝動脈塞栓術や化学療法も積極的に施行しております。患者さんに最適な治療を選択しています。
リウマチ科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0543 骨切り術(足指) 46 1.20 13.07 0.00% 65.50
K0821 人工関節置換術(股、膝) 45 2.00 21.76 4.44% 60.69
K110-2 第一足指外反症矯正手術 18 1.44 10.39 0.00% 61.50
K0802 関節形成手術(手) 16 1.56 3.75 0.00% 61.94
K0823 人工関節置換術(手指) 16 1.19 10.63 6.25% 58.25
 リウマチ科では主に関節リウマチの患者さんの手術を行っています。最も行っている手術は足趾関節形成術で、保険診療における手術名としては骨切り術(足指)または第一足指外反矯正術となります。クリニカルパスによって運用されており、ほとんどの患者さんは2週間以内に独歩で退院されます。
 次に多く行っている手術が人工関節置換術(股、膝)です。こちらもクリニカルパスによって運用されており、ほとんどの患者さんは3週間以内に独歩もしくはT字杖を使用して退院されます。退院までに手すりを使っての階段昇降が可能になります。
 また、関節リウマチ患者さんの上肢の手術も数多く行っています。こちらは1週間以内に退院されることが多く、リハビリは外来で行っていただくことになります。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント設置術 61 12.13 18.74 3.28% 61.92
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 18 1.00 9.11 0.00% 36.94
K607-3 上腕動脈表在化法
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)
 慢性腎臓病が末期腎不全に進展した場合、透析の準備として、内シャント設置術を行う必要があります。内シャントは作成後、穿刺ができるようになるまで少なくとも2週間を要します。さらに高齢化に伴い、血管の発達に2週間以上を要する症例も増えています。また末期腎不全の患者は、体液過剰や高カリウム血症により緊急透析が必要になることも多くみられます。しかし、緊急透析導入が必要な際に透析カテーテルを挿入した場合の入院期間の延長、カテーテル挿入による合併症(感染、血栓など)の発生が問題となることがあり、当科では早期に透析導入が予想される末期腎不全の患者様には前もって、内シャント造設をお勧めしております。また、術後早期のシャント閉塞の可能性もあり、必要に応じて入院での内シャント設置術を行っているため、当科でのシャント設置術の患者数が多くなっています。これまでは透析導入を含めてむくみなど薬剤や透析での調整した上で入院後に手術日を決め、術後経過をみていたため、術前日数が12.13日となっていましたが、現在は直ちに透析が必要ない方については、前もって手術の日程を決め、術前日入院、術後4~7日程度で退院としています。
 次いで、IgA腎症についてはこれまで口蓋扁桃腺摘出術1週間後に転科の上、ステロイドパルス療法を行っていましたが、現在は原則的に術後2~3週間後に再度入院していただき、ステロイドパルス療法を受けていただいています。
 前述のシャントと同様に、心機能低下の末期腎不全ではシャントは心臓へ負担がかかるため、上腕動脈表在化を造設します。こちらも心機能低下例で、抗凝固剤のへパリンへの置換が必要なケース、抗血小板剤内服下での手術はいずれも術後に血腫などの合併症が懸念されるため、術後の創部の状況次第で退院となっています。
 さらに、末期腎不全患者でシャント造設可能な血管がない場合は人工血管を用います。人工血管は感染リスクも高く、術後早期閉塞の可能性があり、ほとんどの場合入院管理の上で手術を行っています。
 慢性腎臓病stage4以降は腎性貧血が出現します。この中で貧血進行にて精査入院を行うことがあります。消化管出血が疑わしい場合は下部内視鏡検査を行い、保存期腎不全、透析患者ともに水分調整が困難、出血しやすいため、大腸ポリープがある場合は入院で切除(EMR)を行うことがあります。
腎臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント設置術 24 5.79 5.88 25.00% 63.75
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 21 1.43 6.14 14.29% 60.24
K6072 血管結紮術(その他) 17 0.53 7.94 29.41% 62.24
K4642 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺全摘、一部筋肉移植)
K6331 腹壁瘢痕ヘルニア手術
 腎臓外科で最も多かった手術は、透析用の内シャント作成術で、平均して術後6日ほどで退院されています。
 2番目に多かった手術は、血管移植術、バイパス移植術で、これは透析用に人工血管を移植しています。平均して術後6日ほどで退院されています。
腎臓小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント設置術
K3772 口蓋扁桃手術(摘出)
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
K772 腎摘出術
K2422 斜視手術(後転法)
 内シャント設置術は、末期腎不全の患者さんが血液透析を受けることができるようになるための、血管吻合の手術です。小児を含む若年者の血管吻合術は、術後に血管が縮みやすく、比較的難しいですが、経験を積んだ外科医が施行し、連携診療を行っています。
 口蓋扁桃摘出術は、IgA腎症で重症度の高い患者さんにステロイドパルス療法と合わせて行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K773-5 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 171 1.22 3.50 0.58% 56.59
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 85 1.35 6.09 0.00% 67.32
K773 腎(尿管)悪性腫瘍手術 75 1.92 8.73 2.67% 62.05
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 63 1.35 2.48 0.00% 71.35
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 44 1.50 2.95 4.55% 41.00
 早期腎がんに対しては、手術支援ロボット、ダヴィンチを用いたロボット支援下腎部分切除術を実施しています。2013年から始めており、その手技は確立されています。また、2016年4月より保険適用となっています。 腫瘍の大きさやステージによっては、腹腔鏡下腎摘除術、ないし開腹腎摘除術を行います。転移性腎癌に対しては薬物治療を行っています。
 前立腺がんに対しては、当科では2011年からダヴィンチを導入する事で、がんの根治性と機能温存の精度を向上する事が可能となりました。最近では全例ロボット支援手術を行っております。当院において前立腺がんに対してロボット支援前立腺摘除術を行った患者さんの5年生存率(手術後5年の時点で生存している確率)は極めて高くなっています。
膀胱がんの80%は表在性で転移を起こしにくく、内視鏡的に切除します。しかし追加治療をしないと約60%は再発し再手術が必要となります。進行してがんが膀胱粘膜から筋層にまで広がると全身麻酔でおこなう膀胱全摘術が必要となります。当科では年間180例の内視鏡的切除術と15例前後の膀胱全摘術が行われています。そのほか、膀胱がんには放射線治療や化学治療が施行されています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 42 0.19%
180010 敗血症 同一 49 0.22%
異なる 76 0.34%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 185 0.84%
異なる 19 0.09%
●「その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)」 について
 播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、患者さんの人数と発生率を集計しています。
 
 「DPC」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁の番号のうち、頭6桁(疾患コード)を抜き出したものです。
 「入院契機(同一、異なる)」 … 入院するきっかけとなった傷病名を「入院の契機となった傷病名」、
    主に治療した傷病名を「医療資源を最も投入した傷病名」といい、
    これら二つの傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。
    「同一」ならば、入院するきっかけとなった傷病を主に治療して退院したことになり、
    「異なる」ならば、入院後に他の傷病が治療の主となったことになります。
 「発生率」 … 全退院患者に対しての発生割合です。
 
【解説】
 厚生労働省による、平成27年度のDPC対象病院の全国平均発生率は、播種性血管内凝固症候群(0.17%)、敗血症(0.58%)、その他の真菌感染症(0.04%)、手術・処置等の合併症(0.72%)となっています。当院の発生率は、全国平均と比較すると、それぞれ若干上回る傾向があります。また、多くの場合、重篤な主疾患の合併症として発症していますが、手術・処置等の合併症については、「同一」が9割を占めていることから、多くが入院時すでに発症しているいことがわかります。
 「手術・処置等の合併症」の内訳は、「心臓及び血管のプロステーシス、挿入物及び移植片のその他の合併症」 48件、「その他の心臓及び血管の人工器具、挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応」 36件、「外科的及び内科的ケアの合併症、詳細不明」 23件、「眼内レンズの機械的合併症」 20件、「処置に続発する感染症、他に分類されないもの」 19件、「その他の心臓及び血管の人工器具及び挿入物の機械的合併症」 18件、「処置のその他の合併症、他に分類されないもの」 15件、「その他」 25件です。
更新履歴
2017/09/30
H28年度 病院指標を公開しました。
2017/10/02
診療科別解説を加筆修正しました。
2017/10/03
診療科別解説を加筆修正しました。