公開シンポジウム開催
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腎臓内科
学校法人 東京女子医科大学
透析中の「腎臓リハビリ」で生存率が向上
~全国708人を3年間追跡、東京女子医大の研究グループが解明(REVEAL-D研究)~
多くの患者が週に何度も受ける人工透析。その「透析中の時間」を活用したリハビリテーション運動が、患者の生存率を高めることが分かりました。
東京女子医科大学医学部内科学講座腎臓内科学分野の星野純一教授、小林静佳助教らの研究グループ*は、全国多施設共同研究として維持血液透析患者708人を3年間追跡調査し、透析中の腎臓リハビリテーションを受けた患者では、受けなかった患者に比べて良好な生命予後と関連することを明らかにしました。本研究成果は、米国の国際医学誌Clinical Journal of the American Society of Nephrology(CJASN)に2026年7月10日付でオンライン掲載されました。
| Point
1. 腎臓リハビリテーションは、フレイル・サルコペニアを有する慢性腎臓病患者に対して、運動療法、栄養療法、看護ケアなど多面的治療によって患者の身体的・精神的・社会的障害を回復させるプログラムです。2018年に世界初の診療ガイドラインが公表され、身体機能・QOL向上などの治療効果が明らかになり、2022年には透析時運動指導等加算が保険収載されました。一方、生命予後などを長期間観察した研究は存在しませんでした。
2. 全国10施設**の維持血液透析患者2471名のうち、透析中の腎臓リハビリテーション実施群228名と患者背景を合わせた480名の合計708人を3年間追跡調査し、実施群で3年生存率が84.6%と、非実施群75.6%に比べて有意に良好であることを明らかにしました。様々な因子を調整した解析でも、実施群の死亡リスクが低いことが分かりました(調整ハザード比0.66、95%信頼区間0.44-1.00)。 3. 運動習慣(週2回以上、30分以上を1年間以上)を有する患者群においても、同様に、運動習慣を有さない患者群に比べて生命予後は良好でした(調整ハザード比 0.66、95%信頼区間 0.37-0.96)。 |
Ⅰ 研究の背景と経緯
維持血液透析患者では、加齢、慢性炎症、低栄養、尿毒症、身体活動量の低下などが重なり、筋力や運動耐容能が低下するフレイル・サルコペニアが高頻度にみられます。現在、送迎や介護を要する透析患者が多いことが社会問題になっており、これらは医療資源の観点のみならず、生活の質の低下、入院、要介護化、死亡と密接に関連するため、身体機能と生活機能を維持する対策が重要です。腎臓リハビリテーションは、単なる運動療法ではなく、運動療法、食事・水分管理、薬物療法、患者教育、心理・社会的支援を多職種で組み合わせ、腎臓病患者の身体的・心理的影響を軽減し、社会生活への復帰と長期予後の改善を目指す包括的プログラムです。日本腎臓リハビリテーション学会は2018年に世界初の腎臓リハビリテーション診療ガイドラインを公表し、2022年には日本で世界に先駆けて透析中運動指導等加算が保険収載され、国際的にも注目されています。
これまでの研究から、透析患者に対する運動療法は運動耐容能、筋力、身体機能、生活の質などを改善することが示されてきました。一方、透析中の腎臓リハビリテーションが、長期的な生命予後とどのように関連するかは十分に分かっていませんでした。そこで研究グループは、日本腎臓リハビリテーション学会の学術研究の一環として、3年間の後ろ向き調査および5年間の前向き調査を組み合わせたREVEAL-D研究を実施し、透析患者に対する腎臓リハビリテーションの有用性を検討しました。
1.研究デザイン
2021年1月時点で全国10施設**に通院していた成人の維持血液透析患者2471名のうち、透析中の腎臓リハビリテーション実施群228名と患者背景を合わせた480名の合計708人の診療情報を3年間追跡調査しました。対象者の平均年齢は69.8歳、男性59%、糖尿病44%、心血管疾患の既往39%で、重度フレイル(Clinical Frailty Scale 6以上)は13%でした。
2.腎臓リハビリテーションの定義
透析中に腎臓リハビリテーション指導士が行う監督下の運動指導に、栄養・生活指導を組み合わせ、週1回以上かつ1か月以上実施したものと定義しました。主要評価項目は全死亡とし、Cox比例ハザードモデルおよび傾向スコアマッチングを用いて、フレイル、併存疾患、検査値などの患者背景を調整しました。
3.主要結果
追跡期間中の死亡は実施群14.9%、非実施群23.1%で、3年生存率はそれぞれ84.6%、75.6%でした(P<0.01)。未調整解析では、実施群の死亡ハザード比は0.59(95%信頼区間0.40-0.87)、フレイル、糖尿病、心血管疾患歴、喫煙などを調整した解析では0.66(95%信頼区間0.44-1.00)でした。傾向スコアマッチング後も方向性は同様でした(ハザード比0.65、95%信頼区間0.40-1.05)。
2021年1月時点で全国10施設**に通院していた成人の維持血液透析患者2471名のうち、透析中の腎臓リハビリテーション実施群228名と患者背景を合わせた480名の合計708人の診療情報を3年間追跡調査しました。対象者の平均年齢は69.8歳、男性59%、糖尿病44%、心血管疾患の既往39%で、重度フレイル(Clinical Frailty Scale 6以上)は13%でした。
2.腎臓リハビリテーションの定義
透析中に腎臓リハビリテーション指導士が行う監督下の運動指導に、栄養・生活指導を組み合わせ、週1回以上かつ1か月以上実施したものと定義しました。主要評価項目は全死亡とし、Cox比例ハザードモデルおよび傾向スコアマッチングを用いて、フレイル、併存疾患、検査値などの患者背景を調整しました。
3.主要結果
追跡期間中の死亡は実施群14.9%、非実施群23.1%で、3年生存率はそれぞれ84.6%、75.6%でした(P<0.01)。未調整解析では、実施群の死亡ハザード比は0.59(95%信頼区間0.40-0.87)、フレイル、糖尿病、心血管疾患歴、喫煙などを調整した解析では0.66(95%信頼区間0.44-1.00)でした。傾向スコアマッチング後も方向性は同様でした(ハザード比0.65、95%信頼区間0.40-1.05)。| 腎リハ実施群(228名) | 非実施群(480名) | P値 | |
| 死亡率 | 14.9% | 23.1% | <0.01 |
Ⅲ 今後の展開
本研究は、世界に先駆けて腎臓リハビリテーションを社会実装した日本から、透析中の包括的リハビリテーションと生命予後との関連を多施設データで示した点に意義があります。高齢化社会を迎えて、透析医療のみならず一般住民においても、フレイル予防、日常生活動作、生活の質、社会参加を支える診療の重要性がさらに高まります。
現在、REVEAL-D研究の一環として、運動処方、栄養・生活指導、継続状況などを前向きに評価した多施設共同研究が同グループによって行われております。これらの研究を通じて、どのような患者に、どの内容を、どの程度実施すると最も効果的かを検証されていくことが期待されます。さらに、有害事象、入院、身体機能、生活の質、医療費・介護費を含む医療経済性も評価し、全国の透析施設で安全かつ継続可能な腎臓リハビリテーション体制の構築と、国際的な普及につなげることを目指します。
本研究は、世界に先駆けて腎臓リハビリテーションを社会実装した日本から、透析中の包括的リハビリテーションと生命予後との関連を多施設データで示した点に意義があります。高齢化社会を迎えて、透析医療のみならず一般住民においても、フレイル予防、日常生活動作、生活の質、社会参加を支える診療の重要性がさらに高まります。
現在、REVEAL-D研究の一環として、運動処方、栄養・生活指導、継続状況などを前向きに評価した多施設共同研究が同グループによって行われております。これらの研究を通じて、どのような患者に、どの内容を、どの程度実施すると最も効果的かを検証されていくことが期待されます。さらに、有害事象、入院、身体機能、生活の質、医療費・介護費を含む医療経済性も評価し、全国の透析施設で安全かつ継続可能な腎臓リハビリテーション体制の構築と、国際的な普及につなげることを目指します。
*共同研究機関:
聖マリアンナ医科大学薬理学講座 教授 木田圭亮
聖マリアンナ医科大学腎臓高血圧内科 教授 柴垣有吾、准教授 谷澤雅彦
国際医療福祉大学福岡保健医療学部 教授 河野健一
兵庫医科大学リハビリテーション学部理学療法科 准教授 松沢良太
昭和医科大学 臨床疫学研究所 所長・教授 長谷川毅
大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科 講師 音部雄平
青空クリニック 院長 大内雄太
株式会社フレキシブル 石原吉浩
**全国10施設:
秋葉原いずみクリニック、池田病院、池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック、井上病院、
岡村腎クリニック、川崎クリニック、古賀病院、常磐病院、諏訪の杜病院、つばさクリニック
【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
星野 純一 (ホシノ ジュンイチ)
東京女子医科大学 医学部 腎臓内科学分野 教授・基幹分野長
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel&Fax:03-3353-8112
E-mail: hoshino.junichi@twmu.ac.jp
<報道担当>
東京女子医科大学 広報課
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
【プレス情報】
1.掲載誌名:Clinical Journal of the American Society of Nephrology(CJASN)
2.論文タイトル:Intradialytic Renal Rehabilitation and Mortality: Results from the Registry of
Active Renal Rehabilitation in Dialysis Patients (REVEAL-D)
3.著者名:Junichi Hoshino*, Keisuke Kida, Shizuka Kobayashi, Kenichi Kono, Ryota Matsuzawa,
Yuhei Otobe, Keisei Kosaki, Masahiko Yazawa, Yohei Tsuchida, Toshiaki Usui, Yuta Ouchi, Hiroki Nishiwaki, Takeshi Hasegawa, Naohiko Fujii, Tadashi Sofue, Kunihiro Yamagata, Yugo Shibagaki, Ichiei Narita
(*責任著者、下線は東京女子医科大学所属)
4.DOIコード:10.2215/CJN.0000001133
https://doi.org/10.2215/CJN.0000001133
5.論文のオンライン掲載日と報道解禁日(Embargo):
2026年7月10日オンライン掲載済み/報道解禁なし
聖マリアンナ医科大学薬理学講座 教授 木田圭亮
聖マリアンナ医科大学腎臓高血圧内科 教授 柴垣有吾、准教授 谷澤雅彦
国際医療福祉大学福岡保健医療学部 教授 河野健一
兵庫医科大学リハビリテーション学部理学療法科 准教授 松沢良太
昭和医科大学 臨床疫学研究所 所長・教授 長谷川毅
大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科 講師 音部雄平
青空クリニック 院長 大内雄太
株式会社フレキシブル 石原吉浩
**全国10施設:
秋葉原いずみクリニック、池田病院、池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック、井上病院、
岡村腎クリニック、川崎クリニック、古賀病院、常磐病院、諏訪の杜病院、つばさクリニック
【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
星野 純一 (ホシノ ジュンイチ)
東京女子医科大学 医学部 腎臓内科学分野 教授・基幹分野長
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel&Fax:03-3353-8112
E-mail: hoshino.junichi@twmu.ac.jp
<報道担当>
東京女子医科大学 広報課
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
【プレス情報】
1.掲載誌名:Clinical Journal of the American Society of Nephrology(CJASN)
2.論文タイトル:Intradialytic Renal Rehabilitation and Mortality: Results from the Registry of
Active Renal Rehabilitation in Dialysis Patients (REVEAL-D)
3.著者名:Junichi Hoshino*, Keisuke Kida, Shizuka Kobayashi, Kenichi Kono, Ryota Matsuzawa,
Yuhei Otobe, Keisei Kosaki, Masahiko Yazawa, Yohei Tsuchida, Toshiaki Usui, Yuta Ouchi, Hiroki Nishiwaki, Takeshi Hasegawa, Naohiko Fujii, Tadashi Sofue, Kunihiro Yamagata, Yugo Shibagaki, Ichiei Narita
(*責任著者、下線は東京女子医科大学所属)
4.DOIコード:10.2215/CJN.0000001133
https://doi.org/10.2215/CJN.0000001133
5.論文のオンライン掲載日と報道解禁日(Embargo):
2026年7月10日オンライン掲載済み/報道解禁なし
こちら
腎臓内科
国立大学法人 福井大学
公立大学法人 名古屋市立大学
兵庫県立西宮病院
学校法人 昭和医科大学
学校法人 東京女子医科大学
国立大学法人 大阪大学
国立大学法人 金沢大学
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
東海大学
一般社団法人日本腎臓学会
公立大学法人 名古屋市立大学
兵庫県立西宮病院
学校法人 昭和医科大学
学校法人 東京女子医科大学
国立大学法人 大阪大学
国立大学法人 金沢大学
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
東海大学
一般社団法人日本腎臓学会
尿蛋白の減少が末期腎不全リスク低下と関連することを明らかに
| Point
● 慢性腎臓病(CKD)患者において、2年間で尿蛋白が30%減少することが、末期腎不全(透析・腎移植を要する状態)への進行リスク低下と関連することを、日本人大規模コホートで明らかにした。
● 尿蛋白の変化は、従来の指標である尿アルブミンの変化と同等の関連を示し、日常診療で簡便・安価に使えるサロゲートマーカー(注1)となり得る。 ● ただしeGFR(注2)<15mL/min/1.73 m²の進行例では、尿蛋白の変化と末期腎不全リスクとの関連が弱まる傾向があるため、尿アルブミンの変化を併用することが望ましい。 |
【概要】
国立大学法人福井大学 学術研究院医学系部門(医学領域)腎臓病態内科学分野の遠山直志教授らの研究グループは、日本腎臓学会、協和キリン株式会社との共同研究である日本CKDコホート研究(CKD-JAC)のデータを用いて、尿蛋白クレアチニン比(UPCR)(注3)の2年間の30%減少が、尿アルブミンクレアチニン比(UACR)(注3)の30%減少と同等に、末期腎不全(透析や腎移植が必要な状態)(注4)への進行リスク低下と関連することを示しました。
尿アルブミンはCKD進行評価の確立したバイオマーカーであり、その普及・活用は引き続き重要な課題です。一方、日本では簡便かつ安価な尿蛋白測定が広く用いられています。本研究は中等度から進行したCKD患者を対象とし、このような段階において尿蛋白の変化が尿アルブミンの変化と同等に将来の腎不全リスクと関連することを、日本人大規模コホートで初めて体系的に示したものであり、CKDの臨床試験のサロゲートエンドポイント設計や、日常診療での予後評価への応用が期待されます。
本研究成果は、令和8年6月29日(日本時間)に、国際学術誌「Nephrology Dialysis Transplantation」に掲載されました。
Ⅰ 研究の背景と経緯 尿アルブミンはCKD進行評価の確立したバイオマーカーであり、その普及・活用は引き続き重要な課題です。一方、日本では簡便かつ安価な尿蛋白測定が広く用いられています。本研究は中等度から進行したCKD患者を対象とし、このような段階において尿蛋白の変化が尿アルブミンの変化と同等に将来の腎不全リスクと関連することを、日本人大規模コホートで初めて体系的に示したものであり、CKDの臨床試験のサロゲートエンドポイント設計や、日常診療での予後評価への応用が期待されます。
本研究成果は、令和8年6月29日(日本時間)に、国際学術誌「Nephrology Dialysis Transplantation」に掲載されました。
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)は日本人成人の約5人に1人が罹患するとされる国民的疾患であり、進行すると透析や腎移植が必要な末期腎不全に至ります。末期腎不全に至るまでには長期間を要することから、CKDの臨床試験や観察研究では、末期腎不全の「代わり」となるサロゲートマーカーが重要視されています。
これまでに、尿アルブミンクレアチニン比(UACR)の短期間の変化が、将来の末期腎不全の発生と強く関連することが示され、国際的な臨床試験でサロゲートマーカーとして採用されてきました。一方、日本をはじめアジア・欧州の一部の国では、日常診療においてアルブミン尿ではなく尿蛋白(UPCR)の測定が広く行われています。これは、尿蛋白測定のほうが簡便かつ安価であることや、保険診療上の制約があることなどによります。
しかし、同一集団においてUPCRとUACRを直接比較し、短期間の変化が末期腎不全リスクと同等に関連するかを検討した研究は限られていました。
本研究では、日本CKDコホート研究(CKD-JAC)の参加者のうち、ベースラインおよび2年後の尿アルブミン・尿蛋白のデータが揃っていた603名を解析対象としました。平均年齢は60歳、平均eGFRは29 mL/min/1.73 m²、UPCR中央値は0.81 g/gCr、UACR中央値は601 mg/gCrでした。中央値4.9年の追跡期間中に、245名(40.6%)が末期腎不全へ進行しました。
UPCRおよびUACRの2年間の30%減少と、その後の末期腎不全の発生リスクの関連をCox比例ハザードモデルで解析した結果、以下の点が示されました。
① 2年間のUPCRの30%減少は、末期腎不全の発生リスクの有意な低下と関連しました(ハザード比 0.52、95%信頼区間 0.38–0.71)。
② 2年間のUACRの30%減少も、同等のリスク低下と関連しました(ハザード比 0.58、95%信頼区間 0.41–0.82)。
③ サブグループ解析では、eGFR<15 mL/min/1.73 m²の進行例において、UPCRの変化と末期腎不全リスクとの関連がUACRの変化に比べて弱まる傾向がみられました。
さらに1年間のUPCRの30%減少も、その後の末期腎不全の発生リスクの低下と有意に関連することが示され、より短い観察期間でも尿蛋白の変化がサロゲートマーカーとして活用できる可能性が示されました。
UPCRおよびUACRの2年間の30%減少と、その後の末期腎不全の発生リスクの関連をCox比例ハザードモデルで解析した結果、以下の点が示されました。
① 2年間のUPCRの30%減少は、末期腎不全の発生リスクの有意な低下と関連しました(ハザード比 0.52、95%信頼区間 0.38–0.71)。
② 2年間のUACRの30%減少も、同等のリスク低下と関連しました(ハザード比 0.58、95%信頼区間 0.41–0.82)。
③ サブグループ解析では、eGFR<15 mL/min/1.73 m²の進行例において、UPCRの変化と末期腎不全リスクとの関連がUACRの変化に比べて弱まる傾向がみられました。
さらに1年間のUPCRの30%減少も、その後の末期腎不全の発生リスクの低下と有意に関連することが示され、より短い観察期間でも尿蛋白の変化がサロゲートマーカーとして活用できる可能性が示されました。
Ⅲ 今後の展開
本研究は、日常診療で広く測定されている尿蛋白の変化が、尿アルブミンの変化と同等にCKDの将来リスクと関連することを、日本人コホートを用いて初めて体系的に示したものです。日本では保険診療上の制約から尿蛋白測定が広く用いられている現状があり、本研究はそのような状況下でも尿蛋白の変化が有用なマーカーとなり得ることを示したものです。本研究成果は、今後のCKD臨床試験におけるエンドポイント設計や、日常診療における予後評価の実装に寄与することが期待されます。
一方で、本研究ではeGFR<15の進行例において、尿蛋白の変化と末期腎不全リスクとの関連が弱まる傾向が示されました。この集団では尿アルブミンの変化を用いる、あるいは両者を補完的に用いることが望ましい可能性があります。今後、より多様な人種・病態を含む国際コホートでの検証を通じて、UPCR変化のサロゲートマーカーとしての位置づけをさらに明確化することが期待されます。
本研究は、日常診療で広く測定されている尿蛋白の変化が、尿アルブミンの変化と同等にCKDの将来リスクと関連することを、日本人コホートを用いて初めて体系的に示したものです。日本では保険診療上の制約から尿蛋白測定が広く用いられている現状があり、本研究はそのような状況下でも尿蛋白の変化が有用なマーカーとなり得ることを示したものです。本研究成果は、今後のCKD臨床試験におけるエンドポイント設計や、日常診療における予後評価の実装に寄与することが期待されます。
一方で、本研究ではeGFR<15の進行例において、尿蛋白の変化と末期腎不全リスクとの関連が弱まる傾向が示されました。この集団では尿アルブミンの変化を用いる、あるいは両者を補完的に用いることが望ましい可能性があります。今後、より多様な人種・病態を含む国際コホートでの検証を通じて、UPCR変化のサロゲートマーカーとしての位置づけをさらに明確化することが期待されます。
【参考図】
図1:
図1:

【用語解説】
(注1)サロゲートマーカー
臨床試験等で本来の評価項目(真のエンドポイント、ここではKFRT)の代替として用いられる指標。長期間の観察が必要な疾患では、短期間で評価可能なサロゲートマーカーが重要視される。
(注2)eGFR(推算糸球体濾過量)
腎臓のろ過機能を年齢・性別・血清クレアチニン値から推算した指標。数値が小さいほど腎機能が低下していることを示す。
(注3)UACR(尿アルブミンクレアチニン比)・UPCR(尿蛋白クレアチニン比)
尿中のアルブミンまたは蛋白の濃度を尿中クレアチニン濃度で補正した指標。蓄尿を必要とせず、随時尿(スポット尿)で測定できる。
(注4)末期腎不全(KFRT: Kidney Failure Requiring Replacement Therapy)
腎機能が著しく低下し、血液透析・腹膜透析・腎移植のいずれかの腎代替療法が必要となる状態。
【論文タイトル】
"Urinary Protein vs Albumin for Assessing Kidney Failure Risk in Chronic Kidney Disease: Findings from the CKD-JAC Study"
(日本語タイトル:「慢性腎臓病における腎不全リスク評価のための尿蛋白と尿アルブミンの比較 ― CKD-JAC研究からの知見」)
【著者】
Tadashi Toyama, Takahiro Imaizumi, Takayuki Hamano, Hirotaka Komaba,
Naohiko Fujii, Takeshi Hasegawa, Masahiko Ando, Masaomi Nangaku, Kosaku Nitta,
Yoshitaka Isaka, Takashi Wada, Shoichi Maruyama, Masafumi Fukagawa
遠山 直志(福井大学学術研究院医学系部門(医学領域)腎臓病態内科学分野教授)
今泉 貴広(名古屋大学大学院医学系研究科講師)
濱野 高行(名古屋市立大学大学院医学研究科教授)
駒場 大峰(東海大学医学部医学科内科学系腎内分泌代謝内科学教授)
藤井 直彦(兵庫県立西宮病院医療安全部長兼診療部腎臓内科部長)
長谷川 毅(昭和医科大学臨床疫学研究所所長・教授)
安藤 昌彦(名古屋大学医学部附属病院病院教授)
南學 正臣(東京大学大学院医学系研究科教授)
新田 孝作(東京女子医科大学 腎臓内科学客員教授)
猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科教授)
和田 隆志(金沢大学長)
丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科教授)
深川 雅史(東海大学医学部客員教授)
【発表雑誌】
雑誌名「Nephrology Dialysis Transplantation」(ネフロロジー ダイアライシス トランスプランテーション)
(令和8年6月29日14時にオンライン掲載予定)
DOI番号:10.1093/ndt/gfag122
【配信先】
文部科学記者会、科学記者会、福井県教育・スポーツ記者クラブ、名古屋教育医療記者会、
大阪科学・大学記者クラブ、名古屋教育記者会、厚生日比谷クラブ、本町記者会、厚生労働記者会
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
遠山 直志(とおやま ただし)
国立大学法人福井大学 学術研究院医学系部門(医学領域)腎臓病態内科学分野
〒910-8507 福井市文京3丁目9番1号
TEL:0776-61-8478 E-mail:ttoyama@u-fukui.ac.jp
猪阪 善隆(いさか よしたか)
国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学
〒565-0871 吹田市山田丘2番2号
TEL:06-6879-3857 E-mail:isaka@kid.med.osaka-u.ac.jp
(報道担当)
国立大学法人福井大学 広報センター
〒910-8507 福井市文京3丁目9番1号
TEL:0776-27-9733 E-mail:sskoho-k@ad.u-fukui.ac.jp
名古屋市立大学 病院管理部経営課
〒467-8602愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1番地
TEL:052-858-7529
E-mail:hpkouhou@sec.nagoya-cu.ac.jp
学校法人昭和医科大学 総務部総務課 大学広報係
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8
TEL:03-3784-8059 E-mail:press@ofc.showa-u.ac.jp
学校法人東京女子医科大学 総務部広報課
〒162-8666 東京都新宿区河田町8番1号
TEL:03-3353-8111 E-mail:kouhou.bm@twmu.ac.jp
名古屋大学医学部・医学系研究科 総務課総務係
TEL:052-744-2228 FAX:052-744-2785
E-mail:iga-sous@t.mail.nagoya-u.ac.jp
東海大学医学部付属病院事務部事務課(広報)
〒259-1193 神奈川県伊勢原市下糟屋143
TEL: 0463-90-2001 E-mail: prtokai@tokai.ac.jp
遠山 直志(とおやま ただし)
国立大学法人福井大学 学術研究院医学系部門(医学領域)腎臓病態内科学分野
〒910-8507 福井市文京3丁目9番1号
TEL:0776-61-8478 E-mail:ttoyama@u-fukui.ac.jp
猪阪 善隆(いさか よしたか)
国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学
〒565-0871 吹田市山田丘2番2号
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(報道担当)
国立大学法人福井大学 広報センター
〒910-8507 福井市文京3丁目9番1号
TEL:0776-27-9733 E-mail:sskoho-k@ad.u-fukui.ac.jp
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TEL: 0463-90-2001 E-mail: prtokai@tokai.ac.jp
出展します

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する展示会「大学見本市2026~イノベーション・ジャパン」において、医学部病理学 教授 倉田 厚先生の研究シーズの出展が決定いたしました。
本展示会は、全国の大学・研究機関が有する最先端の技術シーズを一堂に集め、産学連携・共同研究の促進を目的として開催されるものです。
ご関心をお持ちの皆さまにおかれましては、ぜひ会場にお越しいただき、本学の研究内容に直接触れていただければ幸いです。
■ 開催概要
展示会名:大学見本市2026~イノベーション・ジャパン
開催日:2026年8月27日(木)、28日(金)
会場:東京ビッグサイト 南展示棟 南1ホール(東京都江東区有明)
【展示内容】
出展分野:健康・医療
出展タイトル:梅毒トレポネーマ培養成功、診断洗練やワクチン開発へ
代表研究者:倉田 厚(医学部病理学 教授)
代表研究者:倉田 厚(医学部病理学 教授)
ブース番号:H-084
※開催1日目の11:49からピッチステージBにて、ショートプレゼンテーション(5分)も行います。
大学見本市2026~イノベーションジャパン 公式サイト
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