学術集会・講演会

第33回吉岡弥生記念講演会(第356回東京女子医科大学学会例会)

第33回吉岡弥生記念講演会
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日時:平成29年5月22日(月曜日)13時~16時
会場:東京女子医科大学 弥生記念講堂
対象:本会会員、本学学生・教職員、一般

(司会)幹事 尾﨑 眞
(挨拶)会長 吉岡俊正

平成29年度(第56回)吉岡弥生研究奨励賞授与式 13時~13時15分

選考経過報告
 理事長・学長 吉岡俊正
妊娠糖尿病における分娩後耐糖能異常のリスク因子の検討
 内科学(第三) 柳澤慶香

平成28年度(第55回)吉岡弥生研究奨励賞受賞者研究発表 13時15分~14時15分

(座長)副会長 橋本悦子

  1. 抗アクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎関連疾患患者の妊娠に関連した再発リスクの検討
     1神経内科、2東北大学神経内科、3八千代医療センター神経内科、4順天堂大学神経内科、5総合研究所研究部
     清水優子1・藤原一男2・大橋高志3・中島一郎2・横山和正4・池口亮太郎1・高橋利幸2
     三須建郎2・清水 悟5・青木正志2・北川一夫1
  2. Caenorhabditis elegansにおけるcdc-42の機能解析
     生理学(第二)上原朋子
  3. マウスにおける感染による声帯周囲の炎症の検討について
     1麻酔科学、2病理学(第二)、3感染対策部感染症科、4神奈川県立こども医療センター
     虻川有香子1・小田秀明2・菊池 賢3・広木公一4・尾﨑 眞1

第33回吉岡弥生記念講演 14時30分~16時

(挨拶)理事長・学長 吉岡俊正
(座長)会長 吉岡俊正
弥生先生を語る
 黒島淳子先生(本学名誉教授、昭和36年卒業生)
女性医師教育者としての吉岡彌生
 渡邊洋子先生(新潟大学人文社会・教育科学系 教授 創生学部担当)

1.抗アクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎関連疾患患者の妊娠に関連した再発リスクの検討
 (1神経内科、2東北大学神経内科、3八千代医療センター神経内科、4順天堂大学神経内科、5総合研究所研究部)
清水優子1・藤原一男2・大橋高志3・中島一郎2・横山和正4・池口亮太郎1・高橋利幸2
三須建郎2・清水 悟4・青木正志2・北川一夫1

 抗アクアポリン4(aquaporin-4:AQP4)抗体陽性視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)では妊娠・出産に伴い再発が多くなることが報告されている。今回我々は日本人NMOSD患者の妊娠に関連した再発を調査し、再発の危険因子を検討した。対象は抗AQP4抗体陽性の日本人女性NMOSD139例のうち、経過を観察しえた114例。そのうち経産婦は47例で全妊娠数56.妊娠前・妊娠中・出産後1年以内の年間再発率(annual relapse rate:ARR)を検討した。その結果、47例の経産婦NMOSDのうち22例(46.8%)は、妊娠・出産に伴う再発をきたしていた。ARRは妊娠前(0.57±1.16)と比較し、出産後3か月以内(1.80±2.04)で有意に高値であった(p=0.0043)。多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)のような妊娠中の有意なARRの低下はなかった。妊娠前にNMOSDと確定診断されていた経産婦11例のうち妊娠・出産に伴う再発をきたした9例は妊娠前の1年間に再発があり、患者の挙児希望により免疫抑制薬が中止もしくは低用量投与となっていた。一方、妊娠・出産に伴う再発なしの2例は妊娠中も適正な免疫抑制薬の投与が継続されており妊娠前の再発はなかった。今回の結果から、NMOSDの妊娠・出産に関連した再発は出産後早期に有意に多かった。妊娠・出産に伴う再発の危険因子は妊娠前1年間の再発であり、妊娠・出産に伴う再発を防ぐためには、妊娠前からの適正な免疫抑制薬の治療継続による病勢の安定化が重要であると考えられた。

2.Caenorhabditis elegansにおけるcdc-42の機能解析
 (生理学(第二))上原朋子

 代表者の勤務先である慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センターでは、現在、未診断疾患の患者に対して次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行っている。本臨床研究を通じて、これまでに類似の表現型(血小板低下症、精神運動発達遅滞、指趾の関節拘縮、特徴的顔貌、下腿リンパ浮腫など)を呈し、CDC42遺伝子の同一(c.191A>G p.Tyr64Cys(NM_001039802.1))部位にヘテロ接合性のミスセンス変異を有する患者を4人診断した。Cdc42欠失マウスで報告されている表現型と部分的には類似することから、CDC42遺伝子異常による新規症候群として確立した。CDC42は、細胞周期、細胞分裂、細胞骨格の形成・調節・維持に重要な遺伝子であるが、ヒトの疾患との関連はこれまで知られていない。CDC42遺伝子の特定の変異に基づく分子レベルでの病態解明を行うことで、疾患の発症機序を明らかにし、分子基盤に基づく治療法の開発につながる可能性がある。
 CDC42はC. elegansのホモログでもその配列は高く保存されている。CRISPR/Cas9法を用いて、ヒト変異と同一部位に変異を有するcdc-42変異体を作成した。cdc-42は細胞表面のphosphatidyl serine(PS)を介して、アポトーシス細胞の貪食に関与している。血小板凝集はPSにより促進されることから、cdc-42変異体におけるアポトーシスの状態を調べている。我々はアポトーシス細胞を検出するtransgenic個体と交配を行い、生殖細胞における細胞数を観察し、野生型との比較を行った。同様に、ヒト表現型である中枢神経症状を説明しうる可能性を考え、変異体で神経細胞・軸索の状態についても観察を行っている。

3.マウスにおける感染による声帯周囲の炎症の検討について
 (1麻酔科学、2病理学(第二)、3感染対策部感染症科、4神奈川こども医療センター)
虻川有香子1・小田秀明2・菊池 賢3・広木公一4・尾﨑 眞1

 風邪罹患の16歳女児、もやもや病にて右STA-MCAバイパス手術の3か月後に、声帯肉芽により嗄声・呼吸困難が起こった症例を経験した。挿管の合併症として、声帯の炎症・肉芽形成がよく知られているが、発生頻度は不明である。今回我々はマウスにて、感染源である化膿レンサ球菌由来リポテイコ酸(LTA)を使用し、実際の声帯周囲の炎症・肉芽形成の頻度を検討した。C57BL6Jマウスを導入後、実験を開始した。マウスにキシラジン25mg/kgの麻酔を腹腔内投与し、吸入麻酔のイソフルランをマスクにて投与した。疼痛反応がないことを確認後22Gカテーテルにて挿管し人工呼吸管理を行った。吸入麻酔薬を挿管後より手術終了後まで0.5~1.5%投与し、マウスに疼痛のない外科的処置を行った。マウスを以下2群に分けた。(1)コントロール群(N=5:挿管のみ)、(2)LTA群(N=5)喉頭周囲穿刺をLTAの塗布したペンシルポイント針にて3回穿刺を行った。手術操作後、吸入麻酔薬を中止し、自発呼吸再開後抜管した。術後(POD)2、4日にペントバルビタールの過量投与にて安楽死させ喉頭の標本を摘出した。ホルマリン標本を作成し、病理学教室にて診断した。結果としてLTA群は炎症が強く起こっており、一部壊死まで起こしていた。肉芽は、POD4で100%出現していた。LTAでは、炎症が強く起こっていた。今回はマウスでの結果だが、人でも同じように起こりうると予想される。手術の際には、十分な検討が必要であると考えられる。

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