当科で現在進行中の研究テーマをご紹介します。

木村病の病態解明

木村病(軟部好酸球性肉芽腫症)は,青年期から壮年期の男性に多く、頸部リンパ節腫脹を伴う痛みを伴わない皮下の腫瘤で多発にみられるのが特徴です。好発部位は耳下部や顎下部、耳後部などの頭頸部領域が多く、その他鎖骨下や四肢にも出現することがある。腫脹や消退を繰り返し、感冒、疲労、妊娠やストレスなどで腫脹は増悪します。
 木村病はアレルギーが関与しておりますが、その機序などは未だ不明です。その機序の解明とその治療法について研究をしております。(崎谷、鯨井)

ミクリッツ病・IgG4関連疾患の病理学的検討

IgG4関連疾患として理解されつつあるミクリッツ病、キュットナー腫瘍の臨床ならびに基礎的研究を行っています。 (草間、野中)

近赤外光計測装置(WOT-S20)を用いた唾液腺機能の検討

光トポグラフィ法を原理とした本法では唾液分泌量に相関する唾液腺(耳下腺)血液量変化を無侵襲でリアルタイムに測定することができます。
健常者およびシェーグレン症候等の唾液腺機能障害例に対して本装置を用いて、従来の99mTcO4-シンチグラフィやガムテストといった唾液腺機能検査法を補完する評価法を検討しています。(立川、山村)

真性唾液過多の病態解明と治療法の開発

唾液過多(流涎症: りゅうぜん症)は、唾液が実際に増加する真性唾液過多と、唾液が多いと感じる仮性唾液過多に分類され、真性唾液過多の原因は唾液腺の「副交感神経ムスカリン受容体」を介する過剰・持続的な唾液分泌刺激と考えられています。
真性唾液過多症の治療には一般に唾液分泌を抑える作用のある「抗コリン薬」や漢方薬などが用いられますが、十分な効果を得られないことも多いです。
当科では唾液腺シンチグラフィ(右図)等により唾液腺機能を評価し、真性唾液過多と診断された場合は、当院倫理委員会の承認のもとに頻尿(過活動性膀胱)の治療薬「M3受容体選択的拮抗薬」による治療を行っています。(山村)

好酸球性中耳炎と副鼻腔炎

好酸球性中耳炎研究グル-プの1人として診断基準を作成した。喘息との関連を含めた病態解明を行い、軽症から重症までの病態の違いの探究と、病態に応じた治療を考案しています。

好酸球性副鼻腔炎は好酸球浸潤が顕著な難治性副鼻腔炎で、近年増加しています。全身疾患としてとらえた病態解明を行い、病態に基づいた薬物療法と内視鏡下副鼻腔手術を含めた、治療指針を作成しています。
(瀬尾、野中)

IgG4関連副鼻腔炎

最近IgG4関連疾患に伴う慢性副鼻腔炎の存在が示唆されていますが、実際存在するか明らかではありません。IgG4クラススイッチ誘導因子の副鼻腔粘膜での発現の解析から、IgG4関連副鼻腔炎の存在を解明しつつあります。(野島、野中)

アレルギ-性鼻炎病態形成における鼻粘膜上皮層の役割について

アレルギ-性鼻炎の病態形成には、鼻粘膜上皮層は重要な働きをしています。Nasal brushingの手法を用い、次世代シ-クエンサ-という最新の機器にて、上皮層でのゲノム全域にわたる解析や新規発現産物の検索を行っています。(瀬尾、野中)

鼻副鼻腔線維芽細胞の特殊性と副鼻腔炎病態形成における役割の解明

近年、線維芽細胞は自然免疫や獲得免疫に深く関わっていることが分かっています。慢性副鼻腔炎の病態形成に重要な種々のtoll like receptorsに対する反応性、気管支線維芽細胞との反応性の違いなど解析しています。また、線維芽細胞増殖におけるコリントランスポ-タ-分子の同定と機能解析を行っています。(一瀬、野中)

抗菌活性を有しない新規マクロライド誘導体の鼻茸線維芽細胞に対する増殖抑制効果の検討

マクロライド療法が慢性副鼻腔炎に有効であることは知られています。これは14員環マクロライド系抗菌薬の抗炎症作用によると考えられていますが、耐性菌を誘導するという欠点もあります。
慢性副鼻腔炎の鼻茸には増殖した多くの線維芽細胞が存在し、サイトカインなどを産生することで炎症反応に深く関与しています。本研究では抗炎症作用を有し抗菌活性の無い新規マクロライド誘導体を用い、鼻茸線維芽細胞に対する増殖抑制効果を検討しています。(坂林、野中)