腎臓病腎移植腎血管外科
Kidney Transplant
TOKYO WOMEN’S MEDICAL UNIVERSITY HOSPITAL
Department of Urology,kidney Center

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東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター泌尿器科

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腎移植とは

腎移植とは

腎移植とは腎臓の機能が低下した人のために、新しい腎臓を手術で移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。

メリット

メリット

腎機能が低下した場合の治療法には、透析治療と腎移植があります。透析療法には大きく分けて血液透析と腹膜透析がありますが、いずれも時間的制約が大きいことと腎臓の一部分の役割しか果たさないことが問題になっています。それに対し腎移植後は失われた腎臓の機能はほぼ完全に回復し、時間に縛られることもありませんし、食事も自由に食べられます。

腎臓の提供元について

腎移植には、亡くなった方からいただく献腎移植とご家族からいただく生体腎移植があります。

生体腎移植

生体腎移植

腎臓を提供できる方はご家族の方(夫婦間も含む)で自らの意思で腎臓の提供を希望されている方になります。腎臓を片側提供するので腎臓の機能が正常であることはもちろん、健康体であることが必要になります。

日本移植学会の倫理指針では、生体移植では、親族からの提供に限るとされており、親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族と定義されています。

献腎移植

献腎移植とは、亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植のことです。献腎移植には心臓死からの移植と脳死からの移植があります。献腎移植を希望される場合には、臓器移植ネットワークにあらかじめ登録する必要があります。

日本臓器移植ネットワークに献腎移植の登録を行います。腎臓の提供者が出た場合、登録されている方の血液型と白血球の血液型との適合度を調べ、適合度の高い人に腎臓が移植されます。

献腎移植登録の手続き :
献腎移植登録を希望される方は、移植外来を受診していただき登録します。その際採血を行い血液型とHLA(白血球の血液型)を調べさせていただきます。また移植医より腎移植に関する詳しい説明をさせていただきます。登録料は初回登録料が30,000円で、1年毎の更新料が5,000円となっています。
腎臓提供の決定 :
腎臓提供される方(ドナー)が出た場合は、臓器移植ネットワークで提供者の血液型、HLAが調べられます。そこで登録されている方の血液型とHLAとの適合度を調べ、適合度の高い人が数名選ばれ移植候補者となります。この時点で移植施設より移植を受ける意思があるかどうか確認の連絡が入ります。移植腎の摘出された経緯などの説明がありますので、自分の体調などを考慮して返事をしてください。
腎移植の実際 :
腎移植を受けることを了承された方は、すぐに入院のために東京女子医大にきていただくことになります。腎臓が摘出されてから移植されるまでの時間は短いほうが腎臓へのダメージが少ないので、できるだけ早く手術します。病院に着いたら、これまでの透析状況や合併症の状況を教えていただき、診察と採血、レントゲン、心電図などの検査をさせていただきます。腎移植の手術の前に、血液透析を1度行います。手術の時間は約3時間ぐらいです。献腎移植の場合、移植後すぐに尿が出る場合もありますが、多くの場合はしばらく尿が出ないので、その間は血液透析を行うことになります。通常は約3週間の入院となります。
脳死からの献腎移植 :
脳死とはまさに脳が何らかの障害により死んでしまった状態です。脳だけが死んでしまっている状態で、最初は心臓は動いていますが呼吸ができないため人工呼吸器がないと心臓は止まってしまいます。しかし、医療の発達によってこの脳死の状態に人工呼吸器につなげ強心剤を使うと、脳は死んでいても何日も心臓は動きつづけることができるようになりました。世界的には一部の国を除いて脳死は人の死とされています。現在の日本では、一般的に脳死は人の死とは認められていません。臓器提供意思カードに脳死での臓器提供の意思を明示してある場合のみ、臓器提供を前提として脳死は人の死とされています。腎移植に限れば心臓が停止してからも臓器提供できますが、肝臓や心臓など多くの臓器は脳死下からの臓器提供でなければ移植臓器の機能は発現しません。これまでわが国では2004年1月現在までに26名の方から脳死下での臓器提供がありました。
心停止からの献腎移植 :
臓器移植法が制定される前までは、心臓停止後のみ腎臓が提供できたので、長い間献腎移植といえば心停止後の臓器提供でした。現状では心停止後の献腎移植は生体腎移植と比べ移植腎生着率(移植した腎臓が長持ちする度合い)がやや悪いのですが、ご家族からの提供者がいない場合は献腎移植に頼らざるを得ないのも事実です。腎臓へのダメージからすると脳死下からの移植が理想ですが、これまでの経験より心停止下からの移植腎も生体腎や脳死下移植よりはやや劣るものの、十分良好な腎機能を発現することがわかっています。わが国で2003年の1年間に心停止後臓器を提供された方は75名で、132名の方に腎臓が移植されました。

腎移植と透析の違い

透析療法と比べ腎臓の機能を代行するという意味では腎移植がはるかに優れていますが、腎移植の最大の問題点は腎臓の提供者が少ないということです。

腎移植が優れている点 :
時間
腎移植では通常、月に1度の通院ですみますが、透析の場合週に3回透析センターで透析しなければいけません。1月にすると50時間以上を透析センターで過ごさなければいけないことになります。学業や仕事がある場合、透析は大きな障害になります。
食事
腎移植の場合、食事に関しては一般にいわれている健康的な食事(低塩、低脂肪)であれば特に制限はありません。一方、透析療法の場合、カリウム、リン、塩分などの厳しい制限が必要になります。特にカリウム(果物、生野菜に多く含まれる)を多く取ってしまうと、血液中のカリウム濃度が上昇し、不整脈がおこりときには心臓が止まってしまうことさえあります。
味覚
腎移植を受けた患者さんが最初に受ける印象は味覚が改善され食事がとてもおいしく感じることだそうです。これは透析中は口の中がねばねばし尿毒素により味覚が低下していたのが移植によって改善されるためです。
飲水
腎移植では制限ありませんが、透析療法では尿が出ないため1日500~700mlの飲水に制限されています。
生存率
腎移植のほうが透析療法より長生きできることがわかっています。最近、東京女子医大で腎移植を受けられたすべての患者さんの5年生存率(移植してから5年以上、生存している割合)は94%であるのに対し、30歳から44歳の透析患者さんの5年生存率は87.2%でした。
合併症
長期に透析を行うと、様々な合併症が出現するのに対し、腎移植ではほとんどの透析に伴う合併症は改善します。
小児の成長
小児期から透析療法を行っていると尿毒症のため正常な成長は望めません。それに対し腎移植ではお子さんの成長を阻害しません。小児の腎不全の患者さんには腎移植をできるだけ早期に行ってあげることによって、できるだけ正常に発育するようにします。
医療費
透析、腎移植ともに医療費はそのほとんどを公費が負担し、患者さんの負担には違いはありません。しかし実際に要する金額は、透析療法ではおおよそ月額40~50万円、腎移植では月額15万円です。医療経済的にも腎移植は優れています。