ごあいさつ

東京女子医科大学病院神経精神科教授・講座主任 西村 勝治

dr-nishimura

2016年4月より、前任の石郷岡純教授のあとを受けて精神医学講座を担当している西村です。

時代の変化とともに精神医療は多様化し、精神医療に対するニーズも大きく変化しています。そのなかで一貫して臨床を重視してきた当講座の沿革、現状と目標(診療、教育、研究)、そして目指す未来をお伝えしたいと思います。

 

  1. 沿革

     1949年、千谷七郎を初代教授として東京女子医科大学精神医学講座は開設されました。千谷は躁うつ病の病態生理に関する研究と臨床に力を注ぎ、後に単一精神病論(統合失調症と躁うつ病を単一の病態だとする仮説)を提唱しました。この仮説は今日ゲノム研究等で改めて支持されており、まさに時代を先取りしたものでした。1967年には当時の大学病院としては最大規模の病床数(117床)を有する神経精神科病棟が完成しました。何よりも臨床を重視する当時の姿勢はいまも本講座の伝統として脈々と受け継がれています。

     1977年に第二代教授に就任した柴田収一は千谷の業績を引き継ぎ、発展させました。また1988年にはリエゾン診療部門が開設され、以後、当講座はコンサルテーション・リエゾン活動にも力を注いできました。1989年に第三代教授に就任した田村敦子は東京都女性相談センターとの共同研究等によって、女性精神医学の礎を築きました。1997年には田中朱美が第四代教授に就任し、東洋医学の視点から精神医療の可能性をさらに拡大しました。

     2004年に第五代教授に就任した石郷岡純は難治性統合失調症治療を期してクロザピンの本邦導入に尽力し、当講座を日本屈指の洗練された薬物療法を行う場として育成しました。同時に心理教育に代表されるチーム医療を推進しました。

     2016年からは西村勝治が講座を担当し、現在に至っています。

  2. 診療

    当講座の診療部門は神経精神科です。重症精神疾患治療とリエゾン診療を二つの柱として、チーム医療を重視した診療を行っています。

    1. 重症精神疾患治療

       閉鎖病棟(65床)を有する大学病院精神科として、クロザピンの国内第一号認定施設に指定される等、これまで多くの重症精神疾患治療に挑んできました。とりわけ難治性・治療抵抗性精神疾患に包括的な治療を提供することは、大学病院精神科の使命と考えています。その実現のために他の診療科との連携、地域の精神科病院、クリニックとの連携をさらに緊密にしていきたいと考えています。

    2. リエゾン診療

       リエゾン診療は診療科を越え、疾患・臓器を越えて病院全体の全人的・包括的医療を支える役割を担っています。本学のような高度医療機関には欠かせない診療領域であり、医療政策的にも今後ますます重視される領域です。これまで臓器移植(腎臓、肝臓、心臓)、循環器、膠原病、がん、ICU、救命救急など様々な領域にネットワークを構築し、活発な診療活動を行ってきました。今後、さらに拡充し、医療安全、医療経済にも寄与したいと考えています。

    3. チーム医療

       上記2つのいずれも目指すゴールは個々の患者さんのアウトカムの最大化と考えています。その達成のためにチーム医療を推進しています。これまで重症精神疾患治療では多職種による女子医大版・心理教育を開発、実践してきました。リエゾン診療では精神科リエゾンチーム、がん緩和ケアチーム、女子医大版・多職種によるせん妄活動(TWMU Multidisciplinary Action on Delirium:TMAD)を展開してきました。Bio-psycho-social-ethicalの各側面を見据えたバランスよい有効なアプローチを行うために、これまで以上にチーム医療を洗練していきたいと考えています。

  3. 教育
    1.  卒前教育・卒後初期研修教育

       医学教育において精神医学が果たす役割として、(1)精神疾患の適切な理解、(2)bio-psycho-social-ethicalアプローチ、(3)チーム医療を重視しています。これらはいずれも本学の基本理念である「至誠と愛」、目指すべき医師像に包含される重要な領域です。卒前教育では精神科は系統講義に加えて、テュートリアル、人間関係教育、看護学生等との協働教育等、本学独自の教育システムの充実に貢献しています。
       卒後初期研修医に対する教育ではうつ病やせん妄等、コモン・ディジーズへの適切な対応、一般身体疾患の患者・家族への包括的アプローチを学ぶことができるような教育システムを整備しています。

    2. 精神医学の専門教育

       後期研修医以降の専門教育においては、shared decision-makingの理念に基づき、患者・家族のQOLをも見据えることのできる知識・技能のバランスのとれた医師、チーム医療のリーダーとしてチームを牽引できる人材の育成に力を注いでいます。これらは、精神保健指定医、精神科専門医取得の前提になるものだと考えます。

       

       

  4. 研究

     上記の2つの重点診療領域を中心とした臨床研究、トランスレーショナル研究、基礎研究を活発に行っています。詳しくはこちらをご覧ください。

     

     

  5. 女性医師支援

     当講座では多くの女性医師が出産や育児をしながら活躍しています。今後も女性医師をしっかり支えていきます。

  6. 女子医大精神科の未来

     安全で満足度の高い医療に精神科が貢献するためのキーワードは「ユーザー・フレンドリー」。患者さんだけでなく、院内他科からも、地域からもアクセスしていただきやすい「開かれた精神科」として、他科・多職種との協働のもと革新的な臨床実践と研究、教育を進め、本学全体の医療の質の向上に、さらには我が国の精神医学の発展に微力ながらも貢献していきたいと考えております。

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