ガンマナイフ
専門外来は井澤正博、林 基弘、中谷幸太郎、田村徳子により、ガンマナイフ外来を行っております。
東京女子医科大学 ガンマナイフユニットの特徴
1993年5月に全国で10番目として開設して以来、これまで約15年の月日と実績を誇っております。治療症例総数は5000例を超え、現在年間約500症例の治療をしています。2002年には全国でも先駆けて、「モデルC-APS(Automatic positioning system: 自動照射位置設定システム)」を導入し、微細な治療計画と実施が可能となりました。いわば「放射線治療」から「脳神経外科治療」にかなり近づいたコンセプトへと革新したのです。本システムでの最先端「ロボット」治療だけでも1800件以上の症例を経験しました。さらに、2007年6月末に最新機種「4Cモデル」へアップグレードしました。これにより、治療日以前に行われたPETやMEGなどの特殊画像検査を治療計画へ反映することができ、神経膠腫(グリオーマ)や転移性脳腫瘍、 てんかんの治療に加え、これまで治療が困難であった微小下垂体腺腫など、従来のガンマナイフ治療よりもさらに安全でかつ確実な治療が可能となりました。
標準的な治療適応である脳腫瘍や脳動静脈奇形の治療だけではなく、機能的脳疾患(難治性疼痛・てんかん・パーキンソン病など)の治療への応用も積極的に取り組んでいます。現在はまだ保険適応外の「特発性三叉神経痛」を筆頭に国内で最も多い症例数と実績を誇っています。

ガンマナイフとは
ガンマ線(放射線)を用いて、まるでナイフで脳病巣を切り取るような治療法のことです。これは、開頭手術をしなくても、頭蓋内・脳内病変もしくは機能的脳疾患の治療・コントロールを可能とした、きわめて低侵襲な脳外科治療の一つで、脳内の病変へ安全で確実に治療することが可能となりました。
ガンマナイフの装置の中には、201個のコバルト(Co60)が同心円状かつ半円球状に敷き詰められており、それぞれからガンマ線が常時放出されています。201本のガンマ線は唯一箇所でのみ集中するよう設計されており、脳内局所に一括高線量照射が可能となっています。このため、周囲正常組織への被曝は少なく、標的脳内病変のみに高エネルギー照射が行えます。また、術後に皮膚炎・脱毛・骨髄機能抑制を起こすことはほとんどありません。この点が、通常の放射線療法と異なります。
その上、機械的精度はきわめて高く、0.5mm以下の誤差で治療可能です。また、CT・MRI・脳血管撮影など画像検査の質的な向上もめざましく、治療成績の向上に大きく貢献しています。最近では、Model C-APS (Automatic Positioning System:自動照射位置設定システム) の登場で、以前より安全・精密かつ快適に治療が受けられるように設計されています(0.1mm単位での治療計画と実践が可能になりました)。ガンマナイフとは、まさに安全かつ正確な最先端医療そのものなのです。


治療適応
脳神経外科疾患のうち、脳腫瘍や脳血管奇形そして機能的脳疾患が主な治療適応となっています(下表)。
| 転移性脳腫瘍 (肺癌・乳癌・消化器癌ほか全ての組織型) | |
| 脳腫瘍 | 良性脳腫瘍 (髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫など) 非良性脳腫瘍 (一部のグリオーマ、悪性リンパ腫など) |
| 脳血管奇形 | 脳動静脈奇形 一部の海綿状血管腫 |
| 機能的脳疾患 (非保険適応) |
てんかん (内側部側頭葉てんかん、視床下部過誤腫など) 痛み (三叉神経痛、骨転移による癌性疼痛、視床痛など) パーキンソン病・振戦・ほか不随意運動など |
| 眼疾患 (非保険適応) |
眼窩内腫瘍、眼内腫瘍など |
一般的には、大きさの限界は最大径で30mmまでとされますが、病変の形状や総体積で判断することが多いために、治療適応を外来にて診察させていただいた上、決めさせていただいております。
全身合併症(心筋梗塞・重症喘息・がん治療中)や高齢者の場合は、全身麻酔下での外科的手術の危険性も高く、ガンマナイフ治療が優先されます。さらに、医療上QOL(生活の質的内容)が尊重される場合もガンマナイフ治療を優先することがあります。
機能的脳疾患(痛みやてんかん)に対する治療の可否に関しては、治療の前に厳密な精査や評価を必要とし、治療効果を得るために重要となります。難しい病気であることから、ガンマナイフによる治療適応の有無を、専門チームとともに検討しております。
治療
治療そのものは一日で終わります。入院日数は症状により多少異なりますが、一般的に一泊二日もしくは二泊三日で行われています。
治療の行程は1) フレーム装着、2) 画像検査、3) 治療計画、4)治療、以上4つで構成されています。
| 1) フレーム(ステレオタクティックフレーム)装着 | 頭部へのフレーム装着は治療で最も大切な行程です。このフレームを装着するからこそ、各種検査(CT /MRI/血管撮影)の位置情報を専用コンピュータへ正確に認識させ、脳内病変への安全で正確な治療を可能にするからです。また、ガンマナイフ装置そのものへ頭部を固定するときにも、このフレームを用いて固定させることになります。フレーム装着は局所麻酔下(基本的に前頭部に2箇所、後頭部に2箇所の計4箇所:歯科治療時のものと同様です)にて行います。現在、専属医師により、痛みを最も少なく、しかもスピーディーに行えるよう努めて行っております。どうぞご心配なくお受けください。 |
| 2) ガンマナイフ治療用画像検査 | フレーム装着後、CT、MRI、脳血管撮影を適宜組み合わせて行います。高性能MRI(1.5T)を用い、どのような条件でも必要な画像を最小のスライス厚(0.5-2.0mm)かつ高解像度で処理できるようにしています。ガンマナイフ治療専用画像を作成することに成功しました。 |
| 3) 治療計画 | 予定された検査が終了した後、すべての画像情報を専用コンピュータ (Gamma plan)へ送信し、専門医師がそのデータを解析しながら治療計画を立てます。画像は一人あたり、200-400枚程度に及びます。より多くの情報をもとに、正確な脳構造の把握と病巣描出を行います。病巣に対して、直径
4、8、14、18ミリの合計4種類の球状照射野(焦点)を組み合わせて計画を立てます。その際、周囲の正常構造物、たとえば視神経や顔面神経などを十分に避け安全かつ正確な治療計画を立てます。最終的に位置補正を正確に行い、3次元の立体イメージなどを駆使して治療となります。 |
| 4) 照射 | 治療用ベッドの上に寝た状態で、装置内金属製ヘルメットに頭部フレームを固定いたします。これにより、照射中に頭部の動きを止めて標的となる病巣へ確実に治療を行います。ベッドが自動的に装置の中へと移動し、止まった時点から照射が始まります。APS(自動照射位置設定システム)が使用できる病変では、フレームを装着しているロボットシステムにより、すべての照射位置が自動的に設定されます。APSがうまく利用できる場合は、この操作を患者様がベッドに横たわっている間にロボットシステムがすべて行うことが可能で、患者様にとってはより快適に治療を受けていただくことが可能です。 各照射位置による一回の照射時間は治療計画にもよります。照射中は変な光も、音も、臭いも一切しません。閉所恐怖症の方でも安心して行える治療空間です。照射がすべて終わると自動的にベッドは外へと出てきます。そして、次の照射のための位置合わせを行い、再度上記手順にて照射を行います。 |
治療後
基本的に、治療終了後もしくは退院前に、治療内容に関して詳しく説明をいたします。次回外来受診に関しては、当院で行う場合と紹介元の医療機関で行う場合があります。疾患にもよりますが、1〜6ヶ月に一度の割合で行っています。担当医師の指示をよくお聞きください。
ガンマナイフは一部の疾患を除いて、治療したその日に結果がでるものではありません。また、てんかん発作や頭痛などが、ガンマナイフ治療の直接的な影響ですぐにでることもありません。数ヶ月から数年の単位での経過を診て、評価を行っていく必要があります。これまでの約4500例の経験から、疾患によっては予測も立てられます。そのためにも、定期的な外来での経過観察を勧めています。このことは、将来ガンマナイフを受ける方々へのフィードバックともなっているのです。
治療効果
腫瘍抑制効果と栄養血管閉塞が中心です。強い放射線で治療をすることにより、腫瘍細胞を破壊したり、増殖する能力に障害を与えたりします。また、腫瘍を栄養する血管を障害させて、徐々に塞いでしまう効果もみられます。
危険性
脳浮腫と放射線障害が代表的です。放射線障害はきわめて早期(数週から数ヶ月)から起こるものと時間がたってから(晩期:6-18ヶ月)起こるものに大別され、症状は病巣の状態や存在部位によって異なります。定期的な外来での経過観察にて十分に予防できるものがほとんどです。その他、各疾患には特有の合併症がありますので、治療前および後に必ず担当医にご確認ください。
診療予約に関して (予約センターリンク)
紹介状もしくは診療情報提供書とできるだけ最近の画像検査フィルムなどを貸し出しもしくはコピーでご持参してください。現在、当院MRI検査予約は待ち日数が長く、治療の適応を診断して治療日の予約までの日程を少しでも早くするために重要となります。このところをご理解の上、ご協力をお願いいたします。
研究活動など
先進的な研究として、第一生理学教室(川上教授)と共同してガンマナイフに関する基礎研究も行っております。臨床と基礎が互いにコラボレーションできる大学病院ならではのガンマナイフ治療を皆様に提供いたします。
他科との連携も進んでおり、脳以外の頭蓋頭頚部疾患、たとえば眼科領域の悪性腫瘍(メラノーマ・転移性網膜腫瘍など)や加齢性黄斑変性症、耳鼻科領域の悪性腫瘍などにも場合により治療しています。小児治療においても当院麻酔科の全面的支援環境の下、同じ2泊3日での短期入院で全身麻酔下での子供にとってストレスの非常に少ない治療が行えるようになりました。
最後に
ガンマナイフスタッフ一同、最初の外来受診から、治療後までの全経過にわたり、安心して治療を受けていただくために最大限努力いたしております。特に治療自体に関しては、なるべく肉体的・精神的苦痛を負わせないよう努力するとともに、治療技術に関しては常に世界トップレベルの医療を意識し、心掛けております。最先端の知識と技術を用いることで、新たな治療の可能性を探求しつつ最終的にはすべての患者様に還元していけることが目標であります。ご意見などがありましたら、遠慮なくお伝えいただきたく存じます。皆様の声を生かし、より良い治療の提供を目指します。




頭部へのフレーム装着は治療で最も大切な行程です。このフレームを装着するからこそ、各種検査(CT /MRI/血管撮影)の位置情報を専用コンピュータへ正確に認識させ、脳内病変への安全で正確な治療を可能にするからです。また、ガンマナイフ装置そのものへ頭部を固定するときにも、このフレームを用いて固定させることになります。フレーム装着は局所麻酔下(基本的に前頭部に2箇所、後頭部に2箇所の計4箇所:歯科治療時のものと同様です)にて行います。現在、専属医師により、痛みを最も少なく、しかもスピーディーに行えるよう努めて行っております。どうぞご心配なくお受けください。
予定された検査が終了した後、すべての画像情報を専用コンピュータ (Gamma plan)へ送信し、専門医師がそのデータを解析しながら治療計画を立てます。画像は一人あたり、200-400枚程度に及びます。より多くの情報をもとに、正確な脳構造の把握と病巣描出を行います。病巣に対して、直径
4、8、14、18ミリの合計4種類の球状照射野(焦点)を組み合わせて計画を立てます。その際、周囲の正常構造物、たとえば視神経や顔面神経などを十分に避け安全かつ正確な治療計画を立てます。最終的に位置補正を正確に行い、3次元の立体イメージなどを駆使して治療となります。

