癌(がん)
Cancer
TOKYO WOMEN’S MEDICAL UNIVERSITY HOSPITAL
Department of Urology,kidney Center

主なカテゴリ
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター泌尿器科

腎臓がん・前立腺がん・膀胱がん・その他腫瘍

腎臓がん

前立腺がん

膀胱がん

その他腫瘍

  • 陰茎がん
  • 精巣腫瘍
  • 副腎腫瘍
  • 腎盂尿管がん

精巣腫瘍とは

精巣腫瘍とは男性の精巣(睾丸)にできる腫瘍で、20~30歳代の若い人に多く発生します。多くは悪性(癌)で、進行の速い場合が多く昔は若い男性を冒す不治の病として恐れられていました。しかし、医学の進歩により効果のある抗癌剤が発見されてからは転移のある進行症例でも、現在はある程度治し得る癌として考えられています。詳しい原因は分かっていませんが、停留精巣(精巣が陰嚢内に入ってなくソケイ部などに留まっている病態。)があると発生率が高くなることや、症例の3分に1程度に遺伝的因子が関与していると考えられています。

症状

局所の症状
  • ・痛みを伴わない陰嚢内(精巣部分)のしこり
  • ・痛みを伴わない陰嚢内容(精巣)の腫大(痛みを伴うことも有りますが殆どの場合は軽度です。)
全身症状
  • ・転移を起こすと様々な全身症状がでます。
  • ・腹部リンパ節(後腹膜リンパ節)→大きくなると腹部にしこりを感じることが有ります。そして腰痛を感じることもあります。
  • ・頚部リンパ節→首にしこりを感じることがあります。
  • ・肺→咳、息が苦しい、血痰など
  • ・ホルモン異常→乳房が膨らんだり(女性化乳房)することがあります。
  • ・その他、肝臓、骨、脳などに転移することがあります。

診断

局所_原発巣
  • ・触診(陰嚢を触って診察する)でおおよそ分かります。
  • ・超音波エコー検査で陰嚢内精巣部分のしこりを確認します。
全身_転移巣
  • ・レントゲン検査(胸部単純、CTスキャンなど)やMRIなどの断層写真検査が肺や腹部リンパ節(後腹膜リンパ節)などの転移巣の診断に有用です。
  • ・血液検査で腫瘍マーカー(HCG-β、AFP)を測定します。上記の診察、検査に加え、これらの腫瘍マーカーが高値を示すとほぼ診断がつきます。尿中のHCG-βも異常に増加することがあり、尿検査で妊娠反応が陽性(プラス+)にでます。
病期診断 上記の診断方法で病期(病気の進行度)を決定します。
  • 病期分類
  • I:転移を認めず
  • II:横隔膜以下のリンパ節にのみ転移を認める
  • III:遠隔転移をみとめる
  • IIIA:縦隔または鎖骨上リンパ節に転移を認める
  • IIIB:肺に転移を認める
  • IIIC:肺以外の臓器にも転移を認める
  • (日本泌尿器科学会取り扱い規約1997年第2版)

治療法

手術療法
  • ・まず第一に患側の(異常のある方)精巣を精索とともに摘除します。(高位精巣摘除術)
  • ・精索とは鼠径部から精巣に続く索条構造で血管、神経、精管などを包んでいます。
  • ・腹部リンパ節を切除する手術をすることがあります。(後腹膜リンパ節郭清術)
  • ・その他の転移した部位のしこりを摘除することがあります。(肺切除、肝切除など)
  • ・→ 転移した部分の手術はは通常、下記の化学療法の後に行います。
化学療法
  • ・肺や腹部リンパ節(後腹膜リンパ節)などの転移巣に対してまず行うのは抗癌剤を用いた化学療法です。1コース約3~4週間で3~5コース行うことが一般的です。合併症(吐き気、脱毛、白血球減少など)や後遺症(精子を作る機能の低下、手足のしびれ)の問題があります。次いで、場合によりその場所を手術的に切除することも有ります。(上記)
    病期がIIIBやIIICなど進行している症例に対して末梢血幹細胞輸血併用の超大量化学療法(患者様自身の静脈血の中の幹細胞を前もって採っておき、化学療法の後に輸血して戻してあげることによって大量の抗癌剤の副作用を少しでも減少させようというものです。)という治療法が近年行われるようになっていて、当院でもこの治療を行うことができます。
放射線療法
  • ・ステージI(転移の無いもの)に対して転移再発を予防する目的で関連するリンパ節に放射線療法を行うことがあります。
    ステージII(腹部リンパ節転移あり)に対して転移巣を治療する目的で放射線を関連するリンパ節にあてることがあります。
    治療中の合併症:当てている部分の皮膚の発赤や体のだるさなど。
    晩期の合併症:(数ヶ月~何年も時間が経ってから起こる後遺症)放射線による神経障害、腸管の炎症、狭窄などの問題があります。

実績

精巣腫瘍は病理学的にセミノーマと非セミノーマという2つに大きく分類できます。セミノーマとそれ以外では治療成績が異なります。(非セミノーマの方が治りにくいです)
一般的なステージI、II、IIIの成績は
・ステージI:
  • セミノーマで5年生存率95%以上
  • 非セミノーマで5年生存率90%以上
・ステージII:
  • セミノーマで5年生存率80~90%以上
  • 非セミノーマで5年生存率70~80%以上
・ステージIII:
  • セミノーマで5年生存率30~40%]
  • 非セミノーマで5年生存率10~20%

というようにステージIIIになりますと極端に完治が難しくなります。先に述べました末梢血幹細胞輸血併用の超大量化学療法を当院でも行っており、これまで(2003年3月現在)19人(ステージIIIは17人)に行い、13人が生存なさっています。