腎移植について

腎臓移植後に起こりやすい感染症

細菌、ウイルス、真菌(カビ)などによる病気

 感染症は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などの微生物が体内に入って、いろいろな臓器や全身に障害を引き起こす病気です。健康な状態では、微生物が体内に入っても免疫によって除かれ、病気を起こすことはありませんが、免疫抑制療法を受けている状態では様々な感染症を起こす可能性があります。感染症は、もともと自分の体の中にある微生物が病気を起こす場合と、新たに外部から感染する場合があります。  
 とくに導入期は免疫抑制も強く行われますので、肺炎その他の感染症にかかりやすく、また重症にもなりやすいので十分な注意が必要です。維持期には免疫抑制薬の量も減って免疫力も回復してきます(図)が、結核などの細菌や真菌(カビ)、ウイルスの感染には注意が必要です。

多くは抗生物質などの治療で回復

 感染症の多くは抗生物質や抗ウイルス薬などの投与により回復します。場合によっては免疫抑制薬の量を減らします。  
 感染症の対策は予防が第一で、とくに導入期は人混みを避ける、帰宅時はうがい、手洗いを励行するなどの注意が必要です。発熱や咳、皮膚に発疹が出たようなときは、すぐに主治医に連絡しましょう。

腎臓移植後に起こりやすい感染症

腎臓移植後に起こりやすい感染症

導入期にみられやすい感染症

肺炎

肺炎

 ウイルス(サイトメガロウイルス)や原虫(ニューモシスチス・カリニ)による間質性肺炎が移植後2~4カ月に起こることが多く、またしばしば重い状態になります。高い熱で始まり、咳、たん、息切れ、病気が進むと呼吸困難がみられるようになります。早いうちに免疫抑制薬を減量し、抗ウイルス薬または原虫に効く抗菌薬で治療します。移植後早期の予防が非常に大切です。

尿路感染症

尿路感染症

 術後比較的早いうちは細菌感染による膀胱炎、腎孟炎、前立腺炎(男性)など、少し後からウイルスによる出血性膀胱炎などがみられます。細菌性膀胱炎では尿が近い、排尿のときに痛い、尿が濁るといった症状がみられます。腎孟炎では高い熱が出ます。前立腺炎では発熱と膀胱炎と同様な症状が出ます。出血性膀胱炎では尿に血が混じります。多くは抗菌薬などの治療でよくなります。尿路感染症は維持期にもしばしばみられ、繰返し起こるときは、尿路の病気が隠されていることもありますので、一度検査してもらいましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹

 導入期にも維持期にも現れやすい感染症です。水ぼうそうのウイルスによるもので、体の片側に帯状に、はじめ赤く、後に黒くなる小さな水ぶくれでき、強い痛みを伴います。抗ウイルス薬などで治療します。

その他

その他

 術後早い時期に尿路感染症などから大量の細菌が全身に散らばる敗血症が起こることがあります。高い熱が出ますが、早期に抗生物質を投与することでほとんどは大事に至らずに済みます。また1ヵ月前後にはウイルスによる口唇炎(唇周辺の小さな水ぶくれ)や口内炎、少し後にはカビによる口内炎などが起こることがあります。

維持期にみられやすい感染症

肺感染症

肺感染症

 移植後長期になると、真菌(カビ)、結核菌などによる肺感染症を起こすことがあります。胸部X線などの定期的な検査が必要です。微熱、咳、たん、息切れなどが続くときはただちに受診しましょう。

皮膚真菌症

皮膚真菌症

 真菌(カビ)による皮膚病で、胸、腹部、手足の皮膚などに多くみられる皮膚カンジダ症、足白癬(水虫)や体部白癬(たむし)、あるいは胸や宵中に小さな発疹ができる癩風(でんぷう)という皮膚病もあります。免疫抑制薬を減量し抗真菌薬を投与します。皮膚真菌症はしばしば免疫抑制薬が過量になったときの徴候になります。

その他

その他

 脳と脊髄を包む髄膜にカビが感染して起こる髄膜炎は維持期に入った頃に起こりやすく、発熱、頭痛、嘔吐・首が曲がりにくいなどの症状が出ます。子供では細菌による中耳炎が起こることがあります。頸などのリンパ節が腫れてくるウイルス感染症もあります。

麻疹(はしか)と水痘(水ぼうそう)など

 いずれもウイルスによる病気です。はしかは熱、咳、目の充血などで発症し、口の中に小さな白い斑点が出るのが特徴で、やがて全身に発疹が出てきます。水ぽうそうは発熱と全身にはじめ赤く、後に水ぶくれになる痒みの強い発疹がでます。子供の頃かかった人では免疫がありますが、移植後など免疫力の低下している人では重症になることがあり、注意が必要です。家族や職場、学校でこれらの病気あるいは他の感染症にがかった人が出た場合は、しばらく別の場所で過ごし、病気の人との接触を避ける必要があります。接触した場合またはその可能性かある場合は、すぐに主治医に連絡しましょう。

東京女子医科大学病院

東京女子医科大学 腎臓外科

東京女子医科大学
腎臓外科

〒162-8666
東京都新宿区河田町8-1

電話03-3353-8111

診療時間
平 日 9:00~11:00
    13:00~16:00
土曜日 9:00~11:00
※ 土曜日午後は救急外来
休診日
日曜、祝日、第3土曜日
創立記念日(12月5日)、
年末年始