腎移植について

拒絶反応とは

移植腎を異物(非自己)として排除しようとする反応

 私たちの体には、何か異物が侵入してきたとき、これを排除しようとする仕組みが備わっています。これが免疫で、外敵から体を守る大切な仕組みです。
 移植された腎臓は、移植を受ける人の体にとっては異物にほかなりませんから、免疫の仕組みはこの腎臓を壊して取り除こうとします。これが拒絶反応です。

急性拒絶反応と慢性拒絶反応

 拒絶反応には、移植後3ヵ月以内に起こる急性拒絶反応と、それ以降に起こる慢性拒絶反応があります。急性拒絶反応は急に移植腎の働きが悪くなりますが、免疫抑制薬がよく効きます。慢性拒絶反応は徐々に起こり、免疫抑制薬はあまり有効ではありません。拒絶反応は移植腎を失う最も多い原因の一つで、十分な注意が必要です。

拒絶反応の起こり方

拒絶反応の起こり方

 腎臓が移植されると、免疫の見張り役のマクロファージがこれを見つけ、異物の侵入を免疫の司令官であるTリンパ球(ヘルパーTリンパ球)に知らせます。その情報を得たヘルパーTリンパ球は、異物を破壊する力を持つ他のTリンパ球(細胞障害性Tリンパ球)を動員して移植腎に侵入し、攻撃します(急性拒絶反応)。ヘルパーTリンパ球はまたBリンパ球に抗体を作るように促します。抗体は移植腎の血管にとりついてこれを壊します(慢性拒絶反応)。こうして移植された腎臓は破壊されてしまうのです。

拒絶反応の症状と早期発見

急性拒絶反応 
 急に腎臓の働きが低下します(血清クレアチニンの上昇)。熱が出たり、尿量が減ったり、血圧が高くなったり、時には腎臓が腫れたりすることもあります。腎臓の働きが低下したままにしておくと移植腎を失う結果につながるため、早期発見・早期治療が大切です。定期的な受診を欠かさず、少しでも体の不調があれば主治医に連絡しましょう。血液検査で診断できないときは、腎臓の組織を一部取って調べる腎生検を行います。

慢性拒絶反応 
 血清クレアチニンが徐々に上昇します。尿蛋白が出たり血圧の上昇、貧血、むくみが進みます。この場合も定期的な受診を怠らないことが大切です。

拒絶反応の発現時期

拒絶反応の発現時期

〔打田 和治:シクロスポリンの実際 p.127、国際医学曲版、1996より〕

拒絶反応への対処と治療

 急性拒絶反応は、3ヵ月以降でも薬の飲み忘れ、薬の量を減らしたとき、あるいは薬の作用を弱めるような他の薬を服用した時などに起こりやすくなります。定期的な受診のほか、できるだけ自分で尿の回数、体温、体重、血圧を測る習慣をつけましょう。  
 急性拒絶反応は、ステロイド剤の大量投与(パルス療法)、その他の免疫抑制薬の併用で、発見が早けれぱほとんどの場合改善します。食事と睡眠を十分にとり、体力をつけてこの期間を乗り切ることが大切です。慢性拒絶反応の場合は、免疫抑制薬が有効でないことがありますが、血圧のコントロール、貧血の改善、蛋自尿を減らすなど、できるだけ腎臓の働きを保つ治療を行います。

急性拒絶反応と慢性拒絶反応の特徴と症状

  時期 症状 治療効果
急性
拒絶反応
移植後3ヵ月以内に起こる 急な腎機能の低下(血清クレアチニン上昇)
発熱、尿量減少、体重増加、血圧上昇、腎臓の腫れがみられることもある
免疫抑制薬が
効きやすい
慢性
拒絶反応
移植後3ヵ月以降に起こる 徐々に腎機能が低下(血清クレアチニン上昇)
蛋白尿、貧血、血圧上昇、むくみ
免疫抑制薬が
効きにくい

東京女子医科大学病院

東京女子医科大学 腎臓外科

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