取り扱う主な疾患

取り扱う主な疾患

舌がん・口腔腫瘍

口腔には粘膜上皮からの扁平上皮癌に加えて、唾液腺腫瘍、上顎洞癌、悪性リンパ腫、メラノーマ(悪性黒色腫)、肉腫などが発生します。
これらの悪性腫瘍の治療法には外科的療法、放射線療法、化学療法が用いられています。

腫瘍特性(組織型・浸潤・転移能など)、腫瘍の進展度(病気)、宿主(患者の全身状態)などをもとに決定されます。特に治療選択のための重要な因子は腫瘍特性であリ、組織型(組織由来)によって放射線や感受性が異なり、また浸潤様式も異なります。
口腔癌の罹患患者は口腔のみならず咽頭や食道その他の消化管に重複している可能性があることからその検索も必要になります。

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外科的療法

口腔腫瘍において治療の中心となる。近年、全身麻酔、CTやMRIなどの画像診断、口腔再建術の発展によって外科的療法の適応が増加し、その治療成績も著しく向上してきました。手術の目的は腫瘍を完全に生体から取り除くことであり、周囲の健常組織を含めて大きく腫瘍を切除することが望ましいとされています。その一方で術後の口腔機能や審美障害を考慮しながら切除範囲を決定することが大切です。

放射線療法

癌の放射線治療は、一般に癌細胞が正常細胞より放射線感受性が高く障害を受けやすい性質を利用しています。放射線による正常組織の損傷を許容できる範囲に抑えながら癌細胞を死滅させるか、あるいは少なくとも増殖できない程度にまで制御しようとするものです。

化学療法

化学療法薬の選択は扁平上皮癌に対して、どの程度の抗腫瘍効果を発揮するかとういう臨床データにより決定します。

顎骨嚢胞(がくこつのうほう)

嚢胞とは、上皮細胞に裏装された空洞であり内部には内容物などがある。顎・口腔領域にみられる嚢胞性疾患は発生頻度も高い。骨内部にこのような嚢胞が発生することは身体他部ではまれであり、他部位にみられない特殊な組織が多く発生や解剖学的に複雑な様相を示す。

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診断法

嚢胞は特徴的な臨床所見を示すのでその診断は比較的容易である。嚢胞は概して以下の特徴をもつ。
①無痛性で
②限局性で
③発育緩慢な
④ほぼ球形に近い腫瘤状を呈し
⑤骨内で増大すれば羊皮紙様音を感じ
⑦穿刺により内容液を吸引しうる。
また、顎骨嚢胞におけるレントゲン検査は不可欠でむしろ他の目的で撮影されたレントゲン写真から偶然発見されることが多い。

治療法

大きさにより異なるが基本的には全身麻酔下での全摘出術が適応であるが、顎骨内を大きく占拠している嚢胞に対しては開窓療法を施行し嚢胞の縮小をみてから摘出を検討することもある。

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎関節症とは、あごの関節や咀嚼筋(あごの周りの筋肉)の痛み、開口障害(口が開きにくい、開かない)、関節雑音(あごの関節の音がする)などの症状を主とする慢性疾患の診断名です。

顎関節症は潜在的な症状の方を含めると約6~7割の人がかかっているといわれており、一般的な病気です。頭痛や腫瘍、隣接器官(歯および歯周組織、鼻・副鼻腔、耳、咽頭など)疾患、精神疾患、神経疾患などは顎関節症に含みません。顎関節症は一つの要因によって引き起こされる病気ではなく、多くの要因が積み重なって生じる疾患です。日常生活で、あごまたは咀嚼筋に負担をかけるような因子を取り除く事で症状が軽減することも多いです。

治療法

顎関節症に対する具体的な治療法としては、消炎鎮痛剤などの薬物療法、スプリント(口にはめる装置)療法、運動(口をあける訓練など)療法、理学療法などの保存的な治療法が主に行われます。

第一選択にはなりませんが、顎関節鏡視下手術、顎関節開放手術などの外科療法が行われることもあります。
さらに保存療法と外科学会の間に位置する治療法としてパンピングマニピュレーション(顎関節への注射)療法、顎関節腔洗浄療法があります。

病悩期間(症状が出てからの時間)が長いほど予後が悪いとの報告もあります。もし日常生活に支障を生じるような口を開けた時の痛み、口が開けにくいなどの症状を自覚した時は早めに専門医療機関への受診をお勧めします。

下顎骨骨折(かがくこつこっせつ)

下顎は顔面の下1/3を占め、スポーツや自転車・バイクなどの転倒や交通事故で外力を受けやすい部分です。そのため顔面骨骨折の中で最も頻度が高くなります。

下顎骨には口を開閉する筋肉が付着しているため、骨折の部位により筋肉の力により骨折片の偏位を起こすことがあります。

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治療法

治療法としては骨折部位を整復し噛み合わせの回復を得ます。骨折線の偏位の程度や歯列の状態、全身状態などにより非観血的(手術をしない)もしくは観血的(手術をする)方法を検討します。

非観血的方法は歯牙結紮法、線副子法などがあります。
観血的方法ではチタンミニプレートなどで骨折部位を整復固定します。

親知らず(下顎埋伏智歯)の抜歯

一般的には「親知らず」と呼ばれる歯は「智歯(ちし)」と呼ばれ、前歯の中央から数えて8番目の歯を指します。
下顎の智歯の多くは曲がって生えてきたり、正常に萌出せず埋伏したままの場合もあります。そのためプラークが溜まりやすく、齲触や歯周病による疼痛を発現したり、正常な歯を前に押し出し不正咬合の原因になったりすることがあります。
当科では年間630本以上の下顎埋伏智歯の抜歯を行っています。

一般的な下顎埋伏智歯の抜歯手技

親知らず(智歯)の抜歯と言っても、外来通院で簡単に抜歯出来るものから入院で全身麻酔下に行わなければならないものなど、生え方により抜歯の方法もさまざまです。当科では、開業医では困難な難易度の高い抜歯を専門に行っております。

  1. 埋伏智歯の周囲に局所麻酔を行った後、メスを用いて骨膜まで切開を加え、頬側の粘膜骨膜弁を反転させ骨面を露出させます。
  2. 粘膜骨膜弁を外側に圧排したのち注水下で智歯歯冠周囲の頬側歯槽骨、歯頚部周囲の骨を削除します。
  3. その後埋伏歯の位置や角度に応じて歯冠と歯根を分割し、歯冠を除去してから歯根を抜去します。
  4. 歯冠周囲の肉芽組織を掻爬し洗浄したのち縫合します。

※埋伏歯の位置や角度など状態によりますが、抜歯時間は10分〜1時間程度です。抜歯後は腫れ、痛み、開口障害や食片圧入による違和感が発現する場合があります。

※抜歯後の注意事項
抜歯当日は激しい運動や長時間の入浴、飲酒は控えましょう。出血や痛みの原因となるため、血行を促進したり、傷口を手や舌で触れて刺激を与える行為は避けてください。抜歯後なかなか出血が止まらない時は、清潔なコットンやガーゼを小さく切って丸め、抜歯した部分において10分程度強めに噛んでください。

歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

歯根端切除術とは、歯根の先に膿の袋ができて歯肉が腫脹したり疼痛を発現した歯に対し、通常の根管治療が困難な場合に適応になります。
嚢胞(のうほう)を取る手術(嚢胞摘出術)と感染した歯根の除去(歯根端切除術)を同時に行います。

術式
膿の袋のある歯の根尖付近の粘膜を切開・剥離し、骨を削除して根尖病巣に到達します。根尖病巣を鋭匙(えいひ)などで取り除き、歯の根尖部を切断・除去します。
次に、切断面の露出した根管内をきれいに掻爬(そうは)し、根管充填します。
最後に、粘膜を縫合して手術を終了します。

※歯根端切除術は、通常外来にて局所麻酔下で行う比較的小規模な手術です。所要時間は、30分~60分程度です。

口腔顔面痛

原因不明の痛み?

痛みは通常生体の防御機能であり、外傷(怪我)や、炎症があると痛みが生じます。これらは腫れている、赤くなっているなど、目に見える症状があり、比較的診断が容易です。一方で「歯ぐきが刺すように痛い」、「口をあけるとき顎が痛い」、「頬がビリビリ痛い」、「舌が焼けるように痛い」など、簡単に診断がつけられない、治療法がわかりづらい痛みも存在します。神経の痛み(三叉神経痛、舌咽神経痛など)や心の状態が深く関係している心因性疼痛もそのひとつです。

診断・治療

疼痛治療には正確な診断が不可欠です。当科では口腔内の診査(虫歯、歯周病、口腔粘膜の異常など)や顎関節に異常がないか検査を行い、さらに神経内科や脳神経外科、ペインクリニック科、精神科、心療内科などと連携し診断を行うこともあります。症状に応じて理学療法や投薬治療を行います。痛みの治療には様々な薬が使用されており、歯科領域で使用が制限されているものは当院医科と連携して投薬を行っております。