お知らせ
2022年04月29日 【プレスリリース】扇内秀樹名誉教授が瑞宝小綬章を受章
扇内秀樹名誉教授が瑞宝小綬章を受賞
令和4年春の叙勲において、本学名誉教授の扇内秀樹先生が瑞宝小綬章を授与されました。
瑞宝章は、国家又は公共に対し功労のある方及び公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方に授与される勲章で、その中で瑞宝小綬章は、社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた人に対し授与されるものです。
扇内先生(以下同教授)は、永年にわたり歯科口腔外科分野において、精力的に教育・研究・診療活動を進められました。
特に教育面では本学が日本で初めて導入した「テュートリアル教育」*(注1)の発展に貢献、また全国医学部歯科口腔外科科長会議の私立部会幹事、副会長として10年間、医学部における歯科口腔外科の立場や各大学における問題点を抽出し、課題解決に向けリーダシップを発揮されました。
次に研究面では、レーザーメスの草創期に口腔外科手術における有用性を検討し、日本口腔科学会総会(1981年)で「演題名:CO2レーザーメスの口腔外科領域における使用経験」を発表した実績があげられます。その後レーザー装置はコンパクトに改良され外来や手術室で使用可能となりました。併せて口腔粘膜癌、特に舌癌切除に使用し治療に好成績を残したことで患者さんのQOL改善に寄与してきました。
そして40年後の今、レーザー装置は口腔外科外来や形成外科、皮膚科などで、ほくろや小さな血管腫など良性腫瘍の治療に使われており、CO2レーザーメスの口腔外科手術においての研究に大きな成果をもたらしました。
さらに治療面では、日本口腔インプラント学会発足(1986年)以来、同教授の教室でインプラント研究班を作り臨床的、基礎的研究を行いました。こうした活動により本学は、医科大学口腔外科としては初期の頃から、学会認定医、指導医育成のための学会認定研修施設として承認されました。すなわち同教授はインプラント学、臨床実習の研修会を通じ、インプラント治療の向上に貢献してきたわけです。
また同教授は、「有病者の歯科治療を安全安心に!」をモットーに、2007年第16回日本有病者歯科医療学会のシンポジウムで「抗血栓療法患者の口腔観血処置」抜歯におけるガイドラインの作成―内科医とコンセンサスを求めて―と題して討議をしました。これを契機として後に医科、歯科合同のシンポジウムも開催され、循環器学会の協力も得ながら日本有病者歯科医療学会が中心となり、日本口腔外科学会、日本老年歯科医学会の3学会編で、日本で初めて科学的根拠に基づく「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」が2010年版として出版されました。同教授はガイドライン推進委員会の副委員長としてその編集に大きく関与貢献され、基礎疾患を有する患者(いわゆる有病者)の歯科治療に力を尽くされました。。
同教授は、現在も臨床に携わりながら(一社)日本有病者歯科医療学会および(一社)日本小児口腔外科学会の監事および名誉会員として、学会活動を続けております。そして(一社)日本小児口腔外科学会からは、長年同会に所属し、小児口腔外科学ならびに小児口腔外科医療の向上・発展へ貢献したことが認められ平成25年に学会功労賞を授与されました。
~扇内秀樹(おぎうち・ひでき)名誉教授の略歴~
(学歴)
昭和43年 東京歯科大学歯学部卒業、
東京女子医科大学歯科口腔外科学 入局
昭和48年 同 講師
昭和52年 同 助教授
昭和61年 同 教授
平成6年 同 主任教授
平成20年 同 名誉教授(現任)
(法人歴)
平成14年 一般社団法人全国医学部附属病院歯科口腔外科科長会議副会長(H16/3/31迄)
平成18年 一般社団法人全国医学部附属病院歯科口腔外科科長会議監事(H20/3/31迄)
平成20年 一般社団法人全国医学部附属病院歯科口腔外科科長会議名誉会員(現任)
平成23年 社会福祉法人至誠会 理事(現任)
平成16年 東京富山県人会連合会常任理事(現任)
平成31年 東京氷見会会長(現任)
(学会歴)
平成8年 日本小児口腔外科学会 理事(H22/9/30迄)
平成23年 日本小児口腔外科学会 監事(現任)
昭和56年 日本口腔外科学会 認定指導医
平成15年 日本口腔外科学会 理事(H19/3/31迄)
平成19年 日本口腔外科学会 監事(H21/10/26迄)
平成15年 日本有病者歯科医療学会 常任理事(H18/12/31迄)
平成25年 日本有病者歯科医療学会 監事(現任)
平成27年 日本有病者歯科医療学会 名誉会員(現任)
平成13年 日本歯科心身医学会 理事(H16/4/30迄)
平成28年 日本歯科心身医学会 監事(R1/11/17迄)
平成10年 日本口腔インプラント学会 指導医
平成17年 日本口腔インプラント学会 評議員(H21/3/31迄)
平成11年 日本顎関節学会認定医
平成18年 日本顎顔面インプラント学会 評議委員(H30/9/30迄)
平成20年 日本顎顔面インプラント学会 認定指導医
平成11年 国際口腔インプラント会議日本部会 理事(H21/3/31迄)
関連ページ
令和4年春の叙勲受章者名簿 : 日本の勲章・褒章 - 内閣府 (cao.go.jp)
(注1.)
*テュートリアル教育とは自ら問題を見つけ、分析し、適切な解決法を考える力を備えるために学生自身で問題発見と解決を行う新しい教育法、学生は6~8人の少人数グループに分かれ事例を討論し、学んできたことを教え合い確実なものにする。テュータと呼ぶ教員が入るが、テュータは知識を教えるのではなく、個人とグループがうまく機能して問題解決に至るように助言をするのが役割である。
【お問い合わせ先】
<報道取材について>
東京女子医科大学 広報室
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
2022年04月15日 【プレスリリース】村垣教授が第1回森下泰記念賞(テルモ生命科学振興財団)を受賞!
東京女子医大 村垣教授が第1回森下泰記念賞(テルモ生命科学振興財団)を受賞!

同賞は、テルモ生命科学振興財団によって医学と工学の連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰することでその業績を称え、研究の一層の進展を祈念するとともに、この分野へのより多くの優秀な人材の参入契機となることを期待して設けられたものです。
リリースのポイント
- 1.森下泰記念賞の表彰対象は、「日本国内の研究機関(企業を除く)に所属する研究者で、医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、今後の活躍が期待される者」となっております。
2.同賞に認められた村垣教授の主な業績は「精密誘導治療を実現するスマート治療室SCOTの開発」。
3.SCOTは、手術室内の機器情報等を一元管理可能なOPeLiNK®(オペリンク)を用いた手術室として、手術のあり方を革命的に変え、その技術と質を各段に向上させました。
4.先端生命医科学研究所が、現在開発中の高速無線通信(5G)活用のモバイルSCOT(超低侵襲治療)やスマートロボット(半自動診断・治療システム)は、健康長寿社会の実現に向け期待を拡げます。
テルモ生命科学振興財団によれば、選定理由を「村垣善浩氏は、産学官連携により、術中MRIを核としたインテリジェント手術室の開発に携わり、脳外科領域での手術において高い摘出率と生存率を実現しました。さらに複数企業の多数の機器をミドルウェアで接続可能とすることによって、オープンイノベーション環境を構築し、スマート治療室SCOTへと発展させて社会実装に結び付けました。また、医工融合・産学連携を基盤とした人材育成・研究システムの確立を目指した教室を主宰し、後進の育成にも注力されています。さらに現在開発中の、5G回線による高速無線通信を用いたモバイルSCOTによる高度均てん化超低侵襲治療や、スマートロボットによる半自動診断・治療システムは、正に未来の健康長寿社会の実現に向けた医学・工学融合領域における取り組みといえ、更なる拡充・発展が強く期待されるところです。これらの実績及び将来性を勘案し、“医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰する”との森下泰記念賞の趣旨に相応しい方として選定いたしました。」としています。
Ⅱ 本学教授の研究開発とSCOTについて
1.本学教授が2014年から開発に取り組んできたのが、「スマート治療室SCOT」です。これは2016年広島大学BasicSCOT(ClassicSCOT)、2018年信州大学StandardSCOT、2019年東京女子医科大学HyperSCOTと新規開発と各大学への導入が継続しています。
2.東京女子医科大学は、2018年度末に臨床研究可能な手術室を設置し、2019年度事業化のスタンダードモデルに新たな技術を導入しました。
3.SCOTは、㈱OPExPARKのOPeLiNK®(術中情報融合プラットフォーム)上で、手術室内にある複数の機器(※31社46機器の接続実積あり)を同期させ、全てを一元管理して手術を進めることが可能となります。(術中:全データ遠隔アクセス・都度振返り検証 術前:過去症例の詳細データによるシミュレーション 術後:あらゆる角度から合併症の原因究明。併せて手術をモニター上で時間・空間の推移を一括で確認できる。)
したがって手術中でも、少し前の術野を振り返って、術中の方針を決めたり変更したりすることができるのです。手術のプロセス管理が可能となることで医療の質と安全性が格段に向上します。
Ⅲ 今後の展開(本学教授談)
「モバイルSCOT」などを導入し、医療の均てん化を図ることに取り組んでいます。「モバイルSCOT」は、SCOTをモバイル化したもので、手術機器などを搭載したトラックと、パソコンやタブレットなどのデバイス経由でそこに指示を送れる「モバイル戦略デスク」から成ります。既にプロトタイプのデモカーは、NTTドコモが開発し、各種展示会での説明が成されています。
また並行して、一人に一台一生寄り添うスマートロボット「AIREC」の開発を進めています。
内閣府のムーンショット型研究開発事業:目標3(研究開発項目3「スマートロボットの福祉・医療への展開技術の構築」)に沿ったもので、早稲田大学(プロジェクトマネージャー:菅野重樹教授)・東京大学・東京電機大学などとの共同研究です。
こうした取り組みは、医師の数が限定的とされる中、地方創生に繋がる充実した医療提供体制に「遠隔治療の質を上げる」などで寄与し、さらに健康長寿社会の実現に向けた期待を拡げていくと確信しています。
【お問い合わせ先】
<研究開発に関すること>
村垣善浩(むらがき・よしひろ)
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 TWIns B1F
先端工学外科学分野 研究室事務・秘書
TEL:03-3353-8111 FAX:03-5312-1844
E-mail:abmes-office540001.aa@twmu.ac.jp
<報道取材に関すること>
東京女子医科大学 広報室
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
【プレス情報】
1.受賞者
村垣善浩(むらがき・よしひろ) 学校法人東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 副所長
東京女子医科大学先端工学外科 教授
2.受賞名
公益財団法人 テルモ生命科学振興財団 第1回(2021年度)森下泰記念賞(注1)
3.授賞日
2022年3月8日(火) 当日授賞式および記念講演開催
4.業績
「精密誘導治療を実現するスマート治療室SCOT*の開発」
SCOT*Smart Cyber Operating Theater
(注1)
森下泰記念賞について(テルモ生命科学振興財団ホームページより引用)
医療機器・再生医療・ドラッグデリバリーシステム・医用システムなど、医学と工学の連携・融合領域から生みだされる医療技術の発展は目覚ましく、健康長寿の実現に向け、大きな貢献を果たしています。テルモ生命科学振興財団 森下泰記念賞は、これら医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰することで、その業績を称え、研究の一層の進展を祈念するとともに、この分野へのより多くの優秀な人材の参入契機となることを期待して設けるものです。
*本賞の名称は、当財団の出捐会社であるテルモ株式会社の前身となる、仁丹体温計株式会社および株式会社仁丹テルモにおいて、社長・会長を務められた、森下 泰(もりした たい)氏に由来しています。 “わが国の医療技術が、広く世界の医療の場に貢献し、健康な生活を通じ人類の平和に寄与していくこと” を課題として設立趣意に謳う当財団の趣旨に賛同された氏より、1987 年に遺贈いただいた同社の株式が、現在の当財団の主な基本財産となっています。