MRI

1.概要

MRI(magnetic resonance imaging)とは、核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)現象を利用して生体内部のさまざまな断面を撮像する検査です。

2.当院の特色

当院では、1984年から日立のMRI一号機、常電導型0.15T MRI装置が稼動し、年間1,200件の検査を行っていました。 現在は3.0T MRI装置3台を含む6台のMRI装置が稼動し、1か月に約2,200件、年間26,000件の検査を行っています。

心臓

当院の循環器部門は国内でもトップクラスの症例数と実績を誇っています。 心臓MRI検査ではシネMRIによる心機能評価や、造影剤を使用することでパーフュージョンMRI、遅延造影MRIによる心筋梗塞や心筋症などの心筋障害をみることができます。 心臓MRI検査は年間おおよそ330件、そのうち80件程度が小児循環器症例であり、Qp/Qs、左室や右室の心機能解析を造影剤を用いずに行うことができます。

腹部領域

当院では腎臓病センターを中心に年間180症例の腎移植が行われ、我が国屈指の症例数を有し、延べ3,000例以上と世界でも有数です。 術前・術後の移植腎MRAやIVR症例では術前プランニングを目的とした非造影MRA検査を行っています。 MRAは造影剤を使用せずに検査を行うことができることから造影剤アレルギーや腎機能の悪い患者さんにも実施可能です。

3.装置・検査方法の説明

キヤノンVantage Titan3.0T 1台
キヤノンVantage Titan1.5T 1台
PHILIPSIngenia Elition3.0T 1台
PHILIPSIngenia CX Dual1.5T 1台
PHILIPSIngenia3.0T 1台
PHILIPSIngenia1.5T 1台

当院では2022年12月よりPHILIPS Ingenia Elition 3.0Tに装置を更新しました。

3T MRI装置の特徴を生かし、通常の検査のほかに、MRスペクトロスコピー、脳脊髄液動態イメージングといった機能的画像の臨床応用などにも活用しています。

MRスペクトロスコピー

分子中の原子核の磁場は、付近に存在する原子核によって作られる磁場の影響を受け、同じ原子核であっても周囲の環境によりわずかに共鳴周波数の違いが生じます。 その共鳴周波数の違いの大きさと信号強度から生体内の分子の種類・成分などを調べることができます。 正常組織や転移性腫瘍、悪性リンパ腫、髄膜腫などの病変ではそれぞれ特有の波形パターンを示すため、腫瘍の鑑別にも用いることができます。

脳脊髄液動態

3T MRIではTime-SLIP法を用いて脳脊髄液の循環動態(脳脊髄液の通過障害・流入出路など)の観察が1.5Tよりも詳細にできるようになりました。主に水頭症の診断、シャント術の適応の際に用いられます。 従来のCSFのトレーサースタディ(RIあるいはメトリザマイドCT)を使用した脳槽造影の数時間~数日という検査時間に比較すると、わずか数分での観察ができるようになりました。

4.取り組み

チーム医療

  • 看護師、看護助手などのチームスタッフに向けての勉強会などを実施し、検査への知識及び情報の共有を図っています。
  • 毎週のMRIチームカンファレンス、毎月のMR運用会議を行い、業務内の問題点を挙げ、改善点を検討し、速やかに対応しています。