医療関係者の皆さまへ

神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)

当院でルタテラ®(ルテチウムオキソドトレオチド)を用いた内用療法を希望する患者様へ

1.ルタテラ®内用療法(放射性核種標識ペプチド療法(PRRT))について

 ルタテラ®は神経内分泌腫瘍※に対するお薬で、事前に実施するオクトレオスキャンで陽性の患者様に使用します。腫瘍細胞に結合しやすい性質を持つソマトスタチンアナログという物質に放射線を出す物質(ルテチウム-177)が結合されており、からだの内側から放射線を放出することで抗腫瘍効果を発揮するのが特徴です。
 治療は8週間おきに最大で全4回実施するため、すべての治療が終了するには約6ヵ月間を要します。ルタテラ®を投与した直後は、身体から放射線を発するため、医療者と2メートル以上の距離を保つ必要があります。また、自宅においても同居する家族への放射線被ばくを予防する行動が必要となります。
 当院では、患者様やご家族の不安を少しでも軽減できるよう、医師をはじめ専門知識をもった医療スタッフが入院前から丁寧な説明を実施しています。

2.当院における治療の流れ

1)入院期間:
  2泊3日 (退院日に測定する身体の放射線量によって退院が延期になる可能性があります)

2)入院病棟:
  第一病棟7階 個室(特別措置病室) 

ベッドの両サイドには放射線を遮る大きな板が設置されていますが、見晴らしの良いお部屋で室内にはテレビが設置されています。(写真左側)

放射線を含むルタテラ®の多くが尿から排出されるため一般下水に流すことができません。そのため、入院中は専用の鉛の容器に尿を貯めて、流さないよう注意していただきます。また、トイレ内が汚染してしまわないよう、床などにカバーをしています。(写真右側)

3)入院から退院までの主な流れ

●入院日

病棟や治療室の看護師が、ルタテラ®内用療法に関するオリエンテーションを行います 尿を専用容器に貯める練習をします
※放射線を含む尿は一般下水に流せないため、ルタテラ®投与後は退院まで畜尿が必要となります

●治療当日

朝食を軽く摂取したあと、9時20分頃に医療者と歩いて核医学検査室へ移動します 核医学検査室ではリクライニングチェアに座って約4時間の点滴 (ルタテラ®の投与は30分)を行います 終了後は、医療者と病棟へ戻り、翌朝まで個室の中でお過ごしいただきます

●退院日

朝、医師が専用の機械で身体から出る放射線量を測定し、退院の可否を決定します
※放射線量が基準値よりも高い場合は退院が延期になる可能性があります
ルタテラ®の集積を確認する検査が終了したら退院です

3.よくある質問

Q1. ルタテラ®にはどのような副作用がありますか
副作用には、投与直後から2週間程度で出現するもの、投与後2週間から数か月程度で出現するもの、数年経過した後に出現するものがあります。入院中や退院直後に出現頻度が高い副作用に悪心がありますが、当院ではルタテラ®投与前に吐き気止めを使用し、複数の薬剤を組み合わせることで患者様の苦痛を最小限にできるよう努めています。

発症時期 比較的多い副作用 注意が必要な副作用
投与直後

2週間程度
悪心 (60.6%)
食欲減退 、腹痛、下痢、味覚障害、
疲労、注射部位反応 (5%以上)
投与後2週間

数か月程度
骨髄抑制
脱毛症 、眩暈、腹部膨満感 (5%以上)
腎機能障害 (急性腎不全4.7%)
数年後 骨髄異形成症候群 (1.6%)
急性骨髄性白血病 (頻度不明)

Q2. 個室代金はかかりますか
個室代金はかかりませんのでご安心ください。

Q3. 治療費用はどのくらいかかりますか
高額な薬剤ですが、保険診療で行えますので、高額療養費制度を利用することで自己負担限度額を超えた分については払い戻しが受けられます。

Q4. 携帯電話は持ち込めますか
持ち込みは可能です。ただし、放射線汚染があった場合には汚染の程度によって自宅に持ち帰れない可能性があります。持ち込みの際は、携帯電話専用のカバーをかけておくなどの対処方法もあります。

Q5. 小さな子どもを抱っこしても大丈夫ですか
ノバルティスファーマの「ルタテラ®で治療を受ける患者さんとご家族の方へ」では、退院後一週間は同居家族と1メートル以上の距離を保ち、お子様や妊婦との接触は最小限にするよう書かれています。退院後の生活上の注意事項等に関する詳しい情報に関しては下記のサイトをご参照ください。

治療関連サイト
ルタテラ®で治療を受ける患者さんとご家族の方へ/ノバルティスファーマ株式会社 https://www.product.gan-kisho.novartis.co.jp/lutathera

治療のご希望がある患者様は、東京女子医科大学病院ホームページ(https://www.twmu.ac.jp/info-twmu/)の患者さん専用診療予約よりご予約ください (診療科名は化学療法・緩和ケア科としてください)。
患者様をご紹介いただける医療機関の担当者の方は東京女子医科大学病院ホームページ(https://www.twmu.ac.jp/info-twmu/)の医療機関専用診療予約よりご予約ください。

先進的がん医療の取組み

第三項先進医療(厚生労働省)