卒後臨床研修センターだより

さまざまな説明会やオリエンテーション、学会に参加する研修医たち。
貴重な体験報告や、臨場感あふれる行事の様子など月毎にお知らせします。

2012年8月号

指導医に向けてのメッセージ

指導医講習会チーフタスクフォース 昭和大学 客員教授 中島宏昭

 人を育てることは、対象が研修医であっても自分の子供であっても大変なことです。それは力仕事でもあり、知的な仕事でもあります。そして指導する側には常に忍耐が必要とされます。研修医の場合、医師という資格はもっていますが、実際的なことはまだ何も知りません。それでも患者に対して医師としての責任を果たさなければなりませんので、指導する側は気苦労が絶えません。この気苦労が指導医の疲れの大部分を占めているように思います。では気苦労は何からくるかと考えてみますと、研修医には足りない部分があまりにも多いため、それを埋めようと懸命に教えこむ(teaching)ところにあるようです。教えこむことは力仕事です。もちろん必要なことです。ただあとになって気づくことですが、教え込むという行為は無意識のうちに相手を自分と同じ人間にしようとしてしまいます。自分の子供であっても、大人になってみれば親が想像していたものとは別の人格をもった人間になっていたということは、よくあることです。研修医の場合も同じです。

 力仕事ではない知的な仕事とは何か、それは相手から引きだすことです。研修医がこちらの考えと異なる意見を述べたら、「ばか者」などと言わずに、まず「なるほど」と受けとめて、なぜそう考えたのかと興味をもって聴きます。その考えのなかに、くむべき点があればそれを指摘して感心し、間違っている点ははっきり指摘して「どう改めれば良いか明日聞こう」と時間を与えます。考えさせて良い点を引きだすと、引きだされたものを糧にして何かを創造します。これが学ぶこと(learning)です。学ぶことでこそ人格が形成されるのです。自分自身の経験ではひどく怒られて引きだされたものより、感心して引きだされたものの方が人格形成には役だったように思います。教育にはteaching も learning も必要ですが、成人の場合には learning の比率が高い方が意欲を高めるようです。

 苦労して育てた研修医が指導医にどれほど感謝しているかは、研修医が2年目の終わりに書く「コンピタンシー評価(小論文)」を読むとよく分かります。時々涙がでてきます。皆さんはいかがですか。

≫第8期生~のコンピタンシー評価(小論文)

指導医講習会を受講して

耳鼻咽喉科 一瀨和美

  7月21日(土)、22日(日)に開催された第17回指導医講習会に参加する機会をいただきありがとうございました。2日間缶詰め状態となり、また、専門用語が多く、はじめは大変でした。普段、後輩への指導というものをあまり意識したことがなく、とても貴重な体験ができました。

 指導には明確な目標が必要ですが、そのなかでも一般目標(GIO)をまず計画し、それを具体的に行動目標(SBOs)として挙げ、それぞれを実現させるために学習していく方法(学習方略)を考えていくというカリキュラムの立案方法を学びました。ワークショップ形式で体験できたので、理解が深まりました。

 中島先生が講演してくださった研修医へのフィードバックの重要性についても、まず指導する側が研修医に学習したいと思わせ、一緒に変わっていくことが大切であると具体的に話していただき、納得できました。指導する際にも、自分の研修医時代を思い出し、知らないと不自由すること、これをやれば臨床力につながっていくことなど、何を教えるか考えながら行っていきたいと思います。

 新臨床研修制度の第1期生であった自分も、もう研修医を指導する立場になったと思うと感慨深いものがあります。自分にできるのか不安でいっぱいですが、今回学習したことを臨床の場で活用できるように心がけていきたいと思います。

 講習会をスムーズに進めてくださったスタッフの先生方、事務の方々、一緒に受講された先生方には大変お世話になり、本当にありがとうございました。

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