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2022年04月20日受賞報告先端生命 村垣教授
東京女子医大 村垣教授が第1回森下泰記念賞(テルモ生命科学振興財団)を受賞!
 
 本学東京女子医科大学 先端生命医科学研究所の村垣善浩副所長・教授(以下:本学教授)が、この度公益財団法人テルモ生命科学振興財団より「第1回森下泰記念賞」を受賞致しました。(令和4年3月8日授賞式)
 同賞は、テルモ生命科学振興財団によって医学と工学の連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰することでその業績を称え、研究の一層の進展を祈念するとともに、この分野へのより多くの優秀な人材の参入契機となることを期待して設けられたものです。
 
 
 
 
 
 
 
リリースのポイント
  • 1.森下泰記念賞の表彰対象は、「日本国内の研究機関(企業を除く)に所属する研究者で、医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、今後の活躍が期待される者」となっております。

     
2.同賞に認められた村垣教授の主な業績は「精密誘導治療を実現するスマート治療室SCOTの開発」。
3.SCOTは、手術室内の機器情報等を一元管理可能なOPeLiNK®(オペリンク)を用いた手術室として、手術のあり方を革命的に変え、その技術と質を各段に向上させました。
4.先端生命医科学研究所が、現在開発中の高速無線通信(5G)活用のモバイルSCOT(超低侵襲治療)やスマートロボット(半自動診断・治療システム)は、健康長寿社会の実現に向け期待を拡げます。
 
 
 
Ⅰ 本学教授の選定理由
  テルモ生命科学振興財団によれば、選定理由を「村垣善浩氏は、産学官連携により、術中MRIを核としたインテリジェント手術室の開発に携わり、脳外科領域での手術において高い摘出率と生存率を実現しました。さらに複数企業の多数の機器をミドルウェアで接続可能とすることによって、オープンイノベーション環境を構築し、スマート治療室SCOTへと発展させて社会実装に結び付けました。また、医工融合・産学連携を基盤とした人材育成・研究システムの確立を目指した教室を主宰し、後進の育成にも注力されています。さらに現在開発中の、5G回線による高速無線通信を用いたモバイルSCOTによる高度均てん化超低侵襲治療や、スマートロボットによる半自動診断・治療システムは、正に未来の健康長寿社会の実現に向けた医学・工学融合領域における取り組みといえ、更なる拡充・発展が強く期待されるところです。これらの実績及び将来性を勘案し、“医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰する”との森下泰記念賞の趣旨に相応しい方として選定いたしました。」としています。
 
Ⅱ 本学教授の研究開発とSCOTについて
1.本学教授が2014年から開発に取り組んできたのが、「スマート治療室SCOT」です。これは2016年広島大学BasicSCOT(ClassicSCOT)、2018年信州大学StandardSCOT、2019年東京女子医科大学HyperSCOTと新規開発と各大学への導入が継続しています。
2.東京女子医科大学は、2018年度末に臨床研究可能な手術室を設置し、2019年度事業化のスタンダードモデルに新たな技術を導入しました。
3.SCOTは、㈱OPExPARKのOPeLiNK®(術中情報融合プラットフォーム)上で、手術室内にある複数の機器(※31社46機器の接続実積あり)を同期させ、全てを一元管理して手術を進めることが可能となります。(術中:全データ遠隔アクセス・都度振返り検証 術前:過去症例の詳細データによるシミュレーション 術後:あらゆる角度から合併症の原因究明。併せて手術をモニター上で時間・空間の推移を一括で確認できる。)
 したがって手術中でも、少し前の術野を振り返って、術中の方針を決めたり変更したりすることができるのです。手術のプロセス管理が可能となることで医療の質と安全性が格段に向上します。
 
Ⅲ 今後の展開(本学教授談)
 「モバイルSCOT」などを導入し、医療の均てん化を図ることに取り組んでいます。「モバイルSCOT」は、SCOTをモバイル化したもので、手術機器などを搭載したトラックと、パソコンやタブレットなどのデバイス経由でそこに指示を送れる「モバイル戦略デスク」から成ります。既にプロトタイプのデモカーは、NTTドコモが開発し、各種展示会での説明が成されています。
 また並行して、一人に一台一生寄り添うスマートロボット「AIREC」の開発を進めています。
内閣府のムーンショット型研究開発事業:目標3(研究開発項目3「スマートロボットの福祉・医療への展開技術の構築」)に沿ったもので、早稲田大学(プロジェクトマネージャー:菅野重樹教授)・東京大学・東京電機大学などとの共同研究です。
 こうした取り組みは、医師の数が限定的とされる中、地方創生に繋がる充実した医療提供体制に「遠隔治療の質を上げる」などで寄与し、さらに健康長寿社会の実現に向けた期待を拡げていくと確信しています。
 
 
【お問い合わせ先】
 
<研究開発に関すること>
村垣善浩(むらがき・よしひろ)
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 TWIns B1F
 先端工学外科学分野 研究室事務・秘書
TEL:03-3353-8111   FAX:03-5312-1844
E-mail:abmes-office540001.aa@twmu.ac.jp
 
 <報道取材に関すること>
東京女子医科大学 広報室
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
 
【プレス情報】
1.受賞者
村垣善浩(むらがき・よしひろ) 学校法人東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 副所長
東京女子医科大学先端工学外科 教授
2.受賞名
公益財団法人 テルモ生命科学振興財団  第1回(2021年度)森下泰記念賞(注1)
3.授賞日
2022年3月8日(火) 当日授賞式および記念講演開催    
4.業績
「精密誘導治療を実現するスマート治療室SCOT*の開発」
 SCOT*Smart Cyber Operating Theater
 
(注1)
森下泰記念賞について(テルモ生命科学振興財団ホームページより引用)
医療機器・再生医療・ドラッグデリバリーシステム・医用システムなど、医学と工学の連携・融合領域から生みだされる医療技術の発展は目覚ましく、健康長寿の実現に向け、大きな貢献を果たしています。テルモ生命科学振興財団 森下泰記念賞は、これら医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰することで、その業績を称え、研究の一層の進展を祈念するとともに、この分野へのより多くの優秀な人材の参入契機となることを期待して設けるものです。
 *本賞の名称は、当財団の出捐会社であるテルモ株式会社の前身となる、仁丹体温計株式会社および株式会社仁丹テルモにおいて、社長・会長を務められた、森下 泰(もりした たい)氏に由来しています。 “わが国の医療技術が、広く世界の医療の場に貢献し、健康な生活を通じ人類の平和に寄与していくこと” を課題として設立趣意に謳う当財団の趣旨に賛同された氏より、1987 年に遺贈いただいた同社の株式が、現在の当財団の主な基本財産となっています。