お知らせ

2023年10月24日  モバイルSCOTにて模擬手術を行いました
移動型手術車両「モバイルSCOT」の災害時における
遠隔手術実証訓練を実施しました

 
 10月21日(土)、附属足立医療センター総合防災訓練と同時開催にて「モバイルSCOT」の災害時における活用を確認するための実証訓練を実施しました。
 
 仮に首都圏直下型地震が発生すると、最悪の場合死者は2万3000人に及ぶと想定されています。重傷者への治療は一刻も早く行う必要がありますが、現在の外科医は、外傷手術全体の件数の減少もあり、胸腹部の外傷手術の経験に乏しいのが現状です。
 外科専門医でも対応しがたい外傷手術を、被災地域外から外傷手術経験に長けた指導医がリアルタイムに指導することができれば、被災地内での緊急手術も可能になります。それを実現するのが「モバイルSCOT」です。
 「モバイルSCOT」は5Gによる高速通信を活用し挿管、手術に必要な情報をネットワークで一元管理しているスマート治療室「SCOT」を移動式にしたもの。今回は20tトラックが移動車両となります。
 
 訓練は、自宅内で被災し肝損傷した女性の手術を想定し、①遠隔治療支援、②遠隔管理支援の2つのシナリオをもとに実施されました。①では回線を八千代医療センターと接続、指導医の指示を仰ぎながら、麻酔科医による挿管や手術準備、術者2名による執刀、閉腹を行いました。続く②では、車内をレイアウトチェンジしてICUと見立て、回線を本院につないで術後管理の指導を受けました。
 

 当日は近隣の病院施設からも多数の見学者が来訪し、多数の質問が飛ぶなど、「モバイルSCOT」への関心の高さを伺わせました。
 
 僻地医療に興味があり見学に来たという医学部の6年生は、「災害時だけでなく、平時にも力を発揮できるのがモバイルSCOTの魅力だと思います。僻地にモバイルSCOTを派遣すれば、医師不足や地域間偏在の解決につながります。自分もゆくゆくは、若手医師として僻地での外科手術を行ってみたいと考えています」と目を輝かせながら語ってくれました。
 

本訓練を統括した足立医療センター救急医療科の庄古知久教授とメンバー