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2007年に新しいガイドラインによる悪性リンパ腫患者の治療効果判定基準の改訂版が示された(Cheson BD, et al. J Clin Oncol 2007 Feb;25(5):579-86)。これは1999年に出されたガイドラインにFDG PETや免疫組織化学的検査、フローサイトメトリーによる判定を追加して改訂されたものである。この検査結果を判定に追加することによりCRu (臨床的に寛解状態にあるが形態画像上異常所見があるためCRの確定ができない)の判定が明らかになると思われる(新ガイドラインではCRuは削除された)。

悪性リンパ腫におけるFDG-PET検査

治療前PETの適応

Recommended:
18F-FDG集積を示すタイプ(FDG-avid)+治癒可能なリンパ腫患者(完全寛解率が主要エンドポイント)
Diffuse large B-cell lymphoma
Hodgkin lymphoma
Not recommended:
1. 18F-FDG集積を示すタイプ(FDG-avid)であってもincurable, indolent,aggressiveリンパ腫患者の治療前(完全寛解率が主要エンドポイントでない場合)
Follicular lymphoma (indolent)
Mantle cell lymphoma (aggressive)
※ 以上の診断でも治療によりCRが期待できる場合には治療効果判定のPETと比較する目的で治療前FDG-PETを施行することが望ましい。
2. 18F-FDG集積を示さないタイプ
悪性リンパ腫におけるFDG-PET検査
18F-FDG PETは、治療奏効を、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、不変(SD)、または再発/進行(RD or PD)に分類。骨髄の治療効果評価のためにはPETではなく、免疫組織化学的検査とフローサイトメトリーを利用すべきである。18F-FDG PET検査を効果判定に用いる場合、治療完了後最低3週間、できれば6〜8週間は施行すべきでない。

新しい悪性リンパ腫の治療効果判定基準(改訂版)

判 定 定 義 リンパ腫瘤病変 脾臓・肝臓病変 骨 髄
CR (完全寛解) 全病変の消失 (a) FDG集積の高いリンパ腫(FDG-avid)あるいは治療前にPET陽性の場合、腫瘤が残存していてもPET陰性化。 触知しない、または結節の消失 生検で浸潤所見消失。
不確定の場合は免疫染陰性化
    (b)FDG-avid ではないリンパ腫あるいは治療前PET陰性の場合、CTで腫瘤の正常化。    
PR (部分寛解) 測定可能病変の縮小かつ新病変無し 6つまでの測定可能な病変の径の合計(SPD)が50%以上減少し、且つ他の節病変のサイズの増加がない。 結節のSPDが50%以上の縮小で、肝脾サイズの増大を認めない。 治療前の陽性の有無を重視しない。陽性であれば浸潤細胞のタイプを特定しておく。
    (a) FDG-avidまたは治療前にPET陽性リンパ腫の場合、その病変部に1個以上のPET陽性部位がある。    
    (b)FDG-avid ではないリンパ腫あるいは治療前PET陰性の場合、CTでリンパ腫瘤の縮小化    
SD(stable disease: 安定) CR/PRも PDの定義にも満たない。 (a) FDG-avidまたは治療前にPET陽性リンパ腫の場合、その病変部でPET陽性であるがCTまたはPETで新病変は認めない。    
    (b)FDG-avid ではないリンパ腫あるいは治療前PET陰性の場合、CTで病変サイズの縮小なし    
RDまたはPD(Relapsed disease:再発 or progressive disease:進行 ) 新病変の出現または元の病変サイズから50%以上の増大 短長径に関わらず1.5cm以上の1つ以上のリンパ節の出現、1つ以上のリンパ節でSPDで50%以上の増大
または短径で1cm以上のリンパ節で最大径50%以上の増大
結節に対するSPDにて最も縮小したところから50%以上の増大。 新病変あるいは再発の出現
    FDG-avidまたは治療前にPET陽性リンパ腫の場合はPET陽性領域の出現    

参考文献

1. Cheson BD, Pfistner B, Juweid ME, et al. Revised response criteria for malignant lymphoma.
  J Clin Oncol. Feb 10 2007;25(5):579-586.
2. Juweid ME, Stroobants S, Hoekstra OS, et al.
  Use of positron emission tomography for response assessment of lymphoma:
  consensus of the Imaging Subcommittee of International Harmonization Project in Lymphoma.
  J Clin Oncol. Feb 10 2007;25(5):571-578.
3. Wohrer S, Jaeger U, Kletter K, et al. 18F-fluoro-deoxy-glucose positron emission tomography
  (18F-FDG-PET) visualizes follicular lymphoma irrespective of grading. Ann Oncol. May 2006;17(5):780-784.
4. 寺澤晃彦 「悪性リンパ腫」 臨床試験のための新しい効果判定基準と国際共同プロジェクト(IHP)による
  FDG-PETの診断基準ガイドライン 臨床放射線 Vol.52, No.3, 418-424, 2007