• 当院のPET機器の共同利用について
  • 保険適用の具体的説明
  • 腫瘍FDG以外のPETの利用
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■心サルコイドーシスに対する心臓FDG-PET

 心臓サルコイドーシスとは心臓にサルコイド結節と言われる炎症性肉芽腫病変が起こり、心筋細胞を障害する病気で、徐脈性不整脈の一つである完全房室ブロックなどの心筋内伝導障害や心機能が進行性に低下する重症心不全を引き起こすことが知られている。本症は初期に発見されればステロイド内服による薬物治療が奏功するために病気の進行を抑えることができるが、現在、病初期の適切な診断法が確立していない。FDG-PETは活動性の炎症病変に高度に集積することから心サルコイドーシスの活動性炎症の評価に有用であると報告されている。
 2012年4月より心臓サルコイドーシス患者のFDG-PET検査が保険適用となっているが、心筋細胞には生理的な糖代謝があるために十分な絶食や炭水化物制限を行わないと炎症との鑑別が困難である。当院では24時間の炭水化物制限とFDG投与前にヘパリンの投与を行うことにより、生理的な糖代謝を抑制させ、活動性炎症のみを描出可能であることを多くの症例で経験している。また、治療後の炎症病変の消褪もFDG-PETにより評価が可能である。

●本検査の保険適用および適切な患者選択については次のとおりである。

@心臓サルコイドーシスの臨床診断基準に合致する患者の心筋への活動性炎症の評価
A心臓サルコイドーシスの臨床診断基準に合致する患者の治療中の活動性炎症の評価
※ステロイド治療開始後少なくとも6か月が経過し、維持量に達している状態での評価が望ましい。

●以下の患者の検査は望ましくなく、保険適用にならないので注意が必要である。

@心臓サルコイドーシスの臨床診断基準に合致しないが、肺などの他臓器のサルコイドーシス患者で、心臓に病変があるかどうか評価したい。
A心臓サルコイドーシスの臨床診断基準に合致しないが、心筋症の鑑別診断として活動性炎症病変があるかどうか評価したい。
※糖尿病のコントロール不良な患者では前処置の段階で低血糖発作を起こすことがあるため、依頼の際、十分に検討をお願いしたい。

●心サルコイドーシスのための検査前食事制限の詳細は、こちら(PDF 2ページ)をご覧ください。



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60歳代女性のペースメーカーを挿入されている心サルコイドーシス患者の治療前後のFDG-PET所見。治療前は縦隔、肺門、肺野、左心室主体で右心室にも浸潤する高度集積を認めたが、プレドニンによる薬物治療を開始し、4か月後のPET画像ではほぼ集積像は消失した。

※この検査についてのお問い合わせは、03-3353-8111 内線 21010 核医学・PET検査室まで。