• 当院のPET機器の共同利用について
  • 保険適用の具体的説明
  • 腫瘍FDG以外のPETの利用
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■虚血性心疾患に対するアンモニアPET

 13N-アンモニアによるPET血流イメージングは2012年4月より国内で保険適用に収載された。本検査法は心筋血流を定量的に測定する方法として20年以上前より確立しており、これまで虚血性心疾患を中心にその病態や治療効果などの評価が行われ、多くの成果が報告されている。本法の利点として@13N-アンモニアは高い血流依存性を有し、定量性に優れる。ASPECTに比べ時間・空間分解能が高く,視覚的評価、QGSによる心機能解析においても優れる。B短半減期(約10分)であり、SPECTより短時間(約70分間)で安静、負荷検査を終了することができる。一方、欠点として、@サイクロトロンにより連続して頻回に生成することができず、1日の検査件数は限られる。A検査の実施に多くのスタッフによる分業が必要である。
 撮像法:当院ではシーメンス社製PETカメラ、Biograph mCT PET/CT(64-slice)を用い、13N-アンモニア370MBqを自動投与器で30秒間静注し、同時にリストモード収集を開始する。10分間PETスキャンを行い、静注後2分間を血流解析、3-8分を局所心筋血流画像、心電図同期PET解析に用いる。吸収補正用のCTはPETスキャン前に撮像するが、PET画像との呼吸変動による位置ずれを回避するために呼吸同期CTスキャンや心電図同期CTを低線量で撮像している。当院では2回の吸収補正CTの撮像を避けるため、被検者は安静時スキャン後、そのまま検査台で3半減期(30分間)待って、引き続きアデノシン負荷(0.12mg/kg/min)時に同様のスキャンを行っている。

 当院では2014年6月より保険診療による実施が可能となった。虚血性心疾患であれば検査可能であるが、血流の定量評価が必要な患者、負荷心筋シンチでは判定が困難な症例(肥満症例や3枝病変など)に関して本法が有効であると考えられる。

■fig. 1 アデノシン負荷法を用いたアンモニアPET検査のプロトコール

■fig. 2 アンモニアPET検査の実例
60歳代男性で糖尿病、高血圧、高脂血症の危険因子があり、最近労作で胸痛発作を認めるために、アデノシン負荷アンモニアPET検査を施行した。
PET画像では負荷で前下行枝領域の高度な虚血が認められた。冠動脈造影が施行され、#7 99% 血流遅延高度 (対角枝分岐部), #9 99% 軽度遅延が認められた。左回旋枝,右冠動脈には狭窄なし。

※この検査についてのお問い合わせは、 03-3353-8111 内線 21010 核医学・PET検査室まで。
※この検査の患者用説明書は、こちら(PDF 2ページ)をご利用下さい。