プログラム実施の必要性

現在の我が国の周産期医療体制は危機的な状況にあります。
その最大の理由は周産期医療の需要と供給のバランスが崩れたためです。

  • 総出生数の減少にも関わらず、ハイリスク妊婦および新生児の絶対数は増加している。siryo3.png
  • 一方、周産期医療従事者は増加していない。
  • NICUが満床である。
  • NICUを増床しても新生児科医と看護師が不足している。

周産期医療に従事する若手医師の養成および勤務継続のための環境整備、離職した女性医師の復帰の支援は喫緊の課題です。

本学NICUにおける人材養成の必要性

  • 当大学は総合周産期母子医療センターとしての活動実績があり、全国的あるいは世界的に知られた周産期医療施設である。
  • NICUは15床と大規模施設である。全国の総合周産期母子医療センターのなかで16床以上のNICUを持つのは6施設しか存在せず、当施設は代表的な大規模施設である。
  • 大規模施設での研修の最大のメリットは豊富な症例数であるが、単に症例数が多いだけでなく、今までに多くの周産期医療に関係する業績があり、当センターの治療方針はすでに世界的にも周産期医療のスタンダードとして取り入れられているものも多い。

当センターで若手医師の研修と養成を行うこと、また、女性医師の周産期医療現場への復帰を支援することで、標準的な周産期医療の知識と技術が修得可能である。
また、当センターで研修した医師が地域の施設に移った後も、この標準医療を続けることが可能であり、同時に標準医療の普及に役立つことが考えられる。

人材養成のための勤務環境整備の必要性

本学は、本邦唯一の女子の医学教育機関として、明治33年(1900年) に設立され、平成21年度より、男女共同参画推進局を中心として、女性医師・研究者支援センター、女性医師再教育センター、看護職キャリア開発支援センターが、若手医師、女性医師、コメディカルスタッフの支援を開始。平成20年からは、短時間勤務制度、シフト制なども取り入れ、NICUはシフト制を組む事が可能である。このように、女性医師の勤務継続と復帰支援のための組織体制が構築されてきている。

しかしながら、現在学内で運営している保育所、病児保育、学童保育などの施設型の育児支援体制のみでは受け入れ可能な人数や支援内容が限定され、様々な状況に応じて就労する医療従事者の支援としては充分とはいえない。

学内ファミリーサポートシステムの構築

  • 地域住民を主とするファミリーサポーターが周産期医療に従事する医師の子供の病気の時に保育施設からの送迎と受診をサポート。
  • 感染症の病児を保育する。
  • 低学年は学童保育への送迎をする。
  • ファミリーサポーターに対しては、小児救急に対する知識、病児に対する保育看護の技能などの講習会を開催し、地域全体の育児能力の向上を図る。
  • 医学生や医療福祉関連の専門学生などもファミリーサポーターに加え、小児科医等の家庭生活を含めた実際の生活のロールモデルを身近に感じることで将来の勤務継続の意志や具体的なイメージを培う。

本学には、悩みながらも、家庭と仕事の両立の努力をしている女性医師が周囲にいること、同じ悩みを有する女性医師と悩みを共有する機会も多いことにより、勤務継続または復帰の強い意志を抱くことになり得る。
すわなち、周産期医療に従事する医師の養成と女性医師の職場環境の改善を実施できる背景と体制がすでに十分に存在していることが、本プログラムを当大学で実施する最大の意義である。