卒後臨床研修センターだより

さまざまな説明会やオリエンテーション、学会に参加する研修医たち。
貴重な体験報告や、臨場感あふれる行事の様子など月毎にお知らせします。

2021年2月号
自分自身の研修を振り返って、何ができたか、何を学んだか、将来どんな医師になりたいか

卒後臨床研修センター 2年次研修医 池田万優子

 2年間の初期研修を通じて、自分の中で最も大切にし、これだけはできたかなと思えることは「報告・連絡・相談を怠らないこと」だ。

 国家試験には合格しても、臨床現場で一人前の医師として働くにはあまりに経験と知識が不足しているにも関わらず、メディカルスタッフは当たり前に専門用語や略語で薬や点滴の相談を電話越しに早口で聞いてくる。そして患者やその家族は私をその道の専門家だと思い込んで話を聞きにくる。自分のせいで患者に害があってはならないが、そうなる可能性のある落とし穴が常に潜んでいるようで、1年目は特に恐ろしかった。だからこそ、どんな簡単な指示でも経験したことのないことや耳慣れない言葉だった場合は必ず聞き返すようにし、上級医に確認するようにした。薬剤名も、咄嗟に思い浮かばない薬剤は毎回DI参照で確認した。自分では合っていると思った指示でも、念のため上級医に確認したところ内容の不足に気付き修正するということは多々あった。看護師からは、まず上級医に確認しますと返答し舌打ちされたことも何度かあったが、何を言われようが確認を重ねた。その甲斐あってか上級医からは「わからないことは聞いてくれるから仕事を任せやすい」と言われるようになった。また、先日メディカルスタッフからの研修評価を頂く機会があったが「声掛けが必ずあり連携がとりやすかった」とコメントがあった。研修を通してチーム医療としての第一歩を踏み出せたことを実感でき、とても嬉しかった。


 学んだこととしては、毎日足を使って患者の顔を見に行くことや、家族にも入院中の経過報告の電話を定期的に欠かさない、という「当たり前のようで労力のいる行動の積み重ねが医師患者間の信頼関係の基盤となる」ことだ。万が一急変や合併症が起きても、それまでの信頼関係があるおかげで理解が良好でスムーズに次に進めた場面に、何度も出合った。自分も、どんなに忙しく疲れていたとしても、むしろ忙しい時こそ当たり前を欠かさず丁寧に患者と向き合いたいと思えた。

 

 初期研修を通じて急性期医療や集中治療に魅力を感じ、来年からは救急医として働く予定だ。救急医となるからこそ、患者とその家族とは勿論、メディカルスタッフや他科の医師そして他院の医師や救急隊との信頼関係も大切にしたいと考えている。初期研修で体にしみついた「報告・連絡・相談」を継続しながら、緊迫した場面でこそ広い視野を持って冷静に決断し行動できるような救急医を目指したい。

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