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診療科案内

顔面けいれん・三叉神経痛外来

三叉神経痛、顔面痛

三叉神経痛とは?

顔面の感覚神経である三叉神経の領域に起こる発作性疼痛で、突然起こる激痛であり、数秒間続く痛みです。 頻度は10万人につき4〜5人と言われています。
 三叉神経痛は、通常片側(左右どちらか)に、発作的に、数秒から数分続く激痛が繰り返し起こり、数週から数ヶ月続くこともあります。ある特定の部位を刺激すると、痛みを誘発する誘発帯という部分があります。誘発帯は鼻唇溝を中心とした皮膚、歯肉部分にあり、軽く刺激するだけで痛みが誘発されます。例えば、洗顔、髭剃り、歯磨き、咀嚼などで誘発され、冷たい風にあたるだけで痛みが誘発されることもあります。また、齲歯の痛みと思い、歯科に受診される患者様も多くいます。神経学的には誘発帯の存在以外、異常がみられません。また、厄介なことに、このひどい痛みを何度も経験していると、痛みがないときでも、もし、また痛くなったらどうしようという恐怖心で何もできなくなることがあります。その為、毎日びくびくして過ごさなければならなくなります。
 ただし、痛みは患者本人にしかわからず、他人に話しても、理解が得られず一人で悩んでいる患者様も多くいます。

痛みの表現は実際非常に難しいのが実情です。写真はラオコーンを彫刻した像ですが、苦しみ、痛みの表情は見ての通り分かると思います。ただし、このような表情を実際にしても、他人には、何だか苦しそうだねとは伝わりますが、見ている人は、実際に苦しさを感じてないので、その痛み、苦しさの程度を知ることはできません。

三叉神経痛と紛らわしいものとして、症候性三叉神経痛があります。これは、齲歯、副鼻腔炎、骨折、脳腫瘍(小脳橋角部腫瘍)、鼻腔内・口腔内腫瘍、眼の炎症、多発性硬化症、帯状疱疹などによって引き起こされますが、強い発作性の痛みはみられません。特に、発作間欠期に三叉神経の知覚障害や運動障害がある場合、他の神経症状を伴う場合は症候性であり、原因疾患を検索する必要があります。

分かりにくい顔面痛の診断

痛みは、患者本人にしか分からず、三叉神経痛か否かはっきりと分からない時、試験的にカルバマゼピンを処方します。カルバマゼピンは抗てんかん薬ですが、三叉神経痛にも効果があるので、効果があれば三叉神経痛、なければ否定するといった方法もあります。これは診断的治療となります。また、三叉神経痛以外の痛みも混じっていると、何回か外来を受診してようやく診断がつく場合もあります。

帯状疱疹由来の三叉神経痛

顔に帯状疱疹を起こすと、疱疹のみられる期間だけでなく、疱疹が消失した後も、激しい神経痛を生じることがあります。年齢が高くなるに従って、疱疹消失後1ヶ月以上たってから痛みを起こしてきます。現在のところ、有効な治療法はありません。

画像診断

顔面痙攣の場合と同様に、MRIにより。三叉神経の側に血管を確認できれば、通常、その血管が神経を圧迫していると考えられます。

治療

治療としては、薬物治療、神経ブロック、γナイフ、手術があります。
薬物治療は外来で簡単にでき、効果も直ぐに分かるので、非常に多く行われています。まず、これが治療の第一選択となります。薬としては、最も広く使用されているのがカルバマゼピンです。ただし、副作用としては、ふらつきや薬疹が出たりすることがあり、長期服用すると効果が減弱して、薬を増量してないと効果がないこともあります。カルバマゼピン以外に最近では、ガバペンチンといった薬も使用され、その効果が確認されています。
 神経ブロックとしては、経皮的に針を神経節にまで刺して、無水アルコールやグリセロールを注入したり、バルーンにより神経を圧迫したり、又高周波(RF)で電気凝固するといったような方法があります。ペインクリニックで行われています。
 γナイフは、三叉神経に放射線を照射することにより、治療効果を得るものです。根治的効果は約30%前後で、被爆する上、現在、保険適応外治療のため、実費で約50万円を要します。
 根治的治療としては、手術となります。これは、小開頭を行い、手術用顕微鏡下を使用して、三叉神経を圧迫している血管を神経から剥離して、再び神経を圧迫しない場所に固定します。しかし、入院して全身麻酔下に行うので外来で簡単にできることではありません。  余談になりますが、三叉神経痛の歴史をみると、かなり長く多くの人々を苦しめてきた病気とわかります。古代エジプトにすでに顔の痛みの記載があります。顔が痛いために会話や食事ができなくなり、最終的には気が狂ってしまう。これは、何かかが取り憑いている為におこると考えられていました。古代ギリシアのヒポクラテスが顔の痛みに関する記述をしています。この当時は三叉神経痛という病名がないので、もの凄い痛みが顔に走り抜け、徐々にひどくなり、最後には自殺してしまうとされています。1671年にシュミットというドイツ人医師が三叉神経痛という病名を記載しているのが、最初とされています。それまでは、顔の痛みとして記録はありますが、三叉神経痛という病名は使用されてないようです。もし、何かが取り憑いて痛みが起こっているかもしれない、お払いにでも行かないといけないとお思いの方は、この機会に当外来を受診されることをお勧めします。

顔面けいれん

顔面けいれんとは?

顔面けいれんとは、けいれんしている顔を視診することによって、ほとんどの場合診断することができます。人前での緊張、ストレス、疲れ、強い閉眼などの顔面筋の運動などで誘発されやすく、初めのうちはあまり気にならない程度でも、ひどくなってくると、相当悩んだ末に外来に受診されることが多いようです。たとえば、営業職、受付をしている人などは、顔がピクピクしていると、まともに相手と目を合わせて話しをすることができず、仕事にも支障を来すことになり、誰にも相談できず、人知れず一人で悩んでいることが多く、中には、鬱状態になっている患者もみられる程です。
 通常、一側の眼周囲のぴくつきから始まり、徐々に、頬や口元にまでぴくつきが広がるという病気です。突然、起こることもあり、そのような場合、びっくりして救急車で病院に受診した方もいるとのことです。何年も前のことですが、ある女優さんが撮影中に、突然、顔面けいれんを起こして救急車で病院に搬送されたという記事がありました。最終的には、手術を受けられてよくなったとのことですが、手術を受けるまで、何年も悩み続けて、仕事が出来ない状態が長期に渡り続いたとのことです。顔がぴくぴくするだけで、どうして救急車で病院に行く必要があるのか、体したことはないにと思われるかもしれません。しかし、女優のように人前に顔を見せることを職業とされている方にとって、顔がぴくぴくしてしまうことは、もう仕事が出来なくなってしまうかもしれないことになります。これでは、仕事ができないどころが、精神的にも翁ストレスとなります。気にしない人にとっては、何でこんなことで悩むのかと理解できないかもしれません。

症状

典型的な顔面けいれんは一側の下部眼輪筋のけいれん、いわゆる目がピクピクする症状から始まり、徐々に、眼の周りから口元にまで広がります。さらに進行すると、首筋や耳、額にまで広がることがあります。逆に、10%以下ではありますが、口元から始まり、顔全体に拡がってくることもあります。通常一側で、両側性はきわめて希です。また、長期に渡りけいれんが続いている場合、痙けいれんが起きてないときには顔面麻痺を起こしていることもあります。

原因

原因としては、血管、腫瘍等により、顔面神経が圧迫されることにより起こります。

顔面けいれんとまぎらわしい疾患

 顔面けいれんと紛らわしい疾患として、ジストニア、本態性眼瞼けいれん、顔面ミオキミーといった病気があります。
 顔面にみられるジストニアとは、口・下顎ジストニアと呼ばれる病気で、両眼の周囲がぴくぴくして、思うように口を開けたり、閉じたりできなくなるような状態になります。それから、頸が少し前屈みなったような姿勢が続きます。神経有棘赤血球症、局所脳障害、脳幹障害に合併することが多いと言われていいます。
 顔面ミオキミーとは、典型的な症状としては、顔面に虫が這うように広がっていくような感じの異常運動で、顔面けいれんに比べるとゆっくりした動きで、顔面けいれんと同じように眼の周囲から始まる。原因は、今のところ分かっていません。

画像診断

MRIによる診断が有用で、MRIにより神経と血管の関係を確認できます。もし、顔面神経の側に血管をみつけることができれば、殆どの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。

治療

治療としては、比較的簡単にけいれんを止める方法として、ボツリヌストキシン注射という方法があります。これは、けいれんしている部分の筋肉にボツリヌストキシンを注射して、筋肉を麻痺させることにより、けいれんを止めるという方法です。顔面けいれん以外に、斜頸、ジストニアといった病気にも使用されています。その他、病気ではありませんが、美容外科では、顔のしわ取りとしても広く使用されています。メリットとしては、外来で簡単にでき、注射後2日位で効果がみられることです。また、簡単なしわ取りも兼ねて使用している医師います。デメリットとしては、ボツリヌストキシンの効果が3ヶ月位でなくなることです。よって、効果が切れるとその都度、注射を続けなければならないことです。また、あまりにも頻回に注射を続けると、筋萎縮により、顔が少し非対称になることがあります。また、作用が強すぎると、顔が麻痺するため、眼が閉じなくなったり、口元から水、食物がこぼれたりすることがあります。それでも、その効果は実証済みで、正しく使用すれば、簡単かつ安全に効果を期待できるので、広く使用されています。
 根治的治療を行うのであれば、手術となります。手術用顕微鏡を使用して神経を圧迫している血管を神経から剥離して、再び血管が神経を圧迫することがないような位置に固定します。ただし、これは、三叉神経痛の場合も同じですが、入院して全身麻酔下に行う手術ですから、外来で簡単に行うことができることではありません。  その他、内服薬として、クロナゼパムという薬がありますが、眠くなる上に劇的効果は期待できません。
 下図の十字部分がボトックスの主な注射部位です。

舌咽神経痛

舌咽神経痛とは?

咽頭・扁桃部に始まり、鼓膜、外耳道、耳介周辺に放散する電撃痛で、数秒から1分ほど続きます。分かりやすく言うと、咽から耳の方に激烈な痛みが走り抜けるような感じです。通常、左右どちらかの一側性です。会話、食事、嚥下、咳、あくび等により痛みが誘発され、飲み込み時特に痛いので、食事がとれなくなることもあります。頻度としては、三叉神経痛の1%前後とかなり少なくなります。例えでいうと、子供の頃、冷たい物を食べたとき、ツーンとした痛みが、咽から耳に走り抜けるような痛みを感じたことがある方はいるかと思いますが、それが、舌咽神経痛です。

原因

これも、三叉神経痛、顔面けいれんと同じように、血管が舌咽神経を圧迫して、痛みが誘発されます。血管以外には、腫瘍によって起こることもあります。

画像診断

三叉神経痛、顔面けいれんと同じく、MRIによる診断が有用で、MRIにより神経と血管の関係を確認できます。もし、舌咽神経の側に血管をみつけることができれば、殆どの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。

治療

薬物療法、手術があります。薬物療法としては、三叉神経痛と同じように、カルバマゼンピン、フェニトインといった抗てんかん薬が効果ありと言われています。その他、食事ができないときは、キシロカインゼリーを咽に塗ったりキシロカインスプレーを咽に吹きかけて一時的に痛みを抑えておくと、食事を摂ることができるようになります。
 根治的治療を行うのであれば、手術となります。手術用顕微鏡を使用して神経を圧迫している血管を神経から剥離して、再び血管が神経を圧迫することがないような処置を行います。ただし、これは、三叉神経痛の場合も同じですが、入院して全身麻酔下に行う手術ですから、外来で簡単に行うことができることではありません。

東京女子医大東医療センター日暮里クリニック 顔面けいれん、三叉神経痛外来では、毎週水曜午後1時から行っております。
 顔面けいれん、頸部のけいれん、三叉神経痛、顔面の痛み、舌咽神経痛での悩み、不安を感じている場合、もしくは、自分がこういった病気ではないかと思い当たるのではと感じた場合、一人で悩むより、外来に受診して、まずは医師と相談するのがよいと思われます。気軽においで頂いて構いません。

脳神経外科 谷 茂

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職位氏名担当
助教 谷 茂