ブックタイトルSincere No.11 2019.1

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概要

Sincere No.11 2019.1

12 Sincere|No.11-2019年1回開催される「彌生塾講演会」である。2016年11月に東京女子大学の小野祥子学長(当時)を招いて第1回目が行われ、翌年12月に21世紀職業財団の岩田喜美枝会長(同)を招いて第2回目が行われた。そして2018年12月8日、小池都知事を迎えて第3回目の彌生塾講演会が開催されたのである。当日は塾生だけでなく、学内外の関係者や医学部3年生など約500人が聴講した。小池知事の講演テーマは「東京都の女性活躍推進」。日本のジェンダーギャップ指数(社会進出における男女格差の度合い)が世界144か国中114位で、「女性の力が十分に活用されていない」とし、もっと女性に輝きを発揮してもらうための東京都における女性活躍推進の施策を紹介。“ワーク・ライフ・バランス”を“ライフ・ワーク・バランス”といい換え、育児・介護と仕事の両立や女性の活躍を後押しする働き方改革を推進していること、情報通信機器を活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方ができる“テレワーク”の推進などを強調した。そして、「小さな志を一つひとつ達成していき、いつか大きな志を成し遂げるように」との願いを込め、塾生や学生に向けて「少女よ大志と小志を抱け」という言葉を贈って講演を締めくくった。● 教授と塾生が交流するピアラーニング彌生塾ではこの「彌生塾講演会」のほか、「彌生塾セミナー」や「英語セミナー」、「ピアラーニング」などのプログラムを展開している。「彌生塾セミナー」は、リーダーシップや研究倫理、科研費(科学研究費助成事業)採択のための情報分析・計画書作成などをテーマとした各種セミナーを開催。「英語セミナー」は、英語論文の書き方や英語でのプレゼンテーションの仕方を学ぶもので、塾生・本科生に人気の高いセミナーである。「ピアラーニング」は、キャリアアップをめざす本科生が指導的立場にある教授(主に女性)を囲み、キャリア形成のポイントや苦労話などを直接聞くという試みである。2017年4月からスタートしたピアラーニングは、同年度中に9回開催され、参加者は延べ約70人にのぼった。2018年度の開催は2回にとどまるが、教授と塾生・本科生が交流する極めて有意義な活動だといえよう。これらのプログラムに積極的に参加している本科生の一人が、現在大学院に通う明石慶子医師である。2012年に女子医大を卒業した彼女は、自治医科大学さいたま医療センターでの研修を経て同センターの産婦人科に入局。3年間、勤務医として働いたあと、2017年に女子医大大学院(形態学系専攻・実験病理学分野)に進み、子宮内膜症のがん化や卵巣がんについての研究を行っている。● 生涯のロールモデルを見つける場「婦人科でがん患者さんを多く診てきましたが、再発を繰り返し残念ながら亡くなる方々の診療を通して医療の限界を感じました。若い患者さんも多く、世の中の担い手である世代が病に苦しんでいる姿を見るにつけ、女性がもっと健康で幸せでいてほしいと思うようになりました。では自分に何ができるのかと考えたとき、研究することだと。自分の研究内容が少しでも婦人科疾患の治療につながればとの思いから、大学院に進むことにしました。大学院修了後は病理専門医も取得し、婦人科医、病理医として幅広い視野でがんの研究を続けたいと思っています」そう語る明石医師は、彌生塾を「生涯英語による効果的なプレゼンテーションの仕方を学んだ「英語セミナー」。のロールモデルを見つける場」ととらえて大学院で卵巣がんの研究を行う彌生塾本科生の明石慶子医師。