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概要

シンシア10号

至誠人日本の遺伝子医療を牽引するリーダーであり続けたいわが国初の遺伝子医療専門施設として開設された東京女子医科大学の遺伝子医療センター。そのトップとして、脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーなどに向き合ってきた齋藤加代子さんは、そうした難病の治療に情熱を注ぐと齋藤ともに、これまで培ってきた遺伝子医療のノウハウを駆使しながら、がん診療のレベルアップにも努めている。(東京女子医科大学名誉教授・特任教授臨床ゲノムセンター所長)加代子■魅力的だった新しい中央校舎高校時代、生物の先生からワトソン&クリックがDNAの構造を解明した“二重らせん”の話をお聞きし、医学の領域で人間の本質を生物学的に研究することができたらいいなと思ったのが、医学部をめざしたきっかけでした。女子医大に進学したのは、産婦人科の開業医をしていた父のすすめと、新しい中央校舎がとても魅力的だったからです。入学試験の当日は雪に見舞われましたが、できたばかりの中央校舎はきれいで温かく、「ここで学ぶことができれば…」と思いました。今、女子医大は新校舎を建設中ですが、完成すれば私と同じように、「ここで学びたい」という学生がたくさん入学してくれることを願っています。学生時代は室内楽団に入部してフルートの練習に打ち込み、4年生のときにソロが多いビゼーの「アルルの女」をコンサートで演奏しました。余談ですが、2012年に女性として初めて大会長を務めた日本人類遺伝学会の懇親会で、管弦楽の奏者を募って「ゲノムフィルオーケストラ」を結成し、フルートの演奏を楽しんだのがよき思い出となっています。学生時代はまだ地下鉄がなく、自宅から1時間位かけてバスで通学していました。そのときが貴重な睡眠時間でしたが、最寄りのバス停についても眠りこけていた私を、同じバスに乗っていた先生方がよく起こしてくださったものです。■大学院時代に出会った赤ちゃん大学院時代に、目と脳にも障害のある福山型筋ジストロフィーに似た症状の赤ちゃんに出会いました。その赤ちゃんの04 Sincere|No.10-2018