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概要

シンシア10号

がんばれ!女性医療人●看護職員の不安や悩みに寄り添うカウンセリングのプロフェッショナル看護職キャリア開発支援部門は、キャリアカウンセリングとメンタルヘルスカウンセリングの機能を備え、看護職員のさまざまな相談に対応している。キャリアカウンセリングを担当しているのは、女子医大看護学部の草柳かほる講師と原美鈴講師の2人。ともにキャリアコンサルタントの国家資格を有するキャリアカウンセリングの専門家である。「私たちは働くことに関する“よろず相談係”。相談にきた人と一緒になって考え、看護師として長く働いていけるよう支援するのが役割です」(草柳講師)。「もっと力を発揮したいがどうしたらいいか分からない、といった相談が多いですね。キャリアアップという言葉に引っ張られ、専門看護師や認定看護師にならないといけないのか、という悩みを訴えてくるケースもあります」(原講師)。「そういう人に、“今のままでいいのでは…”とアドバイスすると、ホッとして足取り軽く部屋を出ていかれます」(草柳講師)という話が印象的だった。キャリアカウンセリングを担当している草柳かほる講師(右)と原美鈴講師。一方、メンタルヘルスカウンセリングは精神看護専門看護師の資格を有するリエゾンナースが担当している。その1人である女子医大八千代医療センター看護局の山内典子さんは、「看護職員が生き生きと働くためには、メンタルヘルスの維持向上が不可欠です。そのサポートをするのが私たちの役割です」という。具体的な相談について新人や若手からは、「不安と緊張で職場へ近づけない」、「自分が認められていないようで居場所がない」といった内容が多く、管理職からは「部下との関わり方が難しい」、メンタルヘルスカウンセリング担当の山内典子さん。「うまく人が育たない」といった悩みの声が多いとか。こういう人間関係に関する相談に対しては、「安心できる環境の部屋で、じっくり話を聞くことが大事です。そのうえで、管理職と連携して職場環境の調整を図ったり、必要なときは専門家につないだりします」と山内さん。そして、「看護師長が部下の不安や悩みのシグナルをキャッチしたら、私たちに相談するよう早めにアドバイスしていただくことも大切です。そのためにも、看護師長と私たちが信頼関係を築くことが重要」だと強調した。認定看護管理者教育課程ファーストレベルディベートにチャレンジする受講者たち。日本看護協会は、看護管理者の資質と看護水準の維持向上を目的に認定看護管理者制度を設け、ファーストレベル・セカンドレベル・サードレベルの3段階の教育課程を実施している。女子医大はその教育機関に認定されており、2015年から「認定看護管理者教育課程ファーストレベル」を開講している。2018年も37人の受講者が参加し、6月2日に開講。9月22日までの土・日曜日を中心に、看護専門職論、看護サービス提供論、グループマネジメントなど8つの教科にわたって150時間強の授業が行われる。リーダーとして活躍できる看護管理者をめざす「認定看護管理者教育課程ファーストレベル」は、女子医大以外の医療施設の看護職員も対象としているが、看護職のキャリア形成に資する事業であることから、看護職キャリア開発支援部門の主たる活動の一つと位置づけられている。では、開講2日目に行われたグループマネジメントの授業の様子を見てみよう。ディベートを通してグループマネジメントの基礎理論を学ぶという内容で、講義と演習を組み合わせた形態で行われた。まずは講義からスタート。「自分のコミュニケーションの特徴を理解し、根拠に基づいて発言し、集団での討議力を向上させる」といったディベートの目標が示され、その進め方が説明された。講義のあとはディベートの準備。受講者が2組に分かれ、それぞれの組が6人ずつの3グループに分かれる。そして、3グループのうち2グループが、設定された課題に対して肯定側と否定側に分かれ、残りの1グループが審判員を務める。課題は、「診療看護師または特定研修を修了して特定行為ができる認定看護師は看護の質を上げる」というもの。これについて肯定側と否定側の双方が、“立論→反対尋問→第一反駁→第二反駁→第三反駁→結論”という流れで6人が順に意見を述べ合い、最後に審判員が判定を下す。こうした要領で第一試合が始まった。肯定側からは「医師と対等な立場で診療に介入できれば、ベッドサイドでタイムリーな処置ができ、患者さんの満足度向上につながる」、「認定看護師がいると看護職員のキャリア開発に好影響を与え、結果的に患者さんへ質の高い看護が提供できる」といった意見が、否定側からは「看護の質を上げていくにはチームの協力が不可欠だが、医師や多職種のスタッフからの理解がまだ不十分」、「看護師本来の業務を超えて仕事が増えるため、安全面が損なわれるのではないか」などの意見が出され、白熱した議論が交わされた。そして審判員は、「論旨が分かりやすく、データも豊富だった」として否定側に軍配を上げた。22 Sincere|No.10-2018