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概要

シンシア10号

屈させたあと両手で下顎を持ち上げる「下顎挙上法」という気道確保のトレーニングを行った。次に、気管チューブを挿入して気道を確保する気管挿管にチャレンジ。実際には医師が挿管を行うが、看護師はその場に立ち会って必要な器具を準備し、スムーズな挿管を行うための適切な介助をしなければならない。講習では1人ひとりがシミュレータを用いて気管挿管の一連の流れを体験した。休憩をはさんだあとは、除細動器に関する講習。電極パッドの貼付とその注意点、電気ショックを行う場合の安全確認とその後の対応(胸骨圧迫の再開)などについて学び、講習は午後8時30分まで行われた。このICLS講習は、「看護専門領域スキルアップ研修」のプログラムの1つで、救急看護領域の研修として組まれているものだ。スキルアップ研修は、女子医大病院、東医療センター、八千代医療センターの3病院において毎年実施されており、2017年度は14の専門領域で80の研修プログラムを実施し、総参加者は1,100人以上を数えた。2018年度は、より専門領域に特化した研修をめざし、がん看護をはじめ救急早めに勤務を終えて保育園へ子どもを迎えに行き、一緒に帰宅する中田美智子さん。看護、高次脳機能障害看護、脳卒中リハビリテーション看護、慢性疾患看護、遺伝看護など12の専門領域で39の研修プログラムが組まれた。専門領域と研修の数は凝縮されたものの、総参加者は約1,700人へと大幅な増加が見込まれている。充実した内容の研修プログラムにより、看護職員は積極的にスキルアップを図っているのである。●短時間勤務制度を選択して育児と看護の仕事を両立迎えにきたお母さんに抱かれて嬉しそうな表情を見せる女の子。お母さんの顔にも思わず笑みが浮かぶ。東京・中野区鷺宮にある保育園から、ほど近い自宅へ帰る途中のほほえましいシーンである。そのお母さんは、女子医大病院総合外来センター1階で働く看護師の中田美智子さんである。「看護職キャリア継続支援のための短時間勤務」制度を活用し、毎日午前8時50分から午後4時10分まで勤務。出勤前に保育園へ預けた子どもを5時半頃迎えに行き、6時前には帰宅するという生活を送っている。中田さんは、「夜8時から9時の間には子どもを寝かせたいので、6時までには帰宅したいと思っていました。短時間勤務制度のおかげでそれが可能となり、とても助かっています」という。中田さんは新潟大学医学部保健学科を卒業後、女子医大病院に入職し、脳神経外科の病棟に勤務。6年目に結婚し、出産を機に夜勤のない外来へ移り、2年目を迎えている。「外来は病棟とかなり勝手が違いましたが、周りの人たちが温かくフォローしてくれます。外来センター1階には、短時間勤務制度を活用している看護師がもう1人いますが、早く帰してあげようというムードが職場内に漂っていますね」そう語る中田さんは妊娠した当初、出産したら退職しようという気持ちもあったとか。でも、「退職するとスムーズに復職できないのではないかと思い、短時間勤務を選択して仕事を続けることにしました。夫のサポートにも感謝しています」と笑顔で語ってくれた。進学休職制度を活用して女子医大大学院へ通う小野美佳さん。●キャリア支援制度をフル活用して看護職のスキルに磨きをかける女子医大病院救命救急センターのICUに所属している小野美佳さんは、「看護職進学休職」制度を活用して2018年4月から女子医大大学院へ通い始めた。「2年間無給となりますが、身分は保証され、社会保険も継続されますので、この間に急性・重症患者看護の専門看護師をめざして、より質の高い看護サービスを提供できるよう研究に励みたいと思います」と、大学院進学の動機を語る。2005年から救命救急センターに勤務している小野さんは、10年目の2015年、「看護職国外研修休職」制度を活用してオーストラリアへ渡り、シドニーの医療施設で看護助手の仕事をしたという経験を持つ。「私のほかにも日本人がいましたが、みな勤務先を辞めてきた人ばかりで、休職中というのは私だけ。1年後に復職してからは、英語力を含めてそのときの経験が大いに役立ちました」という。さらに小野さんは、出産して復職後、前述の中田さん同様「短時間勤務」制度も活用し、勤務時間を午前9時から午後4時までとして子育てをした。「職場の同僚に多少負い目はありましたが、キャリア支援制度のおかげで仕事をやめずに続けることができました」という小野さんは今、3歳になる男の子を保育園へ送り迎えしながら勉学にいそしんでいる。Sincere|No.10-2018 21