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概要

シンシア10号

こんなところが女子医大医療安全ユニークな授業で学生の医療安全意識を高める東京女子医科大学では、医療安全をテーマとしたユニークな授業を展開することによって学生たちの医療安全に対する意識の向上を図り、医療安全文化を醸成している。「KYT(危険予知トレーニング)実習」で元気よく指差し唱和を行う。■危険予知トレーニングで“指差し唱和”にチャレンジ「無事故でいこうヨシ!」恥ずかしそうに小さな声で指差し唱和しながら、その授業は始まった。医学部4年生を対象に6人ずつの小グループに分けて行われる「KYT(危険予知トレーニング)実習」がそれだ。KYTは、作業に潜む危険を予知する能力を高め、危険に対する感受性を鋭くするための活動で、4ラウンド法と呼ばれる次のグループに分かれてKYT4ラウンド法にトライ。流れで訓練が行われる。1現状把握(どんな危険があるか)2本質追究(これが危険のポイントだ)3対策樹立(あなたならどうする)4目標設定(私たちはこうする)そして、設定した目標をもとに指差し呼称項目を決め、それを皆で唱和する。授業を担当している医療安全科の寺崎仁教授は、「医療現場の多職種のスタッフでKYTを行うと、職種によって危険の見え方が違ったり、事故防止に対する別の視点からのアプローチが示されたりして、質の高いチーム医療研修になることが分かっています。そうしたチーム医療や医療安全への意識を、学生時代から身につけてもらうようKYT実習を行っています。こうした試みは女子医大だけだと思います」と、KYTの有用性とその授業を導入した狙いについて語る。ではKYT実習の様子を見てみよう。まずグループごとにイラストが配付され、その中にどんな危険が潜んでいるかを指摘し合う現状把握からスタート。脚立を使って窓ふきをしているイラストを配られたグループでは、「脚立は不安定なのでケガのおそれがある」、「ヘルメットをかぶっていないので倒れた際にケガをする」、「バケツの位置が脚立に近いのでつまずく」、「無理な姿勢をしているので腰痛を招く」などの危険が指摘された。これらのうち、「脚立は不安定なのでケガのおそれがある」と「バケツの位置が脚立に近いのでつまずく」の2項目を重要な危険ポイント(本質追究)とし、これを全員で唱和。次に、その対策について話し合い(対策樹立)、さらにチームとしての目標設定をして指差し呼称項目を決め、それを全員で3回唱和した。こうしたグループワークを繰り返していくうちに、指差し唱和の声がだんだんと大きくなっていくのが興味深い。「頭で分かっていてもそれを口に出していわない14 Sincere|No.10-2018