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概要

シンシアNo.9

る集中治療専門医が多職種のスタッフとともに、安全で質の高い集中治療を行っている。ICU機能が集約され新たにHCU(高度治療室)も設置された。論は予定時間を10分以上もオーバーし、結局手術は持ち越しとなった。「検討会によって手術中止あるいは延期となるケースも少なくありません。それが診療科の判断ではなく、病院の総意だということが患者さんやそのご家族に伝われば、より安心しご理解いただけると思います」と、世川副院長はハイリスク症例検討会の意義を強調する。手術室と集中治療室を統合・集約ハイリスク症例検討会の進行役を務めているのが、医療安全部門担当の野村実副院長である。麻酔科の教授で手術部長も歴任した野村副院長は、集中治療体制の再編に奔走してきた。女子医大病院はこれまで、心臓病センターや消化器病センター、脳神経センターなど専門性の高い診療部門がそれぞれ高度な医療を行ってきた関係上、ICU(集中治療室)機能が院内各所に分散していた。だが、最近は複合疾患を抱える患者さんが多く、ICUが分かれていたのでは横断的な治療がしにくいというデメリットが指摘されるようになった。このため、手術室を含めてICU機能を集約すべく、中央病棟の中央手術室に7室の手術室を増設して19室体制にするとともに、隣接する東病棟に18床のICUと15床のHCU(高度治療室)を新たに設置した。HCUはICUと一般病棟の中間に位置する治療施設である。このプロジェクトを陣頭指揮した野村副院長は、「これまで西病棟で行っていた手術も、一部を除いて基本的に中央手術室に統合され、ICU機能も集約されることになりました。これにより、もともと専門性の高い診療科が横断的に協力体制を組むことが可能となり、より安全性の高い医療が提供できるものと確信しています」と話す。こうした施設の再編と併せ、2017年4月に集中治療科が新設された。そして、“患者さんにやさしい術後管理”をモットーに、野村岳志教授をはじめとす充実した医療安全推進の専門部署「IDカードを持っていない取引会社さんの訪問を受けると、いちいち手袋を外してドアを開けに行かなければならず、患者さんのケアが中断してしまいます」。病院内を巡視する“院内ラウンド”を行っていた医療安全科の寺崎仁教授は、訪れたICUの看護師からこんな悩みを訴えられた。院内ラウンドは、女子医大病院医療安全推進部のスタッフが定期的に行っているもので、院内各部署の現場の状況を把握するとともに、現場のスタッフとコミュニケーションを図り、安全に関する課題や意識の共有に努めている。医療安全推進部は、医師をはじめ看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、事務職など総勢12人で構成され、それを寺崎教授が統括している。医療安全推進を専門とする部署の人員がこれだけ充実している病院は稀であり、医療安全科を設置しているのも全国的に珍しいという。院内ラウンドについて寺崎教授は、「チェックシートを基に現場を見て回るだ充実した人員を擁する医療安全推進部。前列左から2人目が医療安全科の寺崎仁教授、前列右が医療安全・危機管理部の加藤多津子部長。08 Sincere|No.9-2018