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概要

シンシアNo.9

至誠人すべての医師が誇りを持って働ける病院をめざしています秋篠宮妃紀子さまが悠仁親王を出産された病院として知られる愛育病院。その院長である安達知子さんは、日本の産科学界を担う中心的人物の一人であり、診療のかたわら、子育て中の女性医師が安心して働ける環境づくりにも積極的に取り組んでいる。安達知子(総合母子保健センター愛育病院院長・医学博士)■セミナーハウス建設に関わる私が高校生だった頃は、まだ「女性は早く結婚して家庭に入るべき」といった風潮がありました。私も、大学を卒業したら社会に出て2~3年働き、嫁に行くのだと漠然と思っていました。ですから、大学も文系志望でした。ところが、高校3年生になった年の7月に入ってから、「自立した女性として社会で活躍したい」と思うようになり、医師をめざすことにしたのです。とはいえ、文系志望でしたから選択科目に理数系は一つもありません。医学部に進むために独学で理科や数学を勉強せざるをえず、たいへんな思いをしましたが、東京女子医科大学に入学することができました。大学時代の一番の思い出は、「白河セミナーハウス」(福島県、現在閉鎖中)の建設に関わったことです。4年生だった1975(昭和50)年のある日、厚生補導部部長でのちに学長となられた吉岡守正先生から、「どのようなセミナーハウスにしたいか、学生の意見をまとめるように」と依頼されました。文化系サークルの代表として学友会委員をしていた私は、すぐにサークル部長会議を開くとともに、1年生から6年生までの学生に意見を聞き、ミーティングルームや図書館、テニスコート、体育館、防音装置付きの部屋、宿泊施設などを備えたセミナーハウスにしてほしいと、要望書を提出しました。白河セミナーハウスは2年後の1977(昭和52)年に完成し、守正先生から「自分の目で確認するように」との連絡をいただき、夏休みに同級生2人とともに医師04 Sincere|No.9-2018