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概要

シンシアNo.9

こんなところが女子医大循環器小児科の稲井慶講師から指導を受けるNさんとHさん。は少ないのですが、たまたま研究プロジェクト期間中に手術をする患者さんがいましたので、術前・術後も含めてしっかり臨床のポイントを学んでほしいと思い、研究テーマとしました。Mさんは期待どおり熱心に学び、途中経過の報告もよくまとまっていました」と評価。12月21日のカンファレンスでの研究発表でも、医局員から高い評価を得ていた。■学会での発表が最終ゴール循環器小児科教室ではNさんとHさんの2人が研究に臨んだ。研究テーマは、Nさんが「22番染色体欠失症候群に「疑問解決の糸口を探す習慣がつきました」と話す2人。おける精神的合併症」、Hさんは「完全大血管転位症ジャテーン術後患者の妊娠・出産」。それぞれのテーマと研究ポイントについて、指導した稲井慶講師は次のように説明する。「Nさんのテーマである22番染色体欠失症候群は、心疾患をはじめさまざまな合併症を伴いますが、特に精神的合併症である統合失調症の発症率が高いことが分かっています。では、どういう人が統合失調症になりやすいのか、患者さんの家庭環境やIQなどの属性から予測してもらうことにポイントを置きました。Hさんのほうは、生まれつき心臓大血管の位置関係が逆なため新生児期にその転換手術(ジャテーン術)を受け、結婚適齢期を迎えている女性が多いことから、そういう人たちが安心して妊娠・出産できるかどうかということを研究テーマとして設定しました」。Nさんは研究を進めていくうちに、「心疾患のある患者さんが、ストレスが原因で精神疾患を発症してしまうケースがあることがよく分かってきました。心疾患だけを治療するのではなく、全身的にケアすることの重要性を学ぶことができました」という。Hさんは、「ジャテーン術の歴史は浅いため、それを受けた女性たちの妊娠・出産例はまだ多くはありません。それだけに研究のしがいがあり、安心して妊娠・出産できるようなヒントが見つかればと思っています」と語った。「新しい治療法を創造し、患者さんに提供していくことが大学病院の大きな役割であり、そのためには絶え間なく臨床研究を続けていかなければなりません。研究プロジェクトを通してそういうことも学んでほしいですね」と語る稲井講師は、研究レポートの提出にとどまらず、今年7月に行われる学会での発表を最終ゴールに据えている。「審査を通過して学会で発表するチャンスをつかめば、本人たちにとって大きな自信につながります」。NさんとHさんは、研究プロジェクト期間を過ぎても稲井講師の指導を仰ぎ、7月の学会での発表をめざしている。22 Sincere|No.9-2018