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概要

シンシアNo.9

こんなところが女子医大研究プロジェクト調理実習でつくった料理を手に笑顔の学生たち。医師として必要な科学的思考力を養う病理学第一教室で実験に励むSさんと指導する増井憲太助教。■学年縦断型のカリキュラム研究プロジェクトは2013年度から導入されたカリキュラムで、医学部3年生を対象に、希望する研究部署での研究活動を通じて医師として必要な科学的思考力や研究マインドを修得することを目的としている。「12月の3週間が必修期間ですが、その前から研究を開始し、期間終了後も継続して研究することも可能で、全学年にまたがる縦断型のカリキュラムと位置づけられています」と、研究プロジェクト委員会の藤枝弘樹委員長(解剖学教室教授)はその特徴につポスター発表会で質問に答えるSさん。いて語る。学生たちは3年生になるとすぐに、研究プロジェクトについてのオリエンテーションを受ける。そして、6月に希望する研究部署を第5希望まで書いて申し込み、7月上旬に配属先が決まる。この間、すでに特定の部署に出入りして研究活動を開始している学生には、優先的に当該部署へ配属するための内定制度も設けられている。9月に入ると、学生はそれぞれ配属先の指導担当者と面談し、研究テーマや研究内容について打ち合わせをする。10~11月には個人情報取扱講習会をはじめ、研究テーマによって義務づけられている各種講習会を受講し、12月からの研究開始に備える。研究活動がスタートすると、期間内にその成果を配属部署内で発表するとともに、終了後には研究レポートにまとめて提出しなければならない。発表は学会発表に準じた形式で、研究レポートは論文形式での記述が求められる。また、期間内に学会発表と同じような経験が得られる「ポスター発表会」も開催され、その場で研究成果を発表するという道も開かれている。昨年は109名の学生が55の研究部署に配属され、12月1日から22日まで研究活動に取り組んだ。その中の3つの研究部署にスポットを当ててみよう。■基礎研究志向がさらに鮮明に病理学第一教室に配属されたSさんは、2年生のときから教室に出入りしていた。研究テーマは「グリオーマ(神経膠腫)とエピジェネティクス」。グリオーマとは悪性脳腫瘍、エピジェネティクスとはDNA塩基配列の変化を伴わず、別の物質が付加されることによってDNAの機能が変わるという遺伝現象である。SさんがDNAに興味を抱いたのは、小学生のときに見た映画「ジュラシック・パーク」がきっかけだったとか。そして、「女子医大でも1学年後期の『遺伝と遺伝子』の講義が印象深く、がんは遺伝子の変異によって起こる病気だと教わりまし20 Sincere|No.9-2018